ろくわめ!お母さん!もう私一人でも生活できるからそんな心配しないで!
永久ちゃんと寮へ帰った俺は自室の扉を開く。
因みに永久ちゃんの部屋は隣であった。
流石親バカな理事長だね!
さて、部屋に帰ってきた俺は『帰ってきたぞマイルーム!
』と叫びたいところだが、そうするわけにはいかない。
なぜかって?
親バカなお母さんが部屋に監視カメラを設置されている可能性があるからだ!
というかなんか視線感じるから多分ある!
数分後……
……まじかよお母さん、なんで100個も監視カメラがあるんだよ。
盗聴器に至っては200個も……
過保護すぎて怖いよ。
……制服にもなんかついてそうだし調べるか。
ふと、制服の重量が気になり体重計に乗せてみた
「……10kg……」
絶対なにかあるな……
というか10キロの服を着ていることに気づかない俺の体どうなってんの?
数分後……
服を調べた結果GPS4個、小型カメラ20個、盗聴器40個が搭載されていた。
嘘だろママン……
というかあの機械達だけで10キロあるわけじゃなくて服自体が8キロあったぞ。
試しに包丁で刺したら包丁が折れたんだけど……
多分防弾性能もあるだろこれ……
しかも所々に非金属の武器があったぞ。
メリケンサックにナイフ……一体何を想定しているんだ?
そして武器の場所を教えなかったら使えないだろ。
なんで教えてくれなかったのさ。
多分娘が武器を振るうなんて嫌だったんだろうな!
とりあえず全部はずしておいたよ!
……メリケンサックだけ残したけど……
うん、とりあえずこのカメラ達は全部理事長室の前に置いておくか。
一応手紙も添えておこう。
内容は……
こんな過保護じゃなくても大丈夫だから心配しなくていいよ?
だな。
* * *
織夏が理事長室の前にカメラなどをおいた後、理事長室では親ばか理事長こと李治理事長が心配そうな顔をしていた。
「う〜む、心配だ……」
まさか全ての監視カメラなどを撤去してしまうとは……
流石は我が娘とも思うがやはり不安だ。
部屋に不法侵入をした男に襲われてしまわないだろうか……
やはりもう一度設置を……
「やめておいたほうがよろしいかと。」
「なんだ、黒福じゃないか、どういう意味だそれは?」
「もしかすると過保護な奥様が嫌になって嫌われてしまうやもしれません。」
「!?それは駄目だ!」
「でしょう?」
ならどうするべきか……
監視役をつけるか?
いや、間違いなくバレてしまう。
う〜む……
「もう少し織夏お嬢様を信じてはみませんか?」
「うん?充分私は我が娘を信じているぞ」
「ならば織夏お嬢様が一人でも生活できると信じてあげましょう、お嬢様はもうすでに護衛全員を相手に無傷で勝ててしまう力を持っていますので……」
「……そうか……そうかも知れんな、よし、これから一ヶ月何事もなければそうするとしよう。」
「はい、それがよろしいかと。」
娘よ、信じているぞ。
* * *
その頃織香は永久の家の前で仁王立ちをしていた。
ピンポーン
ガチャ
「あれ?織香ちゃん?どうしたの?」
「お姉ちゃん!お買い物にいかない?」
「え?うん!行く!」
「やった!」
ふふふ……
永久ちゃんには可愛い服を買ってあげないとねぇ……
「お待たせ!」
「じゃあ早速行こっか!」
「あっ、今回はバスを使ってね」
あ〜、そういえばそんな約束したな……
「も〜、それは体育館前で約束したからわかってるよ〜」
「あははっ、ごめんごめん」
「む〜」
「ごめんって、一つ言うこと聞くから許して?」
「え!?本当に!?」
「うん、嘘なんてつかないよ。」
よし、言質は取ったぞ。
ふむ……
そうだ!
これで逃げられなくしてやる。
「じゃあ私と姉妹コーデしよ!」
「……え?」
「だめ?」
このとき上目遣いと涙目を忘れてはならない。
「うっ、そんな顔されると断れない……」
「言うこと聞いてくれるって言ったのに……」
「わかった!わかったから!泣かないで?」
「……うん!」
「うぅ、ちょっと恥ずかしい……」
よ〜し、早速バスに乗るぞ〜
……なんでちょうどよくバスが出発したんですかねぇ……
な〜んで客が一人もいないんですかねぇ……
ど〜して運転手が俺の護衛の人なんですかねぇ……
……親バカ過ぎる……
俺のやつは全部取ったはずだから多分永久ちゃんに着いてたやつだな。
……買い物中に制服のやつは全部外すか……
因みに今向かっている商店街はこの女学院の中に建てられているものだ。
やっぱり意味わからない広さだな。
フィクションかよ。
フィクションだったわ。
さて、気を取り直して永久ちゃんと話すとしよう。
「私達以外に誰も客がいないなんて……、偶然だね。」
「うん!そうだねお姉ちゃん!」
まぁ、気にするよね。
時間帯的には他の生徒が買い物に行くために乗っててもおかしくないし。
まぁ、寮のご飯があるからいなくてもぎりぎりおかしくないかな〜という感じだ。
「ねぇねぇ、お姉ちゃん、なんで制服なの?」
「うぇ!?」
まぁ、学生だし、学校終わってからまだそんなに時間も経ってないし、女学院だから可愛い子ぶる必要もないから制服でもおかしくないけど、永久ちゃんは女学院に男子高校生らしく偏見があるだろうから気づかないだろう。
「えっと……」
「この前は私服だったよね?あれ?そういえばあのときの服装はやけにボー「入寮するときに入れるの忘れてて」……へ〜、そうだったんだ!お姉ちゃんも結構抜けてるところがあるんだね!」
「あう……」
う〜む、顔が真っ赤。
恥ずかしがってる顔も実に可愛らしいな。
その後、俺はバスが目的地に着くまで永久ちゃんと駄弁っていた。
……駄弁るってもう死語らしいなぁ……
親バカが金持ちだとやばいことになるってはっきり分かんだね。
因みに制服や監視カメラなどの値段は総額520万程度らしいが、これでも母親のポケットマネーの1兆分の1にも満たないらしい。