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玉置レナ (3)

『おいっ‼ 大丈夫かっ⁉ 何が起きたっ⁉』

 瀾は電話の向こうで、かなり焦っている。

「大丈夫……」

『答えられた、って事は、耳も大丈夫って事か……』

「……う……うん」

『で、さっきの爆音は何だ?』

「あれ? 最近の携帯電話(Nフォン)って、ノイズ除去機能が結構進歩してなかったっけ?」

『……』

「え……っと……」

『……あんなデカい音をノイズと呼ぶようなヤツは、「ノイズ」と云う概念が生まれて以来、あんたが初めてだろうな』

「あははは……」

『あんたの仕業か……? 何をやった?』

「えっと……女の子に銃を向けてる馬鹿が居たんで……夏に使った、あの手で銃弾を防ごうとして……」

『あの手って?』

「空気を熱膨張させるアレ」

 そう……私は、子供の頃、「富士山の女神」の名乗る「何か」に取り憑かれ、それ以来、熱や炎を操れるようになった。

 でも、どうも、これは「魔法」に似ているけど根本的に異なる力……そして、普通の「魔法使い」が一生修行しても身に付けるのが無理なほどの強力な力らしい。

 そもそも「普通の『魔法使い』」って何だ? って気もするけど、あたしは、頼んでもいないのに、「神」を名乗る存在から「魔法使いから見ても異常」な存在にされてしまったらしい。大体、何で、先祖代々カトリックのあたしに、自称「日本の神様」が取り憑くんだ?

『それは……(わたくし)達が依代を選ぶ規準の中に「信仰心」が入ってないからかと……。そもそも、人間との付き合いは、何千年にも及びますが……(わたくし)にとっても、まだ、貴方達は謎だからけの興味深い種族です。その中でも最大の謎の1つが「信仰心」と云う概念でして……』

 ごめん、お姫様。話は後で、ゆっくり聞くから、今は黙ってて。

『わかりました。あぁ……どうも、お取り込み中だった御様子ですね……』

 いきなり出て来た、あたしに取り憑いてる「神様」は、あっさり引っ込んでくれた。

『にしても、音がデカかったけど……。あと、それで銃弾は防げたのか?』

「普通の銃弾じゃなくて。ガス弾か何かだったみたい……」

『やな予感がする……。何が起きた?』

「ガス弾が女の子に当たる前に爆発した」

『待て、そのどこかの馬鹿はガス弾を()()()()したのか?』

「水平撃ちって?」

『旧政府時代の民主化デモの映像を観た事は有るか?』

「それとこれと何の関係が有るの?」

『催涙ガス弾は普通は斜め上に向けて撃つ。でも……軍事独裁国家で民主化デモなんかが起きた場合、取り締まる警官隊や軍隊がガス弾を水平に撃つ場合が有る』

「何の為に?」

『そりゃ……()()()()()()()()()()()にだよ』

「ええええっっっっ⁉」

『そいつが単なる馬鹿なら、ブチ殺した方がいい。わざとやったなら……ブチ殺した上で、見せしめに、死体を電信柱に吊るした方がいい』

「それが……そいつ……例の神保町の女の子の知り合いみたい……」

『どうなってんだ? で、あんたの今の状況は?』

「逃げてる最中」

『へっ?』

「あたしのせいで、催涙ガスが、辺りに拡散したみたい」

 電話の向こうから聞こえてきたのは溜息だった。

『あのさぁ、もし、街頭監視カメラにあんたが逃げる所が映ってたら、馬鹿でも、その爆発とあんたの関係……あれ? 無線LANは正常なのに……変だ……おい、あんた、行く先々で、街頭監視カメラをブッ壊してるのか?』

「大丈夫、そこはぬかり無くやってる」

 私は、熱を発生させる能力を使って、また1つ見付けた、街頭監視カメラを()()から熱して、ブッ壊した。

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