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玉置レナ (2)

 瀾は眼鏡っ娘氏の、あたしは「恐竜パーカー」の女の子の肩を持って、何とか歩かせる。

「待合室の近くまで車を移動してくれ……あと……兄貴、私と代ってくれ」

 瀾はどこかに連絡している。

「何のつもりだ?」

 すぐ近くから聞き覚えが有る若い男の声。

 声の主は、夏の事件の時に助けてくれた「本土」の「御当地」ヒーローの1人。コードネームは「猿神(ハヌマン)」。本名は知らない。

「兄貴は、医者の助手も兼ねてるだろ。万が一、怪我をするなら、私の方がいい」

「やれやれ」

 どこからともなく現われた「猿神(ハヌマン)」さんは、瀾と同じような格好をしていた。

 すぐに「猿神(ハヌマン)」さんは瀾と交代して眼鏡っ娘氏の肩を持って歩かせる。

「後に3人」

 瀾はそう言った。

「前に2人」

 続けて「猿神(ハヌマン)」さん。

「何とかなるの?」

「多分、素人に毛が生えたくらいかな?」

「でも、問題が大有り。あっちは、ここで騷ぎを起す気満々みたいだけど……こっちは、うかつに騷ぎを起こす訳にはいかない」

「『あれ』が到着するのは、更に2時間半後だってさ」

「『あれ』? おい……まさか……」

「あくまで用心の為だ……。まぁ、最悪の場合は……『あれ』が有っても……無事で済むか判んないけどさ……」

「あの……何の話? 何が起きてるの?」

「私達がここに来る途中、あるとんでもないモノを積んだ船が、関門海峡を太平洋側から日本海側に抜けた。『本土』や韓国や中国の沿岸部なら、主要な港の近辺に出動可能な『御当地ヒーロー』が居るけど……この『島』の自警団では……多分、対抗出来ない」

「何?」

「旧・特務憲兵隊の軍用パワーローダー『国防戦機』の試作機だ」

「えっ? でも、暴れられたら厄介だけど……この『島』の自警団だと『靖国神社』が結構な数の『国防戦機』を持ってた筈だから、対抗出来ないって訳じゃ……」

 そう……「九段」地区では、「国防戦機」同士の戦いが「見世物」になっている。わざと操縦者に十代の女の子を使い、もちろん、操縦者には死の危険が有ると言う……昔の「オタク文化」の定番パターンの吐き気がするようなパロディだ。それが、外国から来たセレブ客には好評ってんだから、世も末ってのは、こう云う事態の事だろう。

「『九段』の『国防戦機』の武装は、『九段』内の警備や悪趣味なショーに使うヤツだろ?『国防戦機』用の銃器の中でも、そこそこ程度の威力しか無いモノの筈だ」

「……じゃあ、今、海の上に居るヤツは違うの?」

「鉄筋コンクリート製の建物を数秒で穴だらけに出来るほどの威力の機関砲を、もし万が一、ここみたいな『人工の浮島』で地面に向けて撃たれたりしたら……何が起きる?」

「……えっと……想像したくない……」

「あと、もう1つ問題が問題が有る……あれは……『九段』みたいな至る所に『死霊』が居る場所でこそ力を発揮する」

「えっ?」

「『国防戦機』の中でも『特号機』と言われてる試作機の『燃料』は……死霊だ」

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