34.蛇の柄
いわゆる伏線。
おそらく明日、また違う小説を投稿するかも。よろしくね。
冒険者ギルドに戻ってきた。
すると、早速ソフィアが俺に顔を近づける。
「もう、なんで先に行っちゃうんですか!」
「ごめん。でも今はそんなことを言ってる場合じゃないんだ」
「何かあったんですか?」
「まあね」
ソフィアは俺の声色から相当な事態だと推測。
するとすぐに態度を変えて、いつもの落ち着きを取り戻した。
「この子をカナエに。俺は急いでリューツに連絡を取るから」
「わかりました。ラミアちゃん、お姉さんとあっちに行こ」
ソフィアはラミアを連れて行く。その最中、俺は瞬時にギルドから外に出て町を飛び出すと、吸血鬼の翼を展開して魔王城に向かった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「待ってください魔王様!」
「いやだよー!」
俺が魔王城に入ると、いつものやり取りを続けていた。
しかし今日も埒が明かないと困るので、実力行使に出る。
「リューツ、ライナさん!」
名前を呼ぶと、二人とも急ブレーキをかけた。
俺の姿を見たリューツは抱きつこうとするも、今日はそんなことをさせる余裕はない。
「バジリスクの紋様です」
「ちょっとアリア、それ如何言うこと」
リューツはいつもの溌剌とした笑顔からかけ離れた、醜い淀んだ表情に変わった。
眉根は寄り、瞳の色が怖い。
それだけじゃない。ライナさんの尻尾が逆立って、毛一本一本に魔力が蓄えられる。
「バジリスクの紋様が描かれた短剣です。実物は見てないけど、これが本当なら……」
「マーカーだね。となると、影が動き出したのかも」
リューツは急速に脳を回転させた。
それから爪を尖らせる。
「アリアさん、それは本当ですか?」
「おそらく。リューツもそんなに険悪にならない方がいい」
「私怒ってた? ごめんごめん」
怒るとかの次元じゃない。不安に満ちた空気に緊迫感が常時放たれた。
並の魔物なら今の魔力の圧力で他に伏せていたかもしれない。
「でもバジリスクの紋様ってことは、そこにマーカーがあるってことですよね」
「多分」
「影が動き出してもおかしくないからなー。町って色んな人の思惑が交差するから、格好の餌場なんだよね」
俺たちが危惧していたのはバジリスクの紋様じゃない。
あれはただのマーカーだ。しかしそれが奴らの狙い。俺は会ったことはないが、リューツやライナさんは知っている。蛇のマーカーを色々なものにつけておき、頃合いを見て収穫する。そうして自分たちの力に変換し、世界を陥れる。
本当に倒さないといけないものだった。
しかしその実態は未だは掴めない。俺だってそうだった。
だけどとりあえずはこれでいい。
「とりあえずこれで報告はしたので、俺は行きます」
「ありがとうございます」
「いえ」
ライナさんは丁寧だった。けれど今日のリューツは様子が変だ。俺の服の袖を掴み、真剣な眼差しになる。
「絶対に死んじゃ駄目だよ」
「俺は吸血鬼ですよ。死にませんから」
「ならいいけど」
フラグじゃない。けれど心配は助かる。
俺は笑みを浮かべていました。
「でもこれだけは言っとくね。舐めちゃ駄目だよ」
「はい、全力でやりますよ」
当然だ。
そんな相手に舐めてかかるなんて命取りだろう。
俺は魔王城を後にして町に戻ってきた。ソフィアは代わりに報酬を受け取ってくれていて、かなりの大金になった。
「はい、アリアさん」
「うわぁ凄いな」
俺は袋を受け取った。
中には大量の硬貨が入っている。一体どのくらいになったのか。
「そう言えばどちらに行かれていたんですか?」
「ちょっと魔王城に。それならソフィア!」
「な、何でしょうか!?」
ソフィアに詰め寄った俺。
するとソフィアの顔色が若干赤みがかる。しかし、
「これからヤバいのが来るかもしれないから用心して」
「は、はい?」
「だから用心。それ以外に対策は今ないから」
俺はそう言い切った。
するとプクッと頬を膨らませるソフィアだったが、すぐに元に戻ると真剣な眼差しをくれる。
「分かりました。精一杯の用心は努めます」
「それでいいよ」
「そ・れ・よ・り・です!」
ソフィアの方から今度は詰め寄った。
もしかしてだけど怒ってますね。
「何で私を置いて行っちゃったんですか!」
「いや、それはランクがあるから」
「約束したじゃないですか! もう、今度はちゃんとしてくださいね」
「は、はいはい」
俺はなぁなぁな感じにした。
だけどもそれでは満足してもらえず、俺はソフィアに腕を掴まれていた。
少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。
下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)
ブックマークやいいねなども気軽にしていただけると励みになります。
また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。




