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唯一の例外

今回は最後の部分で視点変更をやってみました


「……って感じで本当に大変だったよ」


朝、駅で電車を待っている間に昨日の出来事を半ば愚痴の様に語る。

そんな僕の話を隣で聞いているのは綿貫 千佳(わたぬき ちか)

幼稚園時代からいつも仲良くさせてもらってる幼馴染だ。


「あの天然お嬢様とブラコン怜奈ちゃんは相変わらずあんたへの愛が激しいのね……ご愁傷様」

いつものようにやれやれと言った顔つきで同情してくれる。


さて、薄々感づいている人も居るかもしれないが彼女も僕の秘密を知る人間の一人だ。

その証拠に姉さんの話をしても微塵も驚く気配がないだろう?


バレた……と言うか知っている理由は、単純に昔からの幼馴染だからというだけ。


僕が姉さんを何でも屋に仕立て上げたのは高校入学後からの話だ。


当然それ以前からの知り合いは不本意にも目立ってしまっていた僕を認知済みなのである。

さすがにこればっかりはどう足掻いても隠しようがない。



「あと、ヤンデレアイドルと例の双子は?あいつらには変な事されてないの?」

「大丈夫。小鳥遊さんは仕事が忙しいみたいで…あの二人も最近は大人しいし」


千佳は目を細めながら小さく頷く。

「……まぁ、何かあったらいつでも言いなよ。私が何とかするから」


優しい声と共にぽんぽんと背中を軽く叩かれる。

まるで母親の様な振る舞いに、少なからず僕は安心感を覚えていた。


同年代の女子に慰められるのは、やっぱり情けないのかもしれない。

この安心感に関しては色々事情がある故なんだけど……


何よりは彼女が唯一例外的な存在であると言う点。


そう、真実を知っても尚千佳だけは僕に対して恋愛感情のようなものは持ち合わせていない。

昔から今に至るまで……気の許せる親友のままだ。


日頃から色んな女子に言い寄られていると気兼ねない異性の存在は非常にありがたい。

周りには言いづらい悩み相談にも乗ってくれるし、落ち込むことがあったら全力で励ましてくれる。


正に僕の心の支えになってくれている存在なんだ。


千佳の方に向き直って、改めてお礼を言う。

「ありがとう千佳。いつも助けてくれて」

「べ、別に普通でしょ。幼馴染なんだしさ」


千佳は恥ずかしそうに唇を尖らせる。


幼馴染なら普通……なのかな?

僕的には凄いお世話になっている気がするんだけど。


「ていうか、私だって良太には日頃から色々助けられてるし……こっちこそ、ありがと」

左右のツインテールを揺らしながら小さな声で感謝を告げられる。


たちまち僕の胸にももやもやとした感情が立ち込めてきた。

決して嫌悪感では無いんだけど、素直に受け止めにくい。


……成程、真面目に感謝されるのって恥ずかしいものなんだな。



無言になるのもどうかと思い僕は会話を繋ごうとする。

「でも、本当に千佳みたいな女子の友達は他に居ないからなぁ」


何気ない一言のつもりだった。



「……友達なの?」


「え?」

きょとんとした様子で問われる。


予想外の返事に驚いて千佳の顔を見つめる。


すると彼女はマズいと言うようにぷいっと視線を逸らした。

「……ごめん。何でもない」


「いや友達なの?ってどういう意味」

「ほら、電車来た!行くよ」


僕の言葉を遮って目の前の電車を指差す。

そのまま千佳は人ごみに紛れていってしまった。

遅れないように慌てて後をついていく。


あれ?千佳はどこに……くそ、何で今日に限ってここまで混んでるんだ!?


ひたすら車両内で足を動かしながらも僕の頭の中では先ほどの一言がぐるぐると回っていた。


『……友達なの?』

こっちこそ聞きたい。

むしろ友達じゃなかったの?


……え?僕が盛大に勘違いしてたってだけ?




   ◇ 

余計な事を言ってしまった、と吊革を掴みながら私は後悔する。

正確には言い方が悪かった。


多分良太の性格じゃ自分は友達ですら無かったの?的な勘違いをしてしまう。

後でしっかり訂正しなきゃ……


でも、そういう捉え方をされるって事は私が抱いてる感情に向こうは気付いてないんだろうな。


周りに本人が居ないのを確認してからぼそりと呟く。


「もう……鈍感男」

最近気温が明らかにバグってる……死ぬ……

今日は心を読む能力~の方は更新できません

申し訳ない……

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