待機2
「バカ野郎!持ち方がなってねえ、親指と中指はきつく締めろ、いいか!」
「アイ、サー!」
「標的1と2に向けて頭に一発ずつ打ち込め!」
冴木は両手で拳銃を構え引き金を二回引いた。遊底が二度後退し、空になった薬莢が飛び出す。0.5秒程の間に弾は標的1の腹と標的2の頭の中心に当たり小気味良い音を出した。
「てめえは頭の位置が分からんのか!照準を一瞬で眼の前に合わせてみろ。出来ねえんなら帰りやがれ、分かったか!」
「アイ、サー!」
古林は自分のSIGp225を標的に向け、鋭い目を一瞬凝らすと間髪入れずに二発撃ち込んだ。弾はプラスチックの標的の頭にギザギザですらない穴を作った。拳銃を射撃台に置き、腕を上下させているだけの冴木を睨んだ。
「行けるか?」
「はい!」
「次は良く狙って撃て。3発。標的3へ短連射。射撃用意。撃てっ。」
標的3は三発撃たれるとパタンと倒れた。三回規則正しく音が鳴ると同時に射撃室の重い扉が開き、ファレルがはいってきた。
冴木は胸を撫で下した。今日は朝のトレーニング後から小隊の持つ全ての武器の手ほどきを受けていた。その数はロケットランチャーやスナイパーライフル三種を合わせると11にも及んだ。今撃った拳銃は八番目だった。「どうした?」
「遂に行動命令が出されるみたいだ。gひとまず全員中庭に集合だ。」