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24話 自己紹介

 俺が再び玄関へと戻ると、すでに彩が合流したようで、彩がうまくリビングへと誘導してくれていた。


「じゃあ、烏城さんが来るまでリビングで待ってましょう」


「あ、すみませんね。まさかチチさんも今日面談あったなんて」


 状況を見るに、彩は面談のためにたまたまうちに来たという体で梓に助太刀してくれたようだった。


「あ、お兄さんですよね? どうも、VTuberの涙子をやってます。松井早苗(まついさなえ)と言います。あ、これオフレコでおねがいしますね?」


 涙子おねえさんこと、早苗さんは、そう言うと、すたすたと近寄ってきて、俺の目の前に来た。


「俺は、そこの松浦梓の兄の傑といいます。いつも妹がお世話になっています」


 そう言って、挨拶をすると、早苗さんの後ろで小学生と思わしき女の子と立っていた彩が呆れたように首を振るのが見えた。どうか、許してほしい。


「それでなんですが、実は今日伺わせてもらったのは、私のメタガラス参加に関する面談のためでもあるんですけど、実はこっちの女の子の相談のためでもあるんですよね」


 そう早苗さんが言うと、その女の子に手招きする。


「ちょっと、口が悪いんですけど悪い子じゃないんで」


 そう言って、早苗さんはその女の子に自己紹介を促した。


「どうも、大塚あやねです。どうぞよろしく」


 大塚あやねか。どうも聞いたことがある名前な気がする。と言っても最近の子役でそんな名前の子に心当たりもないしな。と思い、彩を見ると、同じようになにか考え込むような顔をしていることに気がついた。そんな俺達の顔を見た大塚ちゃんは、機嫌悪そうにふんと顔を反らす。


「よろしく」


 俺たちは、そうして、泉が来るまでリビングで気まずい時間を過ごすこととなった。



 しばらくしてインターホンが鳴ると、俺は失礼しますとリビングをあとにすると、泉と姉の翼さんを迎えた。


「お前、なにうちを勝手に面会場所に設定してんだよ……」


 俺が小声でそう非難すると泉はふふと笑いながら、


「君も僕の部屋に来たことがあるだろう? あそこは狭いんだよ。それに僕の助手が今小学生用のプログラム教材を解いているからね」


「ああそう」


 俺が呆れたふうにそう答えると、横にいた翼さんがひたすら平謝りといった様子で言ってきた。


「ごめんね。ほんとにうちの弟には常識ってものがないから。いつも私も振り回されて」


 翼さんは責めるまい。これを制御するというのがどだい無理な話なのだ。


「良いんです、翼さん。泉は予測不可能な天災みたいなものですから」


 俺が、そう言って深くうなずくと、翼さんはよく分かってくれたと言うように、なんどもうなずく。


「で、泉。お前、また女装かよ」

 

 そして、俺がずっとツッコミを我慢していたことを指摘すると、泉は軽く笑うと、そのまま一人でリビングへと入っていった。

 

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