創設
日本には大規模な武器を用いたテロ対策部隊が無い。SATはあくまでも警察組織の中の一部隊でありあり、犯人逮捕をまず目的とするものである。
いま日本で想定されるテロはの中で重要度が大きいのは以下の三つである。
・宗教、思想を持つ者によるテロ
・在日米軍、大使館、領事館を狙ったテロ
・他国を後ろ盾に持った政府転覆を狙うテロ
この中で圧倒的に重要度が高いのは三つ目である。
これまでテロは水際作戦でふさいでゆく方針であった。しかし「上野事件」のように自動小銃、手榴弾を用いたテロに対し、その言い訳は無用であった。
上野事件ではSATの対応まで二十分かかった。そして到着したSATもテロリストによって五人の隊員が負傷、八人が死亡した。民間人は六十人死亡、百十人負傷し、死傷者の半数は中学生以下だった。
国民はSATの対応に限界を感じ、彼らもそれを感じている。
よって日本国内でテロに即応でき、テロリスト殺害を第一の目的とする“特殊”な“秘密”部隊を新設すべきである...
このような形で彼の企画書の一章は終り、その後につづいた。この統合参謀本部人事部長による案はそのまま防衛副大臣、首相と手に渡り、ゴーサインが出た。そして与党議員の3人からなる秘密委員会はこの部隊の作成を推し進め、それに関する法整備を進めた。こうして全員が警察権を持つ首都警備即中隊が作られた。