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高木 瀾(らん) (1)

「ここ何ヶ月か、何やってたの?」

 「護国軍鬼」を作った「工房」のスタッフの1人がそう聞いてきた。

 表の顔は、苹采(ほつみ)姉さんの会社の部下。よりにもよって、苹采(ほつみ)姉さんが理学部ヘイターと化した原因であるQ大理学部の研究者と同じ研究室の出身らしい。

「判ります?」

「マズいよ。先読みの成功率が八〇%台にまで落ちてる」

 言われてみれば、そうだ。

 この「鎧」を使うのは数ヶ月ぶり……。

 そして、「鎧」の制御AIには、私の動きを事前に予測する機能が有るが、そのAIからすれば、私の技量(うで)が上がるのも落ちるのも、私の動きのパターンが変ったと云う点では違いなど無い。

 「鎧」のAIの学習データと、今の私の動きの間に相違が生じてきている。

「ちょっと……新しい技を……まだ、成功率は5発3中ぐらいですが……」

「その『新しい技』を身に付ける為の訓練のせいで、君の動きのパターンが変った可能性が高い、って事?」

「ええ……」

「『先読み』は切っておく? 多分、一番シビアな状態の時こそ、先読み失敗で事態が大きく悪化するよ」

「このまま行きます。マズいと思ったら、そっちの判断で切って下さい」

 数ヶ月ぶりに着装した私の「分身」は、最早、「今の私の分身」ではなく「過去の私の分身」と化していた。

 私は、一緒に「秋葉原」に殴り込みをかける他の4人の元に歩いていった。

 私の兄貴分で先天的超身体能力の持ち主であるコードネーム「猿神(ハヌマン)」。

 私の同級生で身体能力だけなら「猿神(ハヌマン)」を上回る変身能力者・コードネーム「早太郎」。

 そして……。

「ところで、何て呼べばいいんだ?」

 私は「水城(みずき)」を着装(まと)った2人……関口と苹采(ほつみ)姉さんにそう聞いた。

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