怒りの咆哮3
ウエットスーツの上に防弾ベスト、防水仕様の背嚢、弾薬や無線機、ストロボなどを入れたチェストリグをつけると随分と動きにくくなった。ボンベを背嚢に付け、足にフィンを装着すると動けなくなりそうだった。
「出来たか?」
装備の点検はバディでするように言われていた。
「はい!」
「大丈夫か。じゃあ行くぞ。」
6人は装備室の扉を開けそのまま桟橋に向かった。冷たい風が頬を擦った。
ゴムボートはゾディアック社の小さいものだった。転覆しないように左右交互にボートに乗ると、ファレルがエンジンを回し、古林が無線で作戦本部に報告した。無線帯は三つあり、一つは小隊のもの、もう一つは作戦本部とのもの、そして首都警備即応隊との情報班のものだった。
暗視ゴーグルは最新鋭の技術を使い、その性能は自衛隊の装備と比べると素晴らしいの一言に尽きた。視界は従来型より広く、人型の物は赤い線で縁取られるようになっていた。そして顔を自動認識し、登録していた味方は緑の線で縁取られていた。何よりも便利なのは銃につけたスコープと併用出来る事だった。
「これより戦闘海域に入る。警戒を怠るな。」
冴木はヘックラー&コッホ社のhk416小銃に付けた8倍のスコープを使い分担範囲を見渡した。難民地区が見えた。電気の殆ど無い海岸を見て、バレる危険は無いと思った。が動く人影に気づいた。エンジンがうねり、波を立ててボートが進む。幻想的にも見える世界だった。
「止めろ。チェックポイントに着いた。」
エンジンが止まり、後ろに続いていた二班のボートもスピードを緩め、止まった。
「海岸の様子は?」
「バリケードの様な物がある。あれで船の侵入を防げると思ってんだ。あたりに5人。何故かバリバリの重装備が3人。いや…4人。あと一人は小屋に寄っかかってる。」
中條は双眼鏡を覗いていた。
「どうやらチームだ。移動する訳でも無く何かを見張っているらしい。やはり小屋aが見張り小屋。中から煙が出てる。人がいるって訳だ。たるんでやがりますよ、ボス。奇襲できます。」
松浦がボートに伏せスナイパーライフルのスコープを覗きながら言った。
「0140、こちら一斑。二班へ、プランbに変える。」
「了解、プランbに変える。二班より一班へ。」
4人は暗視ゴーグルの上から潜水メガネをはめ込んだ。そしてボンベの先を咥えた。
「松浦、中條、援護を頼む。俺らが水から上がってからな。」
「了解。」
「俺について来い。光を見失うな。そして常に全員腕のGPSを確認しろ。」
古林が言い、後ろから落ちるようにして海へ潜った。それにファレル、冴木、杉崎と続いた。
ポイントちょっと欲しいかも…(´・_・`)
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