1、魔王の降臨
大阪市立甕島中学校・・・。
俺ら中学生は、此処の学校で普通にじゃれ合い、普通に勉強し、普通に生活していた・・・。
なのに、何故か俺はどこかの牢獄らしきところで捕まっている。
俺はあの日から何日捕まってたんだろう・・・。とりあえず、あの日から2日ぐらいは経ったと思う。あの日から・・・。
=====9月4日=======
昨日は始業式、今日は普通の授業・・・。俺は体力が無くなる寸前だった。
「もう2学期かあ・・・。はあ〜」
「何や辛気臭いなあ・・・もうちょい元気出せや」
「アホか。元気出せたらため息なんてつかん」
「初耳や」
「言ってないからなあ・・・」
俺は友達の宏幸とこんなつまらない話をしていた。
「まあ正直俺もだるいわ。」
「元気なのに?」
「2学期になっても何で暑いねん!」
「正確に言えば雲1つ無い快晴だから」
「太陽消えろー!」
「無理言うな」
まあ本当に太陽消えたらさぞかし俺も喜ぶ。つか、雲1つ無いと言うことに俺は疑問だな・・・。
人口で作った雲があったら太陽隠れるのになあと俺は思っていた。
そんな変な会話をしていた時、窓で、じゃれていた2人の男が窓を覗いて、屋上に目を向けた。
「何やアレ?」
俺や宏幸、そして教室に居た全員が窓に首を突っ込んで、屋上を見た。
屋上には、黒い服で身を包んだ男が、屋上のところで立って、こう叫んだ。
「我が名は、魔王!!弱き生き物の人間どもよ!!我に服従し、我の言うことを聞け!!服従しないものよ!!我は敵とみなし、そやつを殺す!!」
中学生全員が、窓を覗いて、魔王と名乗った男の変な演説を聴いて、笑うやつも出てきたり、死ねと言うやつも出てきたりしていた。
宏幸も笑って、俺にこういった。
「何やアレ。おもろい演説やw。むっちゃうけるでw」
「ああ、そだな」
俺はそっけない返事をした。全校生徒が笑っている中で、俺だけが何故か笑っていなかった。
笑えなかったと言った方がいいのだろうか・・・。
その演説を聴きつけ、3人の男性教師が屋上に来て、止めに入った。
「居たぞ。あそこだ」
「そこの、男性。何やってるかわからんが、私達と同行しなさい。」
「今なら警察に言わないでおくから」
男性教師は、そういうと魔王と名乗った男に近づいた。
魔王は男性教師達を見て、1人の男性教師に近づいた。
「よし。大丈夫だ」
と言った瞬間、男性教師の1人の胸が、魔王の腕を貫通した。
「え・・・?」
そういうと、男性教師が、崩れるように倒れて地面に血を流した。その光景を見ていた生徒達から、ところどころから悲鳴が聞こえた。屋上に居た2人の教師も、うわあああと叫んで、逃げようとしたが、魔王がレーザーみたいな光線を出して、2人とも死んだ。
窓から覗いていた男の生徒も、うわあああと言って、逃げようとしていた。俺はただ立ちすくんで、魔王を見ていた。そして俺はさっき、みんなが笑っていたのに、俺だけ笑えなかった理由が、わかった。
それは、魔王から出てくる殺気と、恐怖を感じたからなのだった・・・・・。
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そして、俺は今牢獄に居る。
宏幸は、今捕まっているか、逃げているかだな。
噂によれば、魔王が来た日、世界中が魔王の兵に被害を受けていたとのことだ。いま、外がどうなっているかは、分からないが、
どの道俺は、此処を出ない限り、無理やり服従させられて死ぬか。すぐ殺されるかのどっちかだった・・・・。
「あ〜あ・・・。外の空気を吸ってみてえなァ・・・」
そんな独り言を言った。そのきと、後ろから誰かが喋ってきた。
「そんなに外の空気を吸いたいのか?」
「・・・・誰?」
「怪しいもんじゃねえさ。お前と同じ立場の人」
「あんたも捕まったのか?」
「そうさ」
俺と同じ背があったその男は、髪が長く、肩のところまで届き、少し茶色の髪をしていた。
服装は、まあどうみても身軽そうな服装をしていた。青いTシャツに黒いジーンズ。
「んで。外に出てえのか?あんた」
「あんたじゃねえ。雄市だ。・・・出たいね。このせまっ苦しい部屋とおさらばしたい」
それを聞いて、男は鼻で笑いながらこう答えた。
「なら・・・出してやるよ」