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眼鏡っ娘 (2)

「もう、埒が明きません。やっちまいます」

 そう言って、山内さんは、背中のグレネードランチャー付きの自動小銃を取った。

「姐さん、ガスマスクをして下さい」

「あ……あの……後でややこしい事になりません?」

「でも、道理(スジ)はこっちに有ります。『秋葉原』で喧嘩をするならするで、『秋葉原』の『自警団』に話を付けない、ってのは有り得ねぇっすよ」

 確かに山内さんの言う通りかも知れない……だけど。

「そのグレネードランチャーに入ってるの、本当にガス弾ですよね?」

「ええ、主成分はカプサイシンです」

 その時、あたしは、とんでもないモノを見付けた。

「や……山内さん‼ 駄目ッ‼ ストップ‼ マズいですッ‼」

「えっ?」

「一般人があそこに〜‼」

 何で、レナさんが、ここに居るの〜ッ⁉

「どっちみち、こんな所に来る『一般人』なんて、そいつが悪いに……」

 だ……だけど……あの人は……確かに「自警団」でも「犯罪組織の関係者」も「御当地ヒーロー」でも「警察関係者」でも無い、って意味では「一般人」だけど、同時に、あたし達「魔法使い」にとっても「原理不明のチート能力を持ってる謎の人」。

 「原理不明」と言うのは……つまり、山内さんにどう説明すればいいか判らない、って事。

「もう、撃ちますよ」

「山内さぁ〜ん、駄目ですッ‼」

「今度は、何が駄目なんですかッ⁉」

「催涙ガス弾は水平に撃つモノじゃありませんッ‼ 誰かに当たったら、その人は死にますッ‼」

「えっ……?……マジっすか?」

 あっ……駄目。催涙ガス弾の進路には……大型ハンマーを持った女の子が……。

 催涙ガス弾は、既に発射されていた。それも、悪名高き「水平撃ち」で。

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