表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/122

70話 復活の烏城

 俺たちは早苗さんの運転するレンタカーで泉の入院している病院へと向かっていた。

 ちなみに早苗さんが運転しているのは、翼さんが泉を心配して病院近くのホテルに泊まってるからであり、俺はあの美人なお姉さんに大切にされている泉がなんとも羨ましかった。

 やはり、比べてしまう。なにしろ俺の妹は現在進行系で……。


「きたー! 久方ぶりの”生”泉さんだよ! 目が焦げる!」


 勝手に目を焦がしていて下さい。先程からテンションマックスで興奮している実の妹を横目に俺は、努めて無視するように後ろを振り向いて大塚ちゃんに話しかけた。


「なあ、大塚ちゃん」


「なんだ? モブ顔」


 3列目で彩と一緒に座っていた大塚ちゃんはなにやら警戒した目でこちらを見てきた。


「お前、抱かれてくれないか?」


 俺がそう言うと、大塚ちゃんは顔を真赤にして叫ぶ。


「ななな、何を言うんだ! モブ顔!?」


 俺はなぜか慌て始めた大塚ちゃんを前に少し、自分のセリフについて考える。


「あ、やべ。梓がうるさいから、次のサービスエリアで俺と席を変わってくれ」


 脳内ピンクなおませさんにそう言い直すと、大塚ちゃんは怒鳴り始めた。


「嫌だ! モブ妹は嫌だ! モブ妹の横なんて絶対に断る!」


 大塚ちゃんがそう言うと、どこか面白そうな顔をした彩が大塚ちゃんの耳元へ何かを吹き込んだ。


「……”は”ねぇ」


 何かを吹き込まれた大塚ちゃんはさらに顔を真赤にさせると、ぷいと窓の外を見てしまった。


「お前何言ったんだよ」


 俺がそう内心で絶対笑っているであろう彩に尋ねると。


「さあ、何を言ったのかしらね?」


 疑問に疑問を返してきた。そして、なんか静かになったなと、この原因を作った我が妹の方を見てみれば。


「お兄様、それで大塚ちゃんを抱けるのはいつなのでしょうか?」


 もう、縁切ってもいいでしょうか?


 ……本日の勝敗結果・大塚ちゃん敗北



「ここに泉殿がおられるのでございますな」


 と、今までずっと裏方で泉の捜索に協力していた田所が目を細めながら病院を見た。


「ここで待ってれば泉が出てくるらしいから」


 俺は翼さんからのメッセージを見ながらそう言う。

 

「田所もありがとうな。裏方のサポートでもどかしい気持ちもあったと思うけど、すごく助かったよ」


「拙者は拙者にできることをしただけですぞ」


 田所の言葉に俺たちが男の友情を深めていると、病院の裏口から、あの老医者と看護師さん、それに翼さんに付き添われるようにして泉が出てきた。


「ふ、これで僕も復活というところだね」


 泉はそう言うと俺の前に立った。

 そして、そのまま何も言わぬまま俺以外のメタガラスのメンバーを見る。

 さては、俺以外からはまだ許しの言葉をもらえていないことを気にしているのだろうか。

 しかしまあ、そんなことを気にしたってどうせ。


「”生”泉さんなんだよ!」


 気にしたって梓がと俺が思っていれば案の定、梓はそんな訳のわからんことを言いながら泉に突撃していく。


「あ、ぼ、僕に触れるな!」


 そしてやはりというべきか、前にも見たことのあるような光景が目の前に広がるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ