5.聖女との出会い
今回初めて出会います。今作ヒロイン。
屋敷の惨状。
それは数刻前から続いていた。
「はぁはぁ」
少女は息を荒くしていた。
青いクリスタルにはまった聖杖を持ち白い衣に身を包んでいた。
「にひひ。せっかく味わおうと思っていたのに逃げられてしまうとはな。でもいい。もっと上物が見つかった」
「味わうって。貴方、何を考えているんですか」
「もちろん言葉通りの意味だよ。いやー、若くて初々しい未成熟の女は僕の下に合う」
「やはり貴方はモンスターなのですね。ここで私が浄化せねばなりませんね」
少女じゃ聖杖を構えた。
しかし男は、舌なめずりをすると持ち前のパワーで体当たりを仕掛ける。
「傷つけるのは僕の趣味じゃないけど、君は少し痛い目に遭った方がいいみたいだね」
「くっ!」
少女は体当たりを食らうギリギリのところで何とか左に避けた。
しかし男の体当たりは長い廊下を突き抜け、柱を破壊する。
「おっとっと。危ない危ない」
「危なかったです。もし避けられなったら」
少女は肩を抱き込みました。
体がぶるぶると震えます。
しかし諦めたりはしません。震える自分の体を鼓舞して、頬を強く叩きました。
ペチッ!
頬が赤く膨れます。
この町に立ち寄ったのはただの偶然。
それでも見過ごせません。
「もう、せっかくの顔が崩れっちゃたじゃないか」
「やはり領主様はもう……」
男の顔が崩れました。
ぐちゃぐちゃになった顔の向こう側に別の顔が見えます。
それは豚のようで、一目で解りました。
「そうだ。今度は君の顔をもらうとするよ」
「味わうんじゃなかったんですか」
「それはそれ。これはこれだよ。じゃいただきまーす」
モンスターは本気になって私を殺しに来ました。
もう一度避けようとしましたが、今度はもっと早く避けきれませんでした。
「うわぁ!」
弾けた瓦礫が肌を切り裂きます。
真っ赤な血が流れ、私は足をひねってしまいました。
聖杖を握っていた手は離れ、力が入りません。
「くっ、腕が」
「もうお終いだね。さてと、あの子もそろそろ捕まるかな。そうだ。君の目の前で味わってあげるよ」
「下劣な」
「僕はモンスターだからね。いずれは魔王の座を奪い、この世界は僕のものになるんだ。はぁっはぁっはぁっはぁっはぁつ!」
「そんな簡単なわけないだろ」
しかしモンスターの言葉はそこで途切れました。
下劣な行為を止めた。そこにいたのは、
「貴方は」
「通りすがり」
怪しいことを言うのでした。
だけど私はー-
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
俺は屋敷に無断で突入した。
するとそこには少女が倒れていて、怪我をしている。
そしてそんな少女を襲っていたのは、やはりモンスターだった。
「舐めたこと言ってんじゃねぇぞ」
俺は背後から剣で叩きつけた。
すると、男の顔が完全に剥がれ落ちる。
「お前、オークか」
「オーク?」
「豚のモンスター。貪欲で暴食の限りを尽くすモンスターだよ」
俺は少女にそう説明した。
すると肝心のオークは、
「お前、僕の邪魔をする気か!」
「当たり前だろ」
「お前の匂い。魔族だな。何故だ!」
「はぁー、これだから鼻がいいモンスターは……」
俺はため息をついた。
するとオークは俺に体当たりを仕掛けてきた。
「よくもよくも。食らえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「話聞けよな。そもそも、そんな遅いの当たるわけねぇだろ」
俺はサッと右に避けて、オークの体当たりを躱した。
すると頭に血が上ったのか、オークは顔を真っ赤にした。
「舐めてるな、お前」
「舐めてるわけじゃない。けど、弱いな」
「なんだと!」
オークは頭に血が上っていた。
少女は自分が怪我をしているにも関わらず、俺に話しかけた。
「何してるんですか。怒らせちゃいましたよ!」
「大丈夫だから。心配しないで」
「仲良くしやがって。おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
オークが突進してきた。
その瞬間俺はもたついた足を引っかけ、転ばす。
「うわぁ!」
「はい、お終い」
俺はうつ伏せになったところで、背後から剣で一突き。
オークは絶命した。
「倒したんですか?」
「うん。酷い?」
「少しだけ。でも、このモンスターは良くないです」
「じゃあ俺は」
そう尋ねた。
すると、
「本当に魔族なんですか?」
「まあ気になるよね。確かに俺は半分は吸血鬼でできてる。だけど、もう半分は人間なんだ」
「人間? では貴方は吸血鬼と人間の!」
「そういうことだね」
おれは怪我をした少女の手を引き、手当てをする。
肌は白く細い。
だけど俺のことを敵視する様子はなかった。
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