表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/101

緋桜 (3)

「き……貴様……仮にも『護国』を名乗る者が……日本を滅ぼすとは……何のつもりかッ⁉」

 神社の奥、本殿に近付くと、まず聞こえてきたのは……六十か七十ぐらいの男の怒鳴り声だった。

「滅んでいない……。この町は滅ぶかも知れんがな……」

「ふざけるな……国連に占拠された『本土』は、最早、『日本』とは呼べぬ。こここそが、日本列島に残された最後の(まこと)の日本だ。それを貴様は……」

「それは目出度い。俺は……日本に住む人間を護る事は有っても、国としてのかつての日本には憎しみしか感じていなかった。そして、今の日本は好ましく思わんでは無いが……戦前の日本には怨みしか無い。その残滓さえも、いよいよ滅んだか。帰ったら祝杯を上げるとしよう」

「な……何を……言っている?」

「イカれた()()も居たものだな……。国など、所詮は人が作ったものだろう? この町の『自警団』を自称していながら、失なわれれば取り返しの付かぬ人間の生命ではなく、いくらでも作り直せる人工物の事を心配しているとは……」

 あれ? ボクは自分で思ってたほど、日本語を良く判ってないのか?

 六十以上らしい男を「若造」と呼んだもう1人の男の声は……五十より上には思えなかった。

「おい、そこで盗み聴きしているのは……この島に居るもう1人の『護国軍鬼』の仲間か?」

 ボクは山刀を……日本の魔法使いの女の子はハンマーを構えながら3つ目の鳥居をくぐり、2人の男の前に姿を見せた。

「あのさ……あいつと戦う気? 勝目無い相手だよ……」

 背後(うしろ)からは孫悟空のヘルメットの人の声。

「なぜ……我が一族の者がここに居る?」

 鳥居の先に居た2人の男の内、大昔の日本の子供向け特撮に出て来てもおかしくない格好をした、その男は……意外な事を言い出した。それも、日本語ではなく、ボク達の言葉で。

「その刀は、我が一族のモノに似ている。お前は、我々の一族の者なのだろう?」

「誰……? 誰だよ、お前は?」

 ボクは、わざと日本語で、そう問いかける。

「お前の先祖……少なくとも、その親類だ。百年近く前の戦いの後、故郷を出て満洲に渡り……そこで日本軍に捕えられ、改造された」

「ちょ……ちょっと待って……どうなってんの? あの……ひょっとして、その、この町の人達を殺したのは……」

「その時の怨み故では無い」

「ふざけるな……理由が何であれ、こんな真似をするヤツが、ボクの一族の筈は無い」

「……そうか……。何もかも変ってしまったか……。俺も……俺の一族も……世界も……」

「では……目的は何だ? どうやら、私は、お前が仕組んだ茶番に巻き込まれたらしいが……出演依頼は来てないし、脚本は届いてないし、出演料の交渉もやった覚えは無いぞ。とんだ、三流プロデューサーだ」

「主演俳優の御登場か……。拍手ぐらいはした方がいいかな?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ