『王さま』
『王さま』や『女王さま』となってしまったあなたへ。
あるところに『王さま』がいました。
『王さま』は言いました。人間は嫌いだと。
『王さま』の周りにはたくさんの人がいました。みんながみんな、彼を『王さま』として慕いました。
ひとりの『下働き』の少女が言いました。
「私は『王さま』がきらいです。」
少女の言葉は『王さま』には届きませんでした。届くわけが、ありませんでした。
この世界がどんなに平等でも、確かにそこには格差があるのです。雲の上にいる人に、地面を這う者の声は届かない。
少女は姿を消しました。
彼は、いえ、『王さま』はそのことにまったく気付かず、ちらりと視線を向けることさえせず、今日も『王さま』の『王国』を生きていくのです。
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