ごわめ!お姉ちゃんカッコ良い〜!
ちょっと短いです。
僕たちが多田野先生に連れられて第一体育館に入ると多田野先生が口を開いた。
「これからオリエンテーションの説明をするわ。」
オリエンテーション……
勝ったら学食がタダになるんだから絶対に勝たないと。
正直引き取ってくれた李治家からもらったお金を使うのは気が引けるし可能な限り消費は押さえたい。
「オリエンテーションで行う競技はバスケットボールよ。」
バスケか……
そんなに得意じゃないけど勝てるかな?
「これからこのくじを引いて赤と青の2チームに分かれてもらうわ。」
そう言われ、差し出されたくじを引く。
赤か、チームメイトは誰になるかな?
「お、あんたも赤チームか、ならこっちにきてくれ。」
「えっと、たしか姉伍さんでしたっけ。」
「ああ、そういうおまえは......、わりぃ忘れちまった、なんてなまえだ?」
「音湖 永久です。」
「永久か、よろしくな!」
なんというかさっぱりとした人だな。
いきなり人を名前で呼ぶ当たりなんというか苦手なタイプかもしれない。
僕はどちらかといえば陰に属するタイプからなぁ。
「これでチーム分けはできたわね、ならさっそく始めるわよ。」
先生にそう言われバスケの試合が始まった。
最初は青チームがボールを取り、そのまま攻めあがってくる。
僕は試しにそのボールを奪いに行くことにした。
「あっ」
「あれ?」
思いのほか簡単にボールを奪うことができてしまいあっけにとられつつそのままゴールへ向かう。
当然青チームの人たちがボールを奪いに来るものの簡単によけることができてしまい、そのままボールをリングへ投げ入れることができてしまった。
「あれぇ?」
なんだこれ、僕こんなにバスケが得意だったっけ?
......あ、そうか、僕しか男がいないんだった。
しかも女子バスケだからリングもちょっと低めっぽいし、そりゃあ簡単に入るか。
「結構やんじゃねぇか永久!!」
「うわっ!?」
び、びっくりした。
いきなり耳元で話さないでくれよ姉伍さん。
「その調子で次も点を入れてくれよ永久。」
「は、はい。」
その後、結局僕や姉伍が主に点を入れ、大量得点差のまま赤チームの勝利となった。
「勝利した赤チームにはこの食堂のチケットを渡しますので来てください。」
そう多田野先生に言われ、食堂のチケットをもらった。
よし、これで一週間分の昼食代が浮く。
* * *
カッコ可愛かったなぁ……
永久ちゃんの試合を見て俺はそう思った。
というか、いくら自分以外が女子でそれに合わせたコートだからと言って、そんな簡単にポンポン点を入れられるものじゃないと思うんだけどなぁ。
実際前世の学校で男女混合でバスケをしたときは普通の試合になったし。
なんというか、この自分を普通の人だと思っている感じがいいんだよ。
まぁ、男の娘に限るけど。
あっ、そんなこと考えていたら永久ちゃんたちが帰ってきたようだ。
「お姉ちゃんおめでとう!」
「うん!やったよ!」
永久ちゃんの手にはチケットが握られていてほくほく顔だ。
などと考えていると先生が口を開いた。
「この学園では一週間に一回このような試合が行われます。そして月に一度に一週間ごとに行われた試合での優勝者が参加する試合が、そして一年に一度一月ごとに行われた試合での優勝者が参加する試合があります。」
因みに一年に一度の試合では理事長であるお母さんが観戦しに来るよ。
「ではこれより本日の授業は終了とします。各自帰宅の準備をしてください。」
よ〜し、帰るぞ〜
「あっ、織夏ちゃん!一緒に帰らない?」
「うん!お姉ちゃんといっしょに帰る!」
永久ちゃんに誘われて断るやつは男じゃないよね!
まぁ俺もう女の子だけどね。
「あっ、そうだ、織夏ちゃんは試合をする予定あるの?」
「ふぇ?う〜ん……、今のところは考えてないよ。」
「そっか、よかったぁ〜」
「ん?何が良かったの?」
「だって織夏ちゃんと敵対するなんてやだもん。」
「そっか!」
ふへへ……永久ちゃんはかわいいなぁもぅ。
因みに実際参加する予定はマジでない。
なぜかって?
多分無双しちゃうからだよ!
正直今の俺並みの身体能力を持ってる奴なんてこの学校どころか世界中探してもいる気がしないし。
......あ、ごめん嘘ついた。
そういえば俺と同じぐらい強いかもしれない人がこの学校にもいたわ。
まぁ、あの人もそうそう試合に出ることはないと思うから実質いないようなもんだし気にしなくていいか。
織夏と同じぐらい強い人はそのうち登場する予定です。
いつかは知りません