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3.魔王様は自由人すぎます

怖いより愛くるしい方がいいよね。

 俺は気を失っていたらしい。

 しかしゆっくり寝かしてはくれないみたいだ。


「私がやるの!」

「面白がらないでください。アリアさんは病人なんですよ」

「だ・か・ら・だよ。私がやっちゃったなんて知られたら、魔王としての面目が」

「もう立たないと思いますけどね」


 俺はベッドから起き上がった。

 頭の上に置かれた冷たく凍ったタオルを見ると、さっきまでユエがいたらしい。


「ユエには後でお礼言わないとな」


 そう思ったのも束の間。

 俺は魔王様で名前で呼ばないと何故か切れるリューツに抱き着かれそうになった。

 そこで慌てて起き上がると、


「大丈夫ですって」

「ほんとー?」

「本当です。そんなことより相変わらずなんですね」

「はい」


 ライナさんはため息交じりだった。

 ほんと相変わらずなんだな。

 俺もさっさとここから出るぞ。


「それよりアリア、なんで帰ってきたの?」

「追放」

「追放?」

「それは惜しいことをしましたね。アリアほどの戦力をみすみす捨てるなんて。私なら、そんなこと絶対にいたしません」

「ほんとだよねー。私ともいい勝負するのに」


 どこがだ。

 言っておくが、俺は2人より弱い。

 竜人のリューツは魔物を統べる王であり、メイド長のライナさんはゴールドウルフと呼ばれる人狼。どちらも敵に回せば勝ち目の薄い勝負になる相手だった。


「へぇー、じゃあこれからはずっとうちにいるの」

「いや、すぐ出ていきます。ここには顔を見せに来ただけですから」

「そっかー。あっ!」


 リューツは何か思い出したみたいだ。

 するとライナさんも、


「そうでした。皆さんに連絡しなくてはいけませんね」

「連絡?」

「はい。貴方の部下達にです」


 ライナさんは手を叩きました。

 すると窓の外からカラスが入ってきた。


「ガァーガァー!」

「来たよ、ライナ」

「えぇ。これを届けなさい」


 ライナさんはいつの間に書いたのか、手紙をカラスに持たせました。

 しかしただのカラスじゃない。

 首の周りに花の環っかを付けた、奇妙なカラスだった。


「相変わらず便利ですね」

「あはは、ほんとだよねー」


 いや、貴女はずっと見てたでしょ。

 俺はそう思ったが口にはしない。

 しかしこれで久々にアイツらにも会える。

 それは何より楽しみだった。


「じゃあ俺も行きます」

「もう行っちゃうの?」

「はい。こんなところにいても、息が詰まるだけなんで」


 俺はリューツにそう答えた。

 本当はリューツも外に出たいだろうが、魔王の立場のせいで出られない。可哀そうだと思った。

 が、俺には関係ないことだった。


「そうだアリアさん、一つお話が」

「なんですか?」


 俺はライナさんに呼ばれた。

 それから耳打ちされて、


「ここから2万キロ行った先に、小さな村があります。そこに魔王軍の手の及んでいない魔物達がひしめいているそうです。早急に討伐してください」

「いいんですか?」

「魔王様の顔に泥を塗るような奴らです。生かしてはおけません」


 どこまで行ってもライナさんはリューツの味方だ。

 俺は快く了承すると、茶化される前に空を駆けた。


「皆さんはいつもの場所にいます。行ってあげてください」

「わかりました。それじゃあ」


 俺は翼を出した。

 それから、何食わぬ顔で今度は青空に舞い上がるのだった。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 俺の中もはいつもの場所にいる。

 その一言で、俺はここからかなり離れた人里に近い森の中を想像する。

 そこには小さな小屋があって、俺はそこで今れ育った。


「この辺りのはずだが……あった」


 上から見つけられれば、一発で解る。

 森の中心部分。

 人除けの魔法がかけられたそこには、赤焼けた瓦屋根があった。

 ボロくて小さな建物。みすぼらしい小屋だった。


「ここで俺は生まれたんだな」


 数年経っても何も変わらない。

 俺は時の止まったままの森の中で、1人そんなことを思うのだった。


 しかしここでただ待ちぼうけるのもつまらないな。

 そう考えた矢先、


「見つけたぞ、捕まえろ!」


 仰々しくて物騒な声が聞こえた。

 いやな予感がする。

 アイツらじゃないのは推測できるが、ここで荒らされると後で迷惑だ。


 俺は気分転換も兼ねて、声のした方に走った。


少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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