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第78話「一世一代の大仕事②」

 突然の後頭部の衝撃に、痛みと動揺がハヤテに走る。脳震とうで、軽くハヤテの意識は飛んでいた。


 今度こそ、絶好のチャンス到来だ。

 ライムはすかさず起き上がった。



「だから言っただろハヤテ! 後悔するってよ! リミット・バースト!!」



 溜めに溜めた右手のガンの力がハヤテに直撃する。



「ぐおぉぉっっ!!!」



 ハヤテは雄叫びと共に地面へと倒れた。



「がっ……くっ……やるじゃないか、坊っちゃん……だが、これで終わると思うなよ……私は……終わらないぞ!!」



 完全に勝負はついたと思われた。

 最大限に溜めた、ライムの渾身の一撃。

 しかし、しぶとくもハヤテの戦意はまだ失われてはいない。



(嘘だろ……ま、まだ終わらないのか? もう俺に力は残ってないぞ……どうする……どうすれば……)



 ライムはこの二発のリミット・バーストにすべてを賭けていた

 ライムにはもう、全くと言っていいほど力は残っていない。


 焦るライム。

 そうしてる間にも、ハヤテは起き上がろうとしている。

 ライムがあたふたし、立ち往生していると──


 まさかの男が、ここで勇気を振り絞って立ち向かった。



「うわーーーっ!!!」



 ナヴィだ。

 もはや悲鳴に近い叫び声をあげながら、ハヤテに突撃している。

 ナヴィは自分の顔ほどありそうな大きな岩を手に持ち、その大きな岩でハヤテの頭や体を何度も何度もめちゃくちゃに叩いた。


 きっとナヴィは怖かったのだろう。

 目を瞑りながら、がむしゃらに手を動かしている。ナヴィだって男だ。いざという時は男を見せる。


 お手柄! ナヴィ!!


──と、言いたいところだが……どうやら加減というものを知らない。

 もう何発も頭にもらい、ハヤテは完全にのびている。

 そうとも知らず、ナヴィの手は止まることはない。さすがのライムもまずいと、ナヴィを止めに入った。



「ナヴィ! もう大丈夫だって……ハヤテはとっくに気絶してるよ……?」



 必死のナヴィには、ライムの声は届かない。普段の憎しみも込めて、ナヴィは叩き続ける。



「この! 憎き解放軍め!! このっ! この野郎!!」



 このままではハヤテが死んでしまう……

 それだけは避けようと、ライムはナヴィの耳元でバカでかい声で叫んだ。



「ナヴィーーー!!! もう大丈夫だってば!!!」



「えっ……?」



 さすがにナヴィも気付いたのか、ようやく手を止める。

 ライムはホッとして、ため息をこぼした。



「ふぅ……危ない危ない。このままいったら、人殺しになるとこだったよ」



 ハッと我に返るナヴィ。

 血だらけに倒れるハヤテを見て、若干ナヴィは引いた。



「これ……もしかして僕がやったの?」



「まぁ、ほとんどね……」



 急に足がすくんで、へなへなとナヴィは座り込んだ。

 無我夢中の出来事で、自覚症状はなかったようだ。



「あー怖かった……そうか、これは僕が。ライムを助けたい思いで、なんとかしなきゃと必死でさ!

 大きい岩を見つけものだから、これでどうにかできないかと……ほんとによかった……ライムが無事でよかった!」



 ナヴィはポイッとその場で岩を投げ捨てる。

 涙ぐみながら、ライムの無事と勝利を喜んだ。



「ははは! ありがとう。ナヴィ! おかげで助かったよ!」



 この解放軍・ハヤテとの戦いは、ナヴィの言動や行動がキーとなっていた。


 まずナヴィの暗闇に追い込まれた際の、フェニックスの灯火のアドバイス。

 そして、ライムはキリシマの息子だと告白することで、ハヤテは迂闊にライムに手だしできなくなった。


 正直これが大きかった。

 これがなければ、ハヤテはライムを解放、殺しにかかっていたかもしれない。

 最後はナヴィが勇気を振り絞り、トドメをさす。


 時の支配者・ナヴィ

 一世一代の大仕事をやってのけた。




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