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怒りの咆哮6

 訓練で行うレーザーを使った「戦術ゲーム」は基本的に安全だった。被弾の衝撃だけは専用の服やヘルメットが伝えてくれ、アザが山ほど出来ることも多々あった。クリアリングの訓練でテロリスト役をやらされた時は杉崎と古林に6つのアザを顔に付けられ、その内の幾つかはまだ残っていた。ただ実戦との大きな違いはいくら撃たれても刺されても汗しか出ないことだと思った。

ナイフに付いた血は鞘に入れたら技術により自動的に消毒されたが手袋やマスクに飛び付いた血潮はどうしようも無かった。感触はしないが血を浴びた、という気持ち悪さは犇犇と感じていた。偽装用に借りた死骸の服もそれを助長していた。しかし不思議と罪悪感は無く、気分が少しずつ良くなってきた事も確かだが。



松浦は自分の愛するライフルを屋上に置き、伏せた。その黒くてしなやかなライフルは有効射程1500メートルの.338ラプアマグナム弾を使うボルトアクション式で、作動部は金属、銃床はケプラーで出来ていて重かった。その重さが構えるときの安定と驚くような精度を生み出していた。松浦は愛銃に二脚とサイレンサー、リューポルド社の20〜32倍のスコープを付けていた。サイレンサーは音を掻き消すと同時に反動も減らす。

そこからは町全体が見渡せた。活気のない、疲弊したような雰囲気が漂っていた。

「あそこがメインルートか?」

隣にいる中條が松浦のヘッドマウントディスプレイに視覚を同期させた。碁盤のように広がる道があり、その奥には橋が、そして犯罪者どもが建てたフェンスがあった。あの手作り有刺鉄線もその内の鉄屑になる。その奥には戦車隊がいるはずだが環境ホログラムが何も無いように見せ掛けていた。丁度良い距離にある建物を目掛けてゼロインする。そしてライフルから離れ、双眼鏡を覗く。

「中條、放送はいつ流れるんだ?」

「一般ピーポーの事は気にするな。この地区にろくなやつはいない。戦闘適齢期の銃持ちには全てマーキングさせてある。ほらよ。」

ドローンの視界がリストディスプレイに写し出された。赤に縁取られた人影はない。

「いないじゃねえか。」

中條は口笛を吹いた。少し苛ついた松浦はもう1度双眼鏡に目を当てた。確かに誰も道や屋上に居ない。が通り沿いのビルの中は人影がある。スナイパーライフルに持ちかえ、熱線スコープモードにすると銃を持った人影やガレージでトラックを触る奴等がいた。

「そういうことか。向こうはこっちがメインルートを通ることを予測して待ち伏せてる。ファレル、聞こえたか?」

「了解。情報部に送る。」

ファレルら四人はそこにはおらず、この廃ビルの地下にいた。何かを見つけたらしい。無線から少し聞こえるが、気にしない事にした。

テスト終わったー!

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