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1.追放されてしまった

新作です。

 俺達はモンスターに襲われていた町を救った。

 しかしそんな最中、俺は仲間に呼び出され、宿の一番良い部屋に来ていた。

 そこでパーティーのリーダー的存在。

 人類の希望、勇者プライムは俺にこう切り出した。


「ごめん、アリア。今日限りで、パーティーから抜けてくれないか」

「はあっ!? 冗談だろ」

「冗談じゃないよ。君は僕達のパーティーには必要ない。皆んなで決めて、そう判断したんだ」


 突然のことで理解できなかった。

 俺が一体何をした。何かまずいことでもしただろうか。

 いや、その記憶はない。自覚もないが……とにかく、仲間に迷惑をかけた覚えはない。


「プライム。俺は何かしたか?」

「いいや、君は何もしていない。むしろ、これまでよく頑張ってくれていたよ」

「だったら!」


 俺はつい怒鳴ってしまった。

 すると、


「いい加減諦めたら如何ですか、アリアさん」


 そう口火を切ったのは、賢者ロットスだった。

 彼は眼鏡をクイッと上げて、不敵な笑みを浮かべていた。


「ロットス」

「いいですか。確かに貴方はよく頑張ってくれていましたよ。僕も最初は君の強さに悲観していました。あれは貴方と最初町で会った時です。突然暴れ出したモンスターを意図も容易くねじ伏せてしまった。しかしそれまででした。僕の推測によると、あれが貴方の限界値。ただのまぐれでモンスターを倒しただけで、それ以外貴方は目立った活躍の一つもしていないではないですか」


 言い返せなかった。

 俺は確かにロットスの言った通り、初めてプライム達と会った時暴れたモンスターを倒した。

 しかし、それ以外で戦闘に深く手を貸すことはなかった。

 俺がいなくてもプライム達だけでどうにかなることも多かったからだ。

 しかし、


「交渉や採取、村人からの頼み事は、ほとんど俺がやっていたんだぞ」

「それぐらい誰にだってできるわ」


 魔法使いの少女、リナが口を挟んだ。

 確かに俺のやって来たことは、誰しもが当たり前にできることの延長線だ。

 しかし、


「飯は如何するんだよ。お前達にできるのか!」

「それぐらいなんとかしてみせるよ。だって僕達は勇者パーティーなんですよ。悪名高き魔王軍から、人類を救う希望として救世主として、選出された名高き存在。しかし貴方は如何ですか?」

「無名……」

「そうです。そんな人がいるのは目障りなんですよ。僕達の名に傷をつけるだけ。そんな人は要らないんです」

「プライム……」


 俺はプライムを見た。

 彼はこんな時、冷静な思考で考えられる人間だ。

 きっと解ってくれるはず。そう思ったものの、


「確かにロットスは言い過ぎだ。けれど、これ以上君を縛り付けるわけにもいかない。これ以降、きっと魔王軍はより強くなる。魔王軍だけじゃない。僕達の首を狙って、より多くの敵が現れるはずだ。だから君には居てほしくない。たとえ勇者パーティーとは言え、その……役立たずを守れる保証はないんだ」


 プライムは目を背けながらそう言った。

 如何やら本当らしい。

 俺は最後の仲間、戦士ガレゴスに視線を移す。


「ガレゴス」

「すまんな。俺も、お前を巻き込むのは反対だ。よく頑張ってくれた。これからは、俺達の勝利を祈っていてくれ」


 ガレゴスにもそう言われてしまった。

 俺は言い返す言葉がなくなる。

 するとロットスは、


「と言うわけだ。貴方はもう要らないんですよ。いいですか、はっきり言います。貴方は邪魔。少し強いだけの一般人はとっとと帰って寝ていなさい」

「そうだな……わかった」


 なるほどな。如何やらロットスは俺のことが相当気に食わないらしい。つまり、こうなったのもコイツのせいか。


「ロットス」

「何ですか、アリアさん」

「お前は俺のことが嫌いか」


 そう尋ねると、ロットスは速攻で答えた。


「ええ、大嫌いですよ。貴方のように見せかけの力しかないような一般人が、このパーティーにいることがね!」

「ロットス!」


 プライムは怒鳴りつけた。ありがとな、プライム。

 けれど、俺は決心した。

 それがコイツらが決めたことなら俺はそれに従うだけだ。

 勇者パーティー。俺にはそこにいる資格も居場所も初めからなかったわけだ。


「じゃあ行くよ」

「待ってくれ」


 俺は荷物をまとめて出て行こうとした。

 しかしプライムは俺の耳元でこう囁く。


「僕は君のことを大切な友人と見ている。だから、これからも仲良くしよう。これはその証だ」


 プライムは他の仲間にバレないように俺の手の中に硬いものを握らせた。

 チラリと視線を動かせば、金色のメダルがみえる。

 王家の証。

 プライムは、最後まで俺のことを信じてくれていたわけだ。


「今までありがとう。じゃあな」

「ええ、さようなら」


 ロットスは軽快な拍手を俺に送った。

 しかし睨むでもなく、妬むでもなく、俺は嫌味の困った拍手を背中で感じながら、宿を後にした。


 村を出た俺。

 荷物をリュックに詰め込んで、少し肌寒い中夜空を見上げた。


「これから如何するか。まあとりあえず……」


 俺は考えていた。

 こうなることも。こうなるように仕組んだ奴のことも。

 だけどそんなのは関係ない。

 俺がやることは決まっているからな。

 

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