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怒りの咆哮1

多くの軍や情報機関同様、現場担当の職員と事務員がいた。実際情報を回し、予算を立て様々な道具を管理するのは事務方だが、現場の方では事務方を忌み嫌っている、という風潮がどこの組織も少なからずあった

 しかしこの首都警備即応部隊は違った。事務職員と言っても警察や防衛省の“訳あり”元現場方が務めており、隊員に交じって射撃をする者も居た。今や寄せ集め部隊は大いなる団結を発揮していた。それは上に立つ篝二尉の尽力の成果でもあった。

 隊の情報室はまるでロケットの管制台だった。無数のディスプレイが並び、ヘッドセットを付けた技術員がいて、いつもならそこには都内の犯罪が実況されていた。

 しかし今日は違った。数日のうちに難民地区で高まる緊張を受け、警視庁と防衛省の合同委員会から難民地区のパトロール、犯罪者の摘発を要請されていた。そのためディスプレイには十数基のドローンから送られる映像と難民地区と湾岸地区を隔てるフェンスをうろつく警察官との交信でいっぱいになっていた。侵攻作戦は入ってくる情報と作戦立案官によって二日で組み立てられた。

 難民地区は難民の増加に伴い肥大化した。数十年前まではトウキョウの希望や国際化のシンボルは今や朽ち果て並んだビルは鉄骨がむき出しになり、仮説住宅は違法な増築が施されているか、スラムと化し灰色になっているかであった。それでも人口は増え続け、台東区の四分の一程の2・5キロ平方メートルの中に十五万人が住んでいた。その中で警察も機能しなくなり、テロ組織やギャングが銃を持って町を闊歩していた。その中で勢力を伸ばしているのがシリアやアフガニスタン、パキスタンからの難民の集団で、イスラム原理主義を語る犯罪集団、テロ組織と化していた。トウキョウと接しているのは二本の橋と百メートル程のフェンスで、橋の両方に彼らによる検問があり、それらは元々警察の物だった。他の部分は海で囲まれており、攻めにくい土地だった。

 しかしそれほど“逃げにくい”土地でもあった。


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