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関口 陽(ひなた) (6)

「とりあえずは、私の仲間と合流して、どうするかを考えるか……。後部(うしろ)に乗れ」

 チビはそう言って青いトライクに乗った。

 だが、その時、2つの音が同時に聞こえた。

「ちょっと見て来る」

 そう言って、チビは大通りの方にトライクで走り出した。そちらから聞こえるのはパトカーのサイレンの音。

 私は、通知音がした携帯電話(Nフォン)を取り出して画面を見る。

 災害通知アプリが起動していた。

『Neo Tokyo Site01・銀座港で犯罪組織によるものと見られる乱闘騷ぎが発生中』

 私や、あのチビが起したモノか? にしては、時間が経ち過ぎてる……。

 そこで「有楽町」の自治会が公開してる街頭監視カメラの映像を調べてみると……。

「厄介な事になったな……。地元警察だけじゃなくて、広域警察の車も走っていた。『レコンキスタ』のレンジャー隊まで出動してるみたいだ」

 戻って来たチビはそう言った。

「な……なぁ……。こいつって、その……『秋葉原』の『Armored Geeks』が上げたらしい動画に映ってた……」

 私は、そう言って「白い狼男」と「河童のような姿の何か」が「銀座」の港で大暴れしてる映像をチビに見せた。

「あぁ、あの動画に映ってた狼男とは別人だ」

「ちょっと待て? 何で断言出来る?」

「両方とも良く知ってるからだ。あの獣化能力は遺伝するタイプのもので、血縁者の場合は、獣化後の姿は似たものになる可能性が高い」

「はぁ?」

「片方の身元は明かせないが、夏に『九段』でパワードスーツと戦ったのと、今日、ここの『港』で暴れてるのは、血縁関係が有って、遺伝するタイプの同じ異能力を持ってるが別人だ。そして、私は両方と知り合いだ」

「おい、まさか……お前、夏に『九段』で起きた件にも……」

「ああ、関わってる。あっちの方は、私の友達だ」

「友達⁉」

「友達と言っても、私の元彼女(カノ)を奪ったヤツだけど……友達なんで、一応は許してる」

「何がどうなってる?」

「友達が、たまたま、福岡の久留米のヤクザの異能力持ちの若頭の親類だった。……と言っても、かなり前に親類付き合いはしなくなってるがな」

「訳が判らん」

「今の御時世、友達がたまたま異能力者だったなんて良く有る事だろ」

「本土は、そんな無茶苦茶な場所になってしまったのか?」

「いや、こっちだって、隣に住んでる気の良い御老人や、向いの家の幼稚園児が異能力者だって事は十分有り得るだろ。隠してるから知らないケースも含めて」

「ま……まぁ、言われてみれば……」

「で、あの動画は、予想が付くだろうが編集されてる。誘拐された子供達を救出しようとしてたのは、パワードスーツを着てるヤツの仲間じゃなくて狼男の仲間。パワードスーツのヤツは、狼男とその仲間の手柄を横からかっ攫おうとしたクズ野郎だ」

「おい……じゃあ、この港で暴れてる方は……?」

 その時、チビは溜息を付いた。

「いつかは、こうなると思ってたが……まさか、このタイミングとは……」

「えっ?」

「だから……あの動画をUPした馬鹿は……気付かない内に福岡県有数の武闘派の暴力団に喧嘩を売ってしまってたんだ……。その暴力団の若頭に瓜二つの親類を児童誘拐犯に仕立て上げてしまってな……」

「じゃぁ……そのヤクザからしたら……とんだ風評被害を受けた訳か……。で、どこだ……その暴力団って……?」

「表向きは久留米の安徳ホールディングスの子会社の安徳セキュリティだ……。おい、どうした、面白い顔をして?」

 マズい……。名前ぐらいは知ってる団体だ……。多分、秋葉原の2つの自警団「Armored Geeks」と「サラマンダーズ」の両方を1日で潰せるだろう……。いや……4つの「紛物の東京」の一〇以上の「自警団」の中でも対抗出来るのは「九段」の「英霊顕彰会」……通称「靖国神社」……ぐらいだろう。

 お世辞にも治安が良いとは呼べなかった、日本各地に有る4つの「紛物の東京」で、それでも一〇年近くの間、守られてきた「最後の一線」が、あっさり破られようとしている。

「なぁ……あの……あいつらが『秋葉原』を制圧するのを防ぐ方法って有るか?」

「制圧?」

 多分、月が変る頃には4つの「Neo Tokyo」で最初の「自警団」を作った伝説の英雄・石川智志(さとし)が最も恐れていた事態が起きるだろう……。

 「秋葉原」は……4つの「島」で初めて、地元警察でも地元の「自警団」でもなく、「本土」のヤクザによって治安が維持される町と化す。

「久留米の安徳なら『秋葉原』の2つの『自警団』をあっさりブッ潰して、代りに『秋葉原』の支配者になってしまう。そうなってしまったら……次は『靖国神社』と安徳の喧嘩が始まる。『自警団』同士の喧嘩とは違うルール無用の大喧嘩がな……。そして、その喧嘩は……多分、他の『島』にも飛び火する」

「要は、あの連中に、この『島』から一刻も早くお引き取りいただがないと、その後は、事態がどんどん酷くなるのは確かだが、どこまで酷い事になるかは想像も付かないって事か」

「ああ、そう言う事だ」

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