にじゅうごわめ!ステージギミックっていうより罠だね!
実は入学してからまだ一週間しか経っていなかったりする。
ペース悪!?
学校を休んだ翌日……
正直、あの送られてきたステージギミックのデータだと、あんまり良くわからなかったから、実際に体験してみようと思い、俺は理事長室へ向かうことにした。
資料の最後にさらっと、体験してみたいなら理事長室に来るように書いてあるあたり、娘のことがよくわかっているんだなぁと思ったね。
ということで理事長室をノック。
コンコン
「織夏だな?入るといい。」
……ノック音で人物の特定ってできるもんなのかな?
ガチャ
「お母さん!あの資料じゃよくわからなかったから実際にはやらせて!」
「あぁ、分かった。ログインするのにはこの私の横にあるものを使え。」
「うん!」
やっぱり話が早いお母さんだなぁ〜
……あれ?
なんかタバコ吸ってない?
前までは吸ってなかったのに。
「あれ?お母さんってタバコ今まで吸ってたっけ?」
「ん?あぁ、今までは受動喫煙を防ぐためにやめていたんだ。」
「え?じゃあなんで今は吸っているの?」
「有害物質が含まれないタバコを開発したからだな。」
……あれか!
お子ちゃまタバコってこのために開発したのか!
「そうだ、せっかくだし織夏にもやろう。」
「え、あ、うん、ありがとうお母さん。」
ということでタバコ入りのポーチを貰った。
ポーチ……
ゲームだとストレージを54枠増やすアイテムだけど。
因みにストレージ一つで1種類のアイテムが99までで、それがもともとの状態だと54枠ある。
さて、ここで問題、ポーチにどれぐらいのタバコが入っているでしょうか?
正解はタバコが一箱に20本入って居て、それがカートンに入っている、これが一種類のアイテム換算だ。
それがポーチに入っている。
そう、ポーチの中に今言った内容のポーチが入っているのだ。
つまり、20×10×99×54×99×54でなんと57億1594万3200個入っている計算になる。
……こんなにいらね〜
とりあえずポーチはポケットに入れておくか。
因みに日本でのタバコの総消費量は一年で988億本らしい
こんだけあっても一年分に達しないってタバコの魔力は恐ろしいね。
さて……
タバコはあとで吸ってみるとしてとりあえず話を戻そう。
「じゃあログインしてみるね!」
「あぁ。」
ステージは……5つもあるじゃん。
まぁいいや、1つずつ検証しよう。
「コネクション!」
* * *
え〜と……最初のステージは……森林?
!?
うおっ、いきなり矢が飛んできたんだけど!?
うわっ、また来た!
……まただ。
なるほど、このステージが5秒その場にとどまると矢が飛んでくるステージか。
ふむ、正直矢の発射音がかなり大きいし姉御なら簡単に避けるなり弾くなりできるだろう。
次のステージに行くとしよう。
* * *
このステージは……ビルの内部みたいだな。
ふむ、なんかタイルの色が他と違うところがあるな。
試しに触れてみるか。
チョン
ガタ
あ〜……落とし穴か。
うまく使えば敵を落としたりもできそうだな。
うわっ、下にトゲがある。
落ちたら即死っぽいな。
まぁ、姉御には床をちゃんと見とけって言っておこう。
次!
* * *
このステージは……草むら?
ん?なんか光ったような……うわっ。
じゅ、銃弾?
あ〜……このステージは立ってると打たれるギミックがあるやつか。
正確には草から体を出すと打たれる。
まぁ草は1mぐらいあるから少し屈めば問題ないな。
ただし俺の場合はだが。
俺の身長は140cmだが、姉御はなんと180cm。
普通に男子高校生よりも身長が高い気がする。
だいぶ屈む必要があるからきついだろう。
幸いVR内では疲労がないので幾ら屈んでも疲れたりはしないだろうが苦しい戦いにはなりそうだ。
じゃあ次
* * *
次のステージは……市街地?
ん?
あれ、なんか腰についてる。
これは……拳銃?
それにマガジンが20本か。
なるほど、ここが強制市街地戦か。
うわ……戦車が居るよ……
銃で戦うのに慣れてないと苦労しそうだな。
あとで姉御に使わせてみるか。
最後!
* * *
ラストステージは……なにもない荒野だな……
え〜と、たしかデータにはこのステージのギミックは敵の追加だったか。
……居なくね?
バグでも起きたか?
……ん?なんか違和感が……
ん!?
何だこの体、まるっきり元の体とは違うぞ!?
身長は変わってないが体がゴツくなってる。
そう、いわば男性的な……
……男になってるわこれ。
『あ〜あ〜、織夏よ、聞こえといるな?』
「お母さん!?」
うわっ、声もショタみたいになってる。
『聞こえているようだな、このステージでは織夏に妨害キャラとして出場者と戦ってもらうことにする。』
「え!?」
『ただし、一回でも攻撃を喰らえばすぐに消滅する、たとえどんなに軽い攻撃であろうとな。』
う〜ん……まぁ、妥当なルールか。
『これならイカサマも簡単であろう?』
「うん!ありがとうお母さん!」
『さて、ステージギミックの確認も終わっただろう?戻ってくるといい。』
「わかった!」
* * *
「戻ったようだな。」
「うん!」
ステージギミックの感想だが。
おそらく4つ目のステージ以外は姉御は問題ないだろうと思う。
「そうだ、出場したら優勝しそうだなと思う奴はいるか?」
優勝しそうな奴か……
やっぱり姉御かあの裏ボスだよな……
「えっと……姉御かな。」
「姉伍か……」
「あっ、あと一人いるよ!」
「ん?そいつは誰だい?」
「えっとね……」
たしか……そう、ネットで見た内容によると……
「治作 野摘だよ!」
「……治作?そうか、治作か。」
ん?なんか反応が変じゃなかった?
「ねぇお母さん、治作になにかあるの?」
「ん?あぁ、あいつはナスタチウム国からの留学生なんだ。」
「え?ナスタチウム国?」
なんで隣国の名前が?
「本来なら入れるつもりはなかったんだが国が入れるように行ってきてな、断っても良かったんだが面倒事が起きても嫌だから仕方なく入れたんだ。」
「へぇ〜」
国がわざわざ入れるようにねぇ……
「まぁ、どうでもいい話だ、織夏が気にするようなものではない。」
「……うん!わかった!」
「ふふっ、あ、そうだ、もし姉御と治作が大会に出るのなら最終試合で当たるようにしておくとしよう。」
「えっ、本当!ありがとうお母さん!」
感謝の気持を表すために、理事長室のデスクを飛び越えてお母さんの胸にダイブした。
「ぐふっ……」
「ふぇ!?お母さん鼻血が出てるよ!?」
「大丈夫だ、問題ない。」
なんかそれ聞いたことあるな!?
しかもだめな方向で!
……娘に抱きつかれるごとに鼻血を出すってどんだけ娘が好きなんだよ。
「えっと……あっ、救急箱!」
念の為もっといていたが本当に使うとはな……
数分後……
「お母さん大丈夫?」
「あぁ、問題ない。」
う〜ん、イマイチ信用ならないな……
まぁいっか。
「じゃあ姉御に会いに行ってくるね!」
「あぁ。」
さ〜て、姉御を鍛えるぞ〜