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第62話「???①」

※ネタバレの恐れがあるため、タイトルを伏せています。前話まで読んでから、先を読むことをお勧めします。






 アーサイ村の酒場で、ライムを知るというメガネをかけた謎の男性と出会う。


 男はライムの父親の知り合いだと言い張るが、ライムは産まれて間もなく父を亡くしている。

 話は食い違い、ライムの頭は困惑していた。



(なんだ……なぜこうも話が合わない……一体この人は、何を言ってるんだ……?)



 ライム同様に、メガネの男も困惑するが、男は主張を続ける。



「どうなってるんだこれは……私の話は勘違いでも間違いでもないよ!

 “博士”、いやキミの父親は私達といっしょに“時の研究”をしてきたというのに……」



 男の言葉にナヴィが反応を示す。



「──ちょっと待って!!! 今博士って言ったかい? それに時の研究とも……」



「あぁ。私達は時の研究をしていてね。


 “フューチャープロジェクト”


 主に未来についての研究をしていた。ライム君の父親は、その最高権威を持つすごい博士だったんだよ!!」



 ナヴィの体が完全に固まった。

 体中から、汗という汗が流れ始める。


 そんなナヴィの異変に、ライムが気付く。



「ナヴィ? 大丈夫か? すごい汗をかいてるみたいだけど……」



 ナヴィは険しい表情を見せ、か細い声で言葉を絞り出した。



「ライム……もしかして僕達は、とんでもない勘違いを今までしてたのかもしれない……

 この話はあまり公にしたくない……ちょっと外で詳しく話さないかい……?」



 ナヴィは酒場に溢れる人混みを嫌った。

 人気(ひとけ)のない場所へと移動し、再度話を始める事にした。






 カコイマミライ

~時を刻まない島~


第62話

 “R.KIRISIMA”






 ライム達は酒場を離れ、村の外へと出た。

 こんな夜中に外に出る者もいない。周りにはライム達以外、誰もいなかった。


 村を出るまでの間に、ライム達は簡単な自己紹介を済ませる。

 このメガネの男の名は“オオヤマ”というらしい。


 ナヴィは神妙な面持ちで、オオヤマに尋ねた。



「ここなら落ち着いて話もできるだろう……それで話の続きなんだけども、ライムは心して聞いていて欲しい……


 では、オオヤマさん……こう聞けば、話は早いはずだ。ライムの父親の名前を教えてくれないか?」



 心してとナヴィに言われるが、ライムには疑問符が浮かんでいる。

 

 オオヤマは口ごもり、申し訳なさそうにしながら答えた。



「えっと……ライム君の父親の名前ね……名前は……



 “桐島 龍太郎”



 今は、なぜかこの島で解放軍のトップに立ち

大犯罪者になってしまっている……





 あの……“キリシマ”だよ!!」



「!!!」



 ライムは息が止まるほどに驚き、体は硬直した。同じくらい驚いたミサキが声を大にする。



「えっ!! あの“キリシマ”!?

 どういうこと!? キリシマってライムのペア……もう一人のライムだったんじゃないの?」



 少し前の段階で、ナヴィに大方の予想はついていた。

 予想が外れて欲しいと願ったが、残念ながらそうもいかなかったようだ。



「だから言ったろ……僕達は大きな勘違いをしていたとね……


 ずっとライムのペアだと思っていたキリシマ……


 彼はライムの未来の姿なんかじゃない……ライムの“父親”だったんだよ!!」



 衝撃の事実に、ライムはまだ受け入れることができていない。

 何より、自分の中にある記憶との合点がいかないため、理解不能に陥っていた。



「そんなはずないよ!! 俺の父親は亡くなってるんだ……それなのに、一体どういうことなんだ?」



「ライム……忘れてしまったのかい?


 この島に飛ばれた者の存在は、元いた世界の者の記憶から消えてしまう……


 その法則を!! キリシマはライムが島に来る前に、すでにこちらの世界にやって来ていたんだよ。

 そのため、ライムの父親という存在は、ライムの記憶から完全に消えてしまった!!」



「そ、そんな……」



 盲点だった。

 ライムはすっかりこの法則のことを忘れてしまっていた。


 以前、ライムの母親を例に出して、ナヴィは説明してくれた。


 ライムが異世界に飛ばされたがゆえに、母の記憶から、ライムの存在のすべてが消えてしまうということを……

 

 息子という大切な存在ですら、簡単に忘れ去ってしまう……



 この恐ろしい法則のことを、ライムはナヴィに言われてようやく思い出す形となった。


 しかし、ライムから父の記憶が消えるどころか、死んだ扱いになってしまっている……


 その違いがある。

 あくまで推測ではあるが、その点についてもナヴィは言及した。



「それでもライムの場合は、父親の記憶が消えただけでなく、産まれて間もなく死亡したことになっているね……


 恐らくそれは、ライムには母親の記憶は残り、父親の記憶だけが消えてしまっている……そのせいだ!


 父親の存在なくして、子供が産まれるはずがないからね。

 だからきっとライムの頭の中で、勝手に父親は亡くなったことになっていたのだろう……」




 ライムは初めてキリシマの姿を見たときから、完全に思い違いをしていた。


 自分に似た顔つき。未来から来たと言われれば、信じるくらいには似ている……



 それもそのはず、キリシマはライムの父親


 ライムが見た指名手配の一枚の紙



 『R.KIRISIMA』の『R』は


 “来夢(ライム)”の頭文字ではない……



 “龍太郎”の頭文字だったのだ。




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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お待ちしておりました!! 衝撃の事実が明かされましたね…… じゃあ、ライムくんのペアはいったい……? ライムくんが生きている以上は生きているのかなぁ……と思いますが…… 今後の展開が気…
2020/01/04 21:23 退会済み
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