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第69話「成長③」

 ライムは男の質問に、はぐらかすようにして答える。



「さぁ……どうだろう。何のことか分からないな……」



 珍しくライムは嘘をついた。相手を探っているようだ。


 強敵と思われる男とは別に、隣に手下がもう一人。

 片手に持つランプで、ライムの顔を照らしながら手下は前に出る。男をかくまった。



「“ハヤテ”様、危険です。下がってください」



 どうやらこの男、名は“ハヤテ”というらしい。

 手下はもう片方の手に、腰に納めていた短剣を取った。

 忠誠心の高い手下は、ハヤテのためにライムに立ち向かう。


 もはや今のライムには眼中にない。

 ライムは神力・ガンを溜めた。



「悪いけど、手加減しないよ! リミット・バースト!!」



 ライムは手下を撃ち抜く。力の差は歴然。

 またしても一撃で勝負は着いた。


 手下は地面へと倒れ、手にしていたランプが落ちて割れた。辺りはより一層暗くなる。


 ハヤテはランプを持っていない……

 残る灯りはナヴィが手に持つランプのみ。

 そのため、かなり視界は悪くなっていた。ほぼ暗闇の中にいると言っても過言ではないだろう。


 手下を一撃で倒したライムの実力が判明し、それを見たハヤテは確信した。



「やはりあなただったのですね……とぼけたって無駄ですよ。それにあなたの神力も分かった。なるほど、銃の力か!!」



 これもハヤテの作戦のひとつだったのかもしれない。

 先に手下が仕掛けたことにより、まずライムの手の内が相手にバレる。


 ここからの勝負は、今までの手下達のようにはいかないはずだ。恐らくこの地が戦場と化すに違いない。


 それを見越してか、倒れる解放軍の手下が踏みつけにならないように、ミサキが広場の外へと引っ張り出した。

 まさかの敵の優しさに、ハヤテは少し驚いている様子だ。



「へぇ……同胞の心配をしてくれとは……随分と優しいのですね」



 ミサキは皮肉を込めて、ハヤテに言った。



「私達とあなたは違うの! 巻き込まれたら大変だもの。私達は人殺し集団じゃないから!!」



 準備は整い、いざ解放軍との勝負といきたいところだが、ライム達の一番の目的は解放軍の討伐ではない。



「キリシマがここにいると聞いたんだが……見当たらないな……」



 ライムは辺りを見渡すが、キリシマどころかここにはハヤテとその手下以外の者は誰もいない。


 キリシマの存在を知るライムをハヤテは睨み付けた。



「なぜそれを……どこでその話を聞いたのです?」



「もう有名な話だ。島のあちこちで噂になってる!」



「チッ……運ぶところを見られていたわけか……やはり夜中にやるべきでしたね」



 ハヤテがキリシマを“運んだ”と口にした。

 ライムの表情は一気に変わった。



「そのキリシマはどこにいるんだ!! 居場所を教えろ!!」



 ハヤテはライムの真似をするようにして、はぐらかす。



「さぁ、どこでしょう……私も知らないんですよね……」



「ふざけるな!! いるのはもう分かってるんだぞ!!」



 カッと熱くなるライム。


 その隙にナヴィはキリシマがどこかに隠れていないか、ランプの灯りで広場をよく照らして見ていた。

 すると広場の奥に、狭まった隠された通路を発見する。



「ライム! まだこの洞窟、先が続いてるよ!」



「本当か!? じゃあその先にキリシマが!?」



 ナヴィはハヤテを差し置いて、一人で先の細道へと進もうとするも、抜け駆けするナヴィにハヤテは気づき、渋々キリシマの存在を認めた。



「やめておくんだ! ウサギ! 行ったところで無駄です!

 確かにこの先にキリシマ様はいる──だが、牢屋に閉じ込めています。


 鍵は私が持っている。私を倒さなきゃ、キリシマ様には会えないですよ?」



 先へ行かれたくないための、ハヤテのただのハッタリか?


 不思議に思ったナヴィは、ハヤテに疑問をぶつけた。



「なぜキリシマを解放軍が捕まえる必要がある……いるのはキリシマのペアなんだろ?

 だとしたらキリシマが望むどおり、ペアを消せばキリシマは元の世界に帰れる……それでよかったんじゃないのか?」



 ナヴィの一般的な考え方に、ハヤテは深くため息をついた。



「まだまだ分かっていないみたいですね……それでは報われないんですよ、この島は!!

 この島が……キリシマ様を必要としているのだよ!!」






第69話 “成長” 完

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