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2.魔王軍に戻ることにした

魔王城に戻った。

「さて、これから如何するか」


 俺は夜空を見上げていた。

 振り返る気はないが、背後には町がある。

 勇者パーティーに復讐する? そのために町を焼き払う? そんな愚かな真似を俺はしない。する気もない。

 だから俺はーー


「魔王軍に戻るか」


 そう決めた。

 すると背中から2枚の羽が露出する。

 黒く禍々しい翼が、夜の静寂を打ち払う。

 そんなポエムが脳裏に浮かぶが、俺は詩人じゃないのでよく解らない。


「せーのっ!」


 俺は地面に蹴った。

 すると体が宙に浮かび、2枚の翼でバランスを取る。


「えーっと、ここから魔王城までは……あぁ、ざっと10万か」


 月が目印だ。

 今月はちょうど西側に傾いている。

 つまるところ、魔王城はここから西に10万キロ進んだ先にあると言うわけだ。いやはや、よく覚えていたな。


「よし、行くぞ!」


 俺は魔王城目指して飛んだ。

 その姿は夜の風景に溶け込み、俺の存在を知覚することは誰にもできなかった。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 魔王城。

 それは魔物の王で最凶最悪の存在、魔王が住う根城。

 何百ものモンスター達がひしめき合い、魔王に忠誠を誓う魔王軍幹部もここにいることが多い。


 勇者パーティーの目的は、魔王城に辿り着き魔王を討伐すること。

 そうすれば世界は平和になると、本気で信じているみたいだ。

 しかし実際は違う。


 魔王は魔物を従えない。

 人々の間で魔物がモンスターと呼ばれるようになったは、魔王の強さに惹かれた魔物とそうでない魔物、知性を持たない魔物も多く、反旗を翻すものも多いから、その区別のためでもある。

 だから今以上の平和と安全を手に入れることは易々とはいかない。それに、


「変わらないな、魔王城」


 俺は魔王城にやって来た。

 人々の間で噂される魔王城は、赤く渦巻く空の(たもと)に、おどろおどろしい血の池、闇を体現したかのような居城があるのではないかとされているが実際は全然違う。

 そこにあったのは、


「壮観な青空、透明度の高い湖、黒は黒でも、埃一つない綺麗な城……多分これ見たら腰抜かすんだろうな」


 俺はため息を吐いた。

 まさか戻ってくることになるとはな。

 さてと、手始めに魔王様に挨拶でもするとするか。


「よっと」


 俺は地面に降りて、翼を仕舞う。

 すると早速俺に声を掛けてくれたのは、魔王城専属の庭師だった。


「アリア? アリアじゃないか。どうしたんだ、こんなところで」

「グレットさん。また草むしりですか?」

「まあな。それで、いつ帰って来たんだ」

「今さっきです。魔王様、いますか?」


 俺がそう話をしているのは、グレットさん。

 魔王城で長年、庭師をしているスケルトンだった。

 スケルトンと言っても、ただの骨人間じゃない。戦えば幹部クラスで、俺でも苦戦する相手だ。

 プライム達なら即死だろうな。


「ええいますよ。それよりアリア、戻るなら戻ると言っとけよ」

「すんません。それじゃあ、挨拶来ます」

「気をつけろよな」

「うぃー」


 俺は手を振って返した。

 さてと、魔王様は今頃何してるんでしょうね。

 何となく想像はつくけれど、俺はその足で魔王城の中に入った。

 入ったのだが、


「待ちなさい、魔王様!」

「やだよー!」


 城の中に足を踏み入れると、早速嫌な予感が的中した。

 俺の目の前を狼の耳を生やした金髪の女性メイドと、ブランドヘアーに緑のメッシュが入った小さな女の子が追いかけっこをしていた。


 女の子は構って欲しいのか、メイドに追いかけ回されている。

 全く相変わらずじゃないか。


「ブラッドナイフ」


 俺は埒が明かないと思い、魔法で作ったナイフを地面に打ち込んだ。

 俺の魔法は血を使う。

 真っ赤なナイフが2人の目の前に突き刺さると、流石に止まるしかなかった。


「よっと!」

「ほいっ」


 2人はナイフを軽く飛び越えた。

 この身のこなしの鋭さ、只者ではない。

 それは解っている。何故なら、


「このナイフ……あれ?」

「もしや、アリアさん?」

「はい。ここにいますよ」


 声をかけると素早く俺の方に視線を移した。

 狼の耳を生やしたメイドはすぐに冷静を取り戻すと、


「お見苦しいところをお見せしましたね。それで、いつお帰りに」

「今ですよ。それより、ライナさん。それから」

「わーい! アリアだ!」


 俺は女の子に抱きつかれた。

 その瞬間、体を逸らして逃げようとしたが、ギュッと掴まれ、腰が砕けるぐらい痛かった。


「い、痛い……やめてください。魔王様!」

「魔王様? 私にはリューツって名前がちゃんとあるんだよ」

「リューツ、リューツストップ。死ぬ、死んじゃう!」


 意識が途切れそうだった。

 しかしすんでのところでリューツは腕を離してくれた。

 しかし息を整えるには少し時間が必要だった。

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