表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/101

玉置レナ (1)

 その時に羅刹女達が姿を現わした。

 一人目の名は藍婆(絆を束縛に変える者)。二人目の名は毘藍婆(絆を断ち切る者)。三人目の名は曲歯。

 四人目の名は華歯。五人目の名は黒歯。六人目の名は多髪。

 七人目の名は無厭足。八人目の名は持瓔珞。九人目の名は皋諦(天地を自由に駆ける者)

 十人目の名は奪一切衆生精気。

 この十羅刹女は鬼子母神とその子供達・眷属らと共に仏の元に詣でた。


 私達の呪文に(したがわ)

 説法者を悩ませ続ける者が居たならば

 その者の頭は破れ、阿梨樹の枝のように

 七つに割れる事でしょう。

 私達に助けを求めた僧侶に危害を加える者は

 肉親を殺した者や

 他人を騙して利益を得た者や

 仏を裏切った提婆達多のように

 然るべき報いを受けるでしょう。


 法華経・陀羅尼品より


 この感じは……初めて、あたしと同じ「力」を持った人と会った時と同じ……でも……。

「ま……まさか……」

 あたしと同じ「力」を持ってる瀾の妹も、その「何か」を感じたようだ。

 「神」を名乗る化物の力を得てしまった「誰か」。それが、この近くに新たに2人も現われた。

 1人は……どこからともなく、方向と距離からして、島のほぼ中央に突然出現し……。そうだ……瀾が、今、居る辺りに……。

 もう1人は……この島に、今、近付きつつある。

「聞いた時は……冗談だと思ったけど……」

「何か知ってんの?」

「1人は瀾ちゃん……。もう1人は……『国防戦機・特号機』とかのパイロット……みたい」

「どう云う事なの?」

「あたしの先祖が……あたし達みたいな『神の力』を普通の人間に移植する方法を見付けたらしいの……第二次世界大戦の少し前にね……」

「ど……どうやって?」

「わかんない……」

『あの……「お姫様」……そんな事って……?』

『可能かどうかさえ判りません。少なくとも……可能だとすれば……それは……人間が言う所の「魔法」でも「科学」でも無い方法である可能性が高いとしか……』

 あたしに取り憑いてる「神様」から返って来たのは答にならない答。

「あたしの先祖は……『神の力』を移植した改造人間を作り……そして、二一世紀になって、あたしの親類が、その方法を改良して……改造人間じゃなくても、一時的に『神の力』を使えるようになる『鎧』を作った……」

 そうか……そう言う事か……。

 今年の夏のあの事件の時に見た、本土の御当地ヒーロー「護国軍鬼」の写真……バッテリーその他のエネルギー源らしきものが見当らない強化装甲服(パワード・スーツ)……あれは「神の力」で動いているモノだったのか……。

「な……何が起きるんだよ、これから、この『島』で……」

「まぁ、良く有る事かな? あたしと瀾ちゃんは初体験じゃないし」

「はぁっ?」

「クサい言い方だけど……『神々の戦い(ラグナロク)』の始まりかな?」

 一つ言える事が有る。瀾の妹は、瀾以上の変人だ。

 さもなくば……瀾の妹だけじゃなくて、あたしも含めて、「『神様』に取り憑かれた」と云う異常な状況に順応すると……必然的に変人になってしまうだけなのかも知れない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ