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約束は遥か遠くに
待ってるから。
ずっとずっと待ってるから。
ここで、この場所で、ソウイチロウのこと、待ってるから。
だから、必ず帰ってきてね。
絶対、絶対、帰ってきてね。
泣きながらそういった僕の頭を、ソウイチロウは優しく撫でた。
その時の悲しい顔が僕にはよく分からなかったけど、きっと帰ってくると思ってた。
でも、それから一度もソウイチロウは帰って来なかった。
冬が過ぎて、春、夏、秋が来てまた冬。
何回も何回も季節が変わっても、ソウイチロウは帰ってこない。
周りの景色がどんなに変わっても、人間が身につける衣服が僕と違うものに変わっても、帰ってこなかった。
帰ってきて、ソウイチロウ。
僕は、約束。守ってるよ。
帰ってきて、ソウイチロウ。
僕は、この場所で待ってるよ。
でも、帰ってこない。
ずっとずっと待ってるのに。
ソウイチロウがいなくなって、何人もの人間が来たけどすぐにいなくなってしまう。
お願い、僕と一緒にソウイチロウを。
ソウイチロウを待って欲しいんだよ。
もう、1人じゃ寂しすぎるんだよ。
だから、誰か。
誰か。
僕と……僕と一緒に……