0/序よりも前
前書き:この作品は「オチなし」「ストーリーなし」の作品です。ただ、文字が羅列してあるだけです
普通と云う言葉。
どこからどこまでが「普通」で、どこからどこまでが「異常」なのか。
たぶん、それは誰も知らない。
「普通」はとても説明が難しい言葉で、ここ人間社会において普通は明確に定義されていないからであって。つまり、法律で決められていない事が「異常」で、そうではないのが「普通」なのか? ―――って言われると私は首を傾げる。だってそれなら、法律で決められていなくても犯罪にはならないスレスレのラインも異常って事になる。それを言うなら、私たちが通っている学校の校則だって別に法律ってワケじゃない。
他に述べるのであれば、世間一般の目。私はこれが今の普通の定義なんじゃないかって思う。
あるひとが、そのひとを気に入らなかった。だから迫害した。迫害するそのひとが怖いから、他のひとも真似してそのひとを迫害する。そうしていつしか、迫害が広がって、どうしてそう思ってしまったのかきっかけすら忘れてしまう。ほら、そのひとが迫害されるのが「普通」になった。
曖昧な定義。明確なラインが存在していないから、結局、発言力のあるひとの言葉が普通になる。たとえ、それが犯罪者の言葉だったとしても、そのひとに力があればそれは「普通」になっちゃう。
なんというか、凄く簡単。
いや、もちろんそんな発言力のあるひとは世の中には少ないと思う。学校じゃあるまいし、あそこはクラスや学年のガキ大将みたいなのが必ず居て、そのひとの言う言葉が普通になるし、大衆の意見になっちゃう。だから、あそこは凄く簡単なのだろう。世間ではそうはいかない。
世間っていうか、ちょっと規模を小さくすれば地域って言うのかな。そこなら、道端のデカイ顔したおばちゃんの言葉が多分それに当てはまるんだと思う。あのひとが言って、それで広まって、色んな噂がごちゃごちゃになって、徐々にそれが浸透していく。
結論、普通はやっぱり難しいって事になる。さすがにこの世すべての人間を納得させられる普通の代表格には私はなれない。いや、決して、私は実は魔法使いってワケでもなくて、超能力者ですってワケでもない。ごくごく、その辺にいる女の子と見た目上は変化はないと思う。
見た目上は。
そう。
つまり私は見た目じゃないところがちょっと普通じゃない。自分でも自覚しているぐらいには、普通じゃないと思っている。
だからと言って快楽狂ってワケじゃないし、血の見るのが好きな殺人鬼でもない。趣味嗜好っていうジャンルは同じでも、私にとっての普通で、世間からすれば充分過ぎるほど異常な考え。
―――私の恋人は妹です。