第18話「衝撃①」
ライムはナヴィの助言のおかげで、神力の力を溜める方法を覚えた。
極限まで力を溜めた結果、ライムは大きな光に包み込まれていた。
「ナヴィが名付けた技──気に入った! くらえ!! 解放軍!!
“リミット・バースト”!!!」
ライムは溜めに溜めた力、リミット・バーストを一気に放出させる。
「な、なんて力だ!!」
回避することなど不可能な、巨大なレーザービームに、慌ててダイキは両腕でガードした。
ライムの攻撃を阻止するために近づいた手下達も、余裕で射程範囲の中だ。
「お、俺様のガードが……!!」
ライムが放った強烈な一撃は、ダイキの鋼鉄の盾をも貫通させる。
「ぐわぁぁぁぁっ!!!!」
巨人・ダイキの叫び声がこだました。
想像以上の大きな力で、危うく巻き込まれそうになるナヴィ。
攻撃が当たるギリギリのところでダイブして、ナヴィは間一髪のところで回避した。
「あ、危ない……僕も巻き添えを食らうところだった。なんて力だ!! すごい!!」
ライムの渾身の一発
“リミット・バースト”
それは解放軍ダイキ、手下共々を蹴散らすどころか、周りの草木、あるものすべてを吹き飛ばしていた。
「これが俺の力……これ全部俺がやったのか?」
自分の力に唖然とし、放心状態のライム。
ダイキが起き上がることはない。完全に気絶している。
手下達も同様に、誰一人立ち上がることはできなかった。
ナヴィのアシストもあり、ライムは解放軍の討伐に見事に成功した。
「やったね! ライム!!」
ナヴィが喜びながらライムのもとへ走って行く。
ライムは一気に緊張が解けたのか、がくりと膝から崩れ落ちた。
「やったのか、俺……だめだ。力が抜けて動けない……」
「ははっ! いいさ。解放軍は倒したんだ! 少し休んでから行こう」
こうして、ライムとナヴィの解放軍の対決は幕を閉じた。
カコイマミライ
~時を刻まない島~
第18話
“衝撃”
少しの休憩を挟み、膝から落ちていたライムも、ようやく立ち上がる。
しかし、ダイキにやられ、パンパンに腫れた足により、ライムはまだうまく歩くことができずにいた。
そんなライムを気にもせず、ナヴィは一人そそくさと先を歩く。
「待ってくれよ、ナヴィ。もうちょっとゆっくり歩いてくれ……」
ライムは痛そうに片足をびっこを引きながら、ナヴィの後を追っている。
「あー……ごめんごめん。でもファブル村まではあと少しだよ」
これから先は長旅になる。
諸々の準備をするために、ライム達は一度ファブル村に戻ることになっていた。
ゆっくりとしたペースではあったが、なんとか無事、二人は村へと戻る。
村に入ると、ライムを見かけたトウゴが、一目散にこちらへと駆け寄ってきた。
「おい、おめぇ……ライムじゃねぇか!!」
笑顔で出迎えるトウゴに向かって、ライムは痛い思いを我慢しながら、ぎこちない笑顔で返す。
「トウゴさん。心配かけたね」
トウゴは慌てた様子で、キョロキョロと周りを見渡した。
「おまえ……あいつらは? 解放軍はどうしたんだ!?」
ライムは少し照れながら答える。
「俺が倒したんだ! 自分でもまだ信じられないけどね」
「なんだって!! こいつは驚いたな!!」
謙虚なライムに対し、自信満々にナヴィは言った。
「当たり前だよ! だってライムは──」
ナヴィは話の途中だったが、ナヴィが喋るとトウゴはここ一番の驚きを見せる。
「な、なんだ!! ウサギが喋ってる!?」
当然のことかもしれない。
ナヴィのことを初めて見たら、誰もが驚きを隠せないことだろう。
トウゴのナヴィへの質問が止まらない。
「なんだこいつは? そもそもなんで歩いて喋ってる!? こいつはライムのペットみたいなもんか?」
返答に困ったライムは、適当に相づちを打って返した。
「まぁそんなとこ……ペットみたいなもんかな!」
そのライムの聞き捨てならないセリフに、ナヴィは怒りをあらわにする。
「なんで僕がライムのペットにならなきゃいけないんだ! 僕は時の──」
怒るナヴィの口を、無理矢理ライムは両手で塞ぐ。
そして、トウゴに聞こえないよう、小声でライムはナヴィに説明した。
(怒るのも分かるけど、話がややこしくなるだろ? ペットってことにしといてくれよ)
(もう!! そういえばさっきも僕のこと、マイペットだとか言ってペット呼ばわりしてたな!)
意外とナヴィは、先程のことを根にもっていたようだ。
トウゴには二人の会話は聞こえはしなかったが、ライムの痛めた左足にトウゴが気づく。
「なんだライム。おまえ怪我してんじゃねぇか! これは大変だ! 一度俺の家に来い!」
結局この村に来る度に、トウゴには世話になってしまう。
ライムはトウゴの家にお邪魔し、簡単な治療を受けた。
「湿布と包帯ぐらいしかねぇが、何もないよりはマシだろ」
「何から何までありがとう! トウゴさん」
包帯を巻き終えたトウゴは、おもむろに出掛ける準備を始めていた。
そして、準備が整ったトウゴはライムに声をかける。
「よし、行くぞ! ライム!!」
「えっ? 行くってどこに?」




