いちわめ!女装物ADVっていいよね!
電気のついていない暗い部屋の内。
そこにはパソコンを使い、一人女装物ADVをしている俺がいた。
……さてはもてない童貞男とか今思ったな!
そのとおりだ!
……泣いていいかな?
泣くわ。
うぇぇぇぇん!!!
泣きながら女装物のADVをしている男……変態かな?変態だったわ。
さて、それはさておき俺はとある女装潜入物のADVをしている。
因みに7周目である。
このゲームは大雑把に説明すると、とある事情によって主人公が如創女学院に入学し、ヒロイン達とイチャコラする話だ。
如創女学院とかそのまんまだな。
でだ、主人公こと攻略される側の名前は音湖永久。
つまり男とは?と名前からも疑問に思われている男にはまるで見えないヒロ……主人公である。
なお、一応身体能力は高く、作中では二人組のナンパ男を撃退していた。
ちなみにこの作品でお嫁さんにしたいランキング1位だ。
そしてヒロインこと攻略する側は5人居る。
まずはメインヒロインの順条 陽香からだ。
陽香はメインヒロインで最もチョロく、名前からわかるように純情なキャラである。
まぁ、純情と言いながら主人公を押し倒したりするのだが……
次からはサブヒロインの紹介で、最初に姉伍 落芽だ。
サブヒロインでありながらヒロインの中で一番人気であり、姐御肌で守ってくれそうな人でありながらたまに見せる可愛さがあるのだ。
そして何よりかわいい主人公とカッコ良いヒロインがよく合うのだ。
次に琴美 春代。
お姉さんキャラでお淑やかなヒロインだ。
主人公とのカップリングの絵では、基本的に姉妹のように描かれることが多い。
そして次に斎弾 詩上。
ボーイッシュなキャラで姉伍とはまた違ったカッコ良さがあるヒロインであり。
姉伍に次いで2番目にヒロインの中で人気のあるキャラだ。
最後に千星 智恵。
名前からわかるだろうが、先生である。
先生との禁断の恋が楽しめる……のだが、男の娘とのカップリングに合うかと言われたら微妙なためヒロインの中で一番人気がないキャラだ。
さて、ここで俺がこのゲームを今説明した理由を教えよう。
そう!俺は今!このゲームの完全攻略の目前に居る!
もしいま俺が左クリックを押したらヒロインの最後のセリフが聞けるところだ!
ちなみに攻略するヒロインは最後まで放置していた千星先生だ!
さぁ、左クリックをするぞ!
ほれカチッと!
『先生と生徒、年齢が離れた私達だけど、一緒ですよ!』
よっしゃぁぁぁぁぁ!
完全攻略じゃぁぁぁぁ!
……まぁ、あとスタッフロールがあるのだが……
俺はもう一度左クリックをして、スタッフロールを見ながら余韻に浸かる。
いや〜……結構ボリュームあったなぁ……
というか主人公が可愛すぎるだろ。
あれならお嫁さんにしたいランキング1位になるのも頷ける。
おっ、スタッフロール終わった。
俺は左クリックをして、パソコンのスクリーンに表示された『隠しヒロインが解放されました。プレイしますか? YES NO』という画面を見る。
……え?
俺はパソコンのスクリーンを二度見した。
そこには『隠しヒロインが解放されました。プレイしますか? YES NO』という文字がある。
……へ?
これで完全攻略じゃなかったの?
イベントCG部屋はさっき千星攻略する前に見たときには最後のイベントCGの分だけが空いた99%の状態だったよ?
……まじかぁぁぁぁ……
さっきまで完全攻略だと喜んでいた自分に恥ずかしくなってくるよ……
……まぁ……ゲームの続きがあるのはいいことだよね。
よし!気分が良くなってきた!
隠しヒロイン……
やってやろうじゃねぇか!
俺は勢いのままYESをクリックした。
* * *
俺は誰かに抱きかかえられたような感覚と息苦しさから目を覚ます。
そこにはナース服を着た女性がいた。
え?病院?ゲームのやり過ぎで倒れたとか?
というかこのナースでかくね?
いや、というか視界に入るもの全部がでかいんだけど……
とか思っていたらいきなりナースに叩かれた。
え?なんで?泣くよ?泣くわ。
「うえぇぇぇぇん」
え?ほんとに泣いちゃったんだけど。
やべぇ、めっちゃ恥ずかしい、大の大人が大泣きとか恥ずかしいことこの上ないわ。
……あれ?いま気づいたけど息苦しさがなくなった?
ちゃんと呼吸ができてる気がする。
泣いたから?
あれ?なんかどっかで似たような現象聞いたことがるな。
確か赤ちゃんが生まれたときは産声を上げないと 呼吸できないから産声を上げない場合叩いて無理矢理上げさせるって……
ふと周りを見ようとして、首が回らないことに気づいた……
そういえば赤ちゃんは少なくとも2ヶ月は首がすわってないから動かせないんだっけ?
……え?まさか……
そんなことありえないよな?
俺は、俺を持ち上げているナースが誰かに俺を渡そうとしていることに気がついた。
そこには我が子が産まれたことを喜んでいるような顔をした美しい女性がいた。
……すぅ……
これ転生してるね!!!!!
* * *
産まれてから一年ほどが経ち、ようやくはいはいができるようになった頃。
俺と今世でのお母さんとお父さんが居る家にピンポーンというインターホンの音がなった。
因みに住んでいるこの家はめちゃくちゃでかい。
どこかのお嬢様にでも生まれたのだろうか。
え?お嬢様って誰かって?
俺だよ。
うん、TS転生ってやつ。
いや〜、あれがないことに気づいたときはびびったよ。
結局卒業せずに終わっちゃたなぁ……
まぁ、過ぎたことは仕方がない、気持ちを切り替えよう。
切り替えが早いのは唯一とも言ってもいい俺の特技だからな。
さて、インターホンがなったというのだから誰かが来たわけだが、誰だろう?
今までインターホンはこの家ではほとんど聞いてなかったんだが。
……せっかくはいはいもできるんだし覗き見するか。
ハイハイで頑張って移動し、偶然にも少し開いていた扉から客間を覗き見する。
そこにはお母さんと知らない男性がいた
「李治理事長、少しお話が」
「わかったわ、どんな内容かしら?」
……理事長?
え?お母さん理事長だったの?
「本校、如創女学院の運営についての相談がりまして……」
……如創女学院……だと……
確か俺が死ぬ直前にやっていたADVの舞台になる高校の名前じゃないか?
そういえばあのゲームで李治理事長っていう人物がいたような……
え?まじで?
ふと、俺はあの『隠しヒロインが解放されました。プレイしますか? YES NO』という選択肢を思い出した。
……まさかあれって隠しヒロインを攻略するプレイじゃなくて隠しヒロインになって主人公を攻略するプレイだったのか!?
……俺はどうやら『僕とお嬢様のお姫事』の世界に転生したようです。
急に書きたくなりました。
これって、ゲームの世界だから異世界なんですかね?
魔法とかないから現実世界にしたんですけど……