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玉置レナ (4)

「ごめん……。面倒な事になったんで、ほとぼりが冷めるまで、泊めてもらえる?」

『えっ?』

「あの馬鹿に、さっきの爆発の原因が、あたしだってバレたみたい」

『まだ、あいつの家の近所に住んでたのか?』

「う……うん……」

 あたしん()の近くを「Armored Geeks」のロゴが入ったツナギを着てる連中がうろついてた。

 良く良く考えたら、確かにバレても仕方ない。

 「Armored Geeks」のリーダーである勇気が、まだ、マトモだった頃に、あいつの目の前で「触れずに監視カメラを壊す」って真似をやった上に……あたしが壊し続けた監視カメラは……当然ながら、あの場所と、あたしん()を繋ぐ道の上に有る。遅かれ早かれ、勇気に気付かれる。

『あんたを倒せる「魔法使い」も「御当地ヒーロー」も、そうそうは居ないだろう。だが……同時に、あんたを簡単に殺せる奴も居る』

「えっ?」

『あんた1人を殺す為なら、何万人・何十万人を巻き添えにしようと、知った事か……そんな風に考える事が出来る奴なら、あんたを殺す事も不可能じゃない。私の母さんも、そうやって殺された。私の母さんは……あんたや光や私の妹に似た力を持っていたけど……3年ぐらい前に北九州の八幡で起きたショッピングモールの爆破事件を知ってるか? あれは……ある犯罪組織の大物が……ショピングモールごと私の母さんを爆殺する為にやらかした事だ。とんでもない数の自分の部下や無関係な人間を巻き添えにしてな……』

「あははは……ご……ごめん……そこまで酷いと……」

『笑うしか無いのは判るが……笑い事じゃない。あの馬鹿は夏にかけられた「精神支配」の魔法を解かれてないんだろ?』

「う……うん。どうも、自分の意志で、かかったままになってるらしい」

 今年の夏に起きた事件の時に、私の幼なじみの石川勇気は、ある「魔法使い」に「精神支配」の魔法をかけられた。

 十年前の富士の噴火の時に多くの人達を助け、この町に移り住んだ後は「自警団」のリーダーになった、今は亡き勇気のお父さんに代る「『秋葉原』の町を護る『新しい英雄』」になれ、と云う暗示をかけられたのだ。

 その日以降、勇気の言動は、どんどんおかしくなっていった。

 本人は……頭が冴えてるつもりらしいんだけど……傍から見ると「短絡的」と「合理的」の区別が付いてないようにしか見えない。

 そして……あいつが真っ先にやらかしたのは……「父親に代る『新しい英雄』になれ」と云う暗示をかけた「魔法使い」にとっても予想外のとんでもない真似だ。

 ……あいつは、父親から「英雄の素質」を受け継いだのは、自分ではなく、自分の妹の仁愛(にあ)ちゃんと弟の正義君だと思い込んでしまい……つまり、あいつの頭の中で組み立てられた狂ったロジックでは「父親に代る『新しい英雄』になる」為の最大の障害は……ああ、あの時の事は思い出したくもない。

『そう言う事だ。並の「魔法使い」や「御当地ヒーロー」では、あんたは殺せない。だが、あの馬鹿は、あんたを殺せる。あんたが、そこに居るだけで、あんたと、その町の人間が危険だ』

「……う……うん、やっぱり、そっちの学校に転校出来ないか考えとくよ」

『まずは、そっちの「島」の港からフェリーで博多まで行け。「本土」に着いたら、バスでJRの博多駅まで移動。熊本方面行きの電車に乗って久留米で降りろ。特急や急行を使う必要は無いけど、出来れば快速の方がいい。二日市(ふつかいち)基山(きやま)の辺りで、また連絡してくれ』

「えっと……了解(Affirm)だっけ?」

『……ちょっとした聞き間違いが致命的な結果に繋りかねない状況なのか?』

「どうだろ?」

『じゃあ「御当地ヒーロー」用語を使うかは、そっちの判断に任せる』

 とりあえず、あたしは、この「島」で一番大きな港である通称「銀座港」まで行く為に、最寄りの地下鉄の駅に向った。

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