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玉置レナ (3)

「まずいね、これ……」

 瀾が送って来た映像を見て「猿神(ハヌマン)」さんは、そう言った。

 「銀座」港の施設は……端的に言えば壊滅していた。

 臨時ニュースと瀾から送られた映像を見る限りじゃ、港そのものは物理的には無事だけど、港湾施設……待合室や管制施設、警備施設は完全に機能してないみたいだ。

 ついでに、壊滅したのは港だけじゃない。

 「港」の施設の警備員。

 地元警察と対組織犯罪広域警察の「有楽町」支部の特殊部隊。

 対異能力犯罪広域警察(レコンキスタ)の「有楽町」支部のレンジャー隊。

 そう言った人達が、次々と救急車で運ばれている。

「困ったね……。あれが必要になると同時に、あれをこの「島」に届けるのは……かなり難しくなった訳か……」

「『あれ』って?」

「この惨劇を引き起こした狼男に対抗出来るパワードスーツ」

『それなら、手は打った……かなり危険な手だけど……』

「ちょっと待て、お前……何を……?」

 口では、そう言ってるが、体は正直だ。「猿神(ハヌマン)」さんは何かに気付いたらしく、手元のPCを操作して「本土」の地図を表示。その地図上には光点がいくつか表示されている。

「唐津からもフェリーは出てるけど……到着場所は『有楽町』だぞ」

『ああ、多分「有楽町」に上陸するけど、上陸場所は「銀座」港じゃない』

「はぁ?……おい、まさか……久留米支部の車も動いてるけど、誰が乗ってる?」

『は〜い、ど〜も』

 通信アプリに割り込み表示。瀾の双子の妹だ。どうやら、あたしと似た能力(ちから)……あたしが炎を操るのに対して、水を操る能力(ちから)を持ってるらしい。

『あ……どうも』

『お久し振りです……』

『私は……初めてですよね?』

 続いて、同じ画面に、夏の事件に関った今村君、望月君、初めて見る大人しそうな眼鏡の女の子。

「おい、こいつら巻き込んだのかっ?」

『私も知らん。何で、望月達まで居る?』

『後方支援が1人でも多く要りそうなんで』

「えっ?」

『えっ?』

『例の船の予想進路からすると……そっちの「島」に向かう可能性が高くなった。最悪は、そっちの「島」で迎え撃つしか無い』

 今度は知らない……中年ぐらいの男の人の声だった。

『判った……。あと、途中のどこかの支部で「水城(みずき)・改」が余ってたら、借りてきてくれ。着装者は……身長一六〇㎝前後で、体重はせいぜい六〇㎏未満って所かな?』

「何をする気だ?」

「あと……有楽町の港が壊滅してるのに……どうやって、この『島』に入るの?」

 あたしは、そもそもの疑問を「猿神(ハヌマン)」さんにぶつける。

「多分だけど……『御神渡(おみわた)り』だ……」

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