表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/101

関口 陽(ひなた) (4)

「引き返した方がいいよ。少なくとも、事態が落ち着くまで待っても遅くないと思うよ」

「その話、何度目っすか?」

 私は「猿神(ハヌマン)」にそう言った。

 この「島」で……下手したら4つの「紛物の東京」の中で、最も豊かだった町は廃墟と化していた。

 逃げ遅れたらしい観光客や一般住民。

 この町の「自警団」のメンバー。

 理由の判らない虐殺を始めた白い強化服(パワードスーツ)の連中も、結構、返り討ちに遭ってるようだった。

 様々な死体が、あちこちに転がり……火に包まれている建物も有るが……その近くには、消防隊の死体。

 いくら、この町の「自警団」の中心メンバーが「死霊使い」だからと言って、町中が死体で溢れるような事態は望んでいないだろう。

「気味悪い……」

 台湾から来た女の子がそう言った。

「そうだな……ここまで()()()()()()()()()()()()と、()()()()()()()()()()()()()

 死体はゴロゴロしてるのに……「死霊」の気配が少しも感じられない。

 死の気配がまるでしない死者の都に……バイオテクロノジーで作られた「一年中花を咲かせる山桜」の花弁(はなびら)が風に舞っていた。

 やがて……もう……何者かに「食われ」て消え去った霊力の柱が有った場所……町のほぼ中心部に辿り着いた。

 青銅(ブロンズ)風の塗装がされた巨大な鳥居。

 幕末の侍の銅像。

 奥に見える2つ目の鳥居と門。

 こここそが……かつて「本物の東京」の「本物の九段」に有った神社を模した場所。……「紛い物の東京」の「紛物の九段」に有る「紛物の靖國神社」だった。

 そして、この神社の参道にも……また、いくつもの死体が転がっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ