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怒りの咆哮7

だんだんこれは地下道でないかと思い始めた。そんな時、それが見えた。気味の悪い映画のようで、一人で情報収集を任されたのも理解できた。

所詮俺は雑用係だ。そう思うと情けなくなった。

冴木は拳銃を注意深く構えて見えた人影に照準した。

全く動かない。ただ突っ立てるが味方の服装でない。それに今いる地下室のことはデータに無かった。暗視ゴーグルは全てを薄緑色に見せていた。

暗い階段を下る。

二三段だが気は緩められない。音を出さないように足を出す。

暗視ゴーグルを外して見てみるとそれは昔の映画のポスターだった。等身大のアニメの劇場版ポスター。古林が子供の頃のものだと思った。

「クソったれ、ポスターだった。」

毒づいたが無線からも何も連絡は無かった。正確にはノイズが流れるだけだった。不思議に思い後ろを向くと階段が音を立てて崩れた。そして足元の感覚が消え去った。

「おっ?」

マヌケな声が漏れ、視界と感覚が狂った。拳銃が手を離れて何処かに落ちる音がした。その刹那、頭に衝撃が走り、気絶してしまった


「応答しない。」

「おい、何故一人で行かせたんだ?」

「情報部、冴木一士の位置情報をくれ。離れてるか?」

数秒後、全員のマスクに音声が流れた。

「情報部より、冴木一士のgps反応が途絶えた。状況を。」

「代わる。こちら篝だ。第一小隊一班は任務の遂行を優先しろ。」

「了解しました。」

「これより進行作戦を開始する。全部隊作戦通り行動せよ。」

「了解」

橋から十式戦車が重い音を立てて動き始め、その周りを張り付くように首都即応警備中隊や機動隊、自衛隊員が動いてゆく。

「おい、どうすんだ?」

「とりあえず防衛設備を組み立てよう。仕方が無い。」


「来たぞ来やがった。」

中條が言った。スコープに赤い輪郭が五人分現れた。

中條と松浦はほぼ同時に発砲した。それぞれが狙った人影は二人のスコープの中に情報として同期された。

赤い輪郭がよろめく。だが一方はまだモゾモゾと動いていた。空かさずボルトハンドルを左手で引いて装填し、発砲。松浦は既に次の敵に照準していて、狙撃した。

残りの敵が背後のスナイパーの存在に気がつき大通りに出た。しかし一人が戦車の機銃に穴だらけにされ、最後の一人は慌てて来た道を戻ろうとした。

「逃がすか。」

松浦の撃った弾に当たり全員が動かなくなった。数秒後、また二人の担当領域に敵グループが現れた。躊躇無く弾丸を打ち込む。

「少し多くないか?ファレル、下の守りを、古林でもいいから誰かよこせ。」

「おい、調子に乗んなよクソ中。今行く、いや待て、敵が近くに居やがるぞ!」

「クソがケツぐらい守ってくれよな」

戦車隊が砲撃を始め、何発か撃ったところで大きな爆発音がした。

「二次爆発か。」

「どうやら溜め込んでたらしいな。俺らとヤリ合う為に。」

松浦は中條のギャグににやけた後、また一発撃ち、弾倉が空になって新しいそれに入れ替えた。

「今のところこっちを見向きもしないがな」

「ヤラれっぱなしだな。」


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