登場人物的な紹介その1
ここらでこのお話の登場人物達を紹介します。忘れていた訳ではないのですが、どうにもこうにも作者の書きたい願望が先駆し過ぎて登場人物紹介を省いてしまったようです。
おっと、これは失礼。私はケイスイの友人である宇宙人「カタリベ」と申します。皆さんとは全四話ではナレーションやケイスイとカイザーの心理描写、情景説明で既に顔見知りですね。以後お見知りおきを。
それではまず、このお話の中心人物である二人をご紹介しましょう。まずはこの方、森山 毅。本名はヌォルリィ・ヤメァ・カイザーというのは既にご存知ですね。第1部でもご紹介したように、彼は彼が通う学校でとても人気の生徒です。その秘密は彼が宇宙人と地球人のハーフ、「バスタードチルドレン」と呼ばれる人種だからです。
「バスタードチルドレン」とは、結果的に言えば異人種同士で生まれた子どもの事なのですが、彼の場合は二つの人種の遺伝子的、精神的に特に「良い部分」を受け継いだ存在であり、肉体的・精神的・さらに知能指数に至る全てにおいて完璧な人種なのです。
分かりやすく例を挙げてみると、学校での彼の成績は全科目オール5は当たり前。学級委員としてクラスのまとめ役となり、課外授業にも積極的に参加。人がやりたがらないような学校内の仕事も率先して引き受けるような優等生です。ですが、彼のそんな所を僻んだり不快感を示すような生徒はいません。それはカイザーこと毅がとても優しい子で、人の気持ちを理解しようと努力し、どんなに無碍にされても根気よく接するからでした。
学校での彼の評判を聞いてみると次のような声がありました。
「ああ、良いヤツだよ。偶にノート借りたり、分からない箇所があったら教えてくれるからな。でも甘くは無いんだよな。応用の箇所とかはヒントくれるが、自力で解けよって感じだし」
「僕は毅くんがいなかったらいつまでもクラスで一人ぼっちだったと思う。人と接するのが苦手だった僕をみんなと打ち解けさせてくれたのは毅くんだからね」
「なんか先公よりもセンセーらしい感じがするんだよな。俺らみたいなはみ出し者にも普通に話しかけてくれるし、悪い部分よりも良い所を見つけてくれる天才だと思うぜ」
「なんて言っても顔!! あと中身!! ぜーんぶカッコイイのよ毅様は!! あぁ今日も笑いかけてもらってアタシは(インタビュー中に倒れた為中断)」
「ドゥフフ、タケシ殿は我々アンダーグラウンドの住人とも電波が合う稀な3次元の男の子でゴザル。ああでも男の子よりは男の娘でも良い様な気がするでゴザル。ハァハァ、タケシたん萌えぇ~」
「私と毅さんは前世からの絆で結ばれた運命の相手なのですわ。これは彼と私が前世で燃え盛る城の中、共に生まれ変わっても必ず君を見つけると約束された事に起因する確定された(怖くなったので中断)」
「私たち教師陣としても彼の存在は大きいですね。彼の影響で他の生徒も活気付いてますから、生徒から学ぶという意味では彼は我々の教師、という感じでしょうか。フフ、ちょっとおかしいですね」
なんとも絵に描いたような「良い子」なのですが、彼にも悩みがありました。
それがこの方、森山 慧水。本名ヌォルリィ・ヤメァ・ケイスイ。緑色のゲル状質の縦型楕円形の体に先端に目玉が付いた触覚を持つ、口が「3」の形になっている「宇宙人」です。彼の過去は前回の話を参照していただくとして、なぜ彼が息子の悩みの種かというと彼の生活にありました。隠し撮りした森山家の今朝の様子をご覧頂きましょう。
朝六時。息子の毅は既に起床し、洗濯機を動かしている間に昼食のお弁当を作っております。対してケイスイはというと寝ています。それもカァカァといびきをかいて幸せそうな顔で寝ています。毅の方はあっと言う間に昼食を作るとゴミ出しと玄関の掃除、それが終わると次は洗濯機から洗濯物を取り出し洗濯籠の中に入れると二階のベランダで干し始めました。その間もケイスイはずっと寝っぱなしでした。
朝七時。次は朝食の準備に取り掛かる毅。冷蔵庫を確認し昨日の残り物に手を加える辺り場慣れしていると思われますね。と、ここでようやくケイスイに動きが。自分でセットしたタイマーが鳴っているようで、必死に探しています。ああ、そこじゃない。もうちょい右。そう、そこそこ。どうにかこうにかタイマーを切るとケイスイは時計を見て時刻を確認しました。ここで起きるのかと思いきや、なんと布団の中に潜ってしまいました。さながら蓑虫の如くです!!
そんな父の愚行を知らず、毅は朝食を作ってしまいました。ですがさっきの動きから見るにケイスイが動く気配無く、待っていても来ないことを悟ったのか毅は一人で食べ始めました。まったく以ってダメ親父ですね。
朝八時。既に毅は学校に登校していました。一方のケイスイはというと、寝ています。
朝九時。まだ寝ています。
朝十時。ここでようやく変化が!! 時計を確認して、もう一度伸びをするケイスイ。そしてもぞもぞと布団の中で動くと足(に変化させた自分の体)を外に出しました。が、しばらくするとまた元に戻し、そのまま動かなくなりました。どうやら外が寒かったようです。
結局ケイスイが起きたのは毅からの電話が来た十二時半という超遅い時間でした。なんともはやズボラな父ではありませんか。
ですが、こう見えてもケイスイは毅が生まれる前、彼が地球へとやって来てから数十年の間、地球を守る謎のヒーローと言われ話題となった人物でした。ある時は地球侵略を狙う宇宙生物を倒し、ある時は世界戦争に発展するかもしれない国同士の問題を解決したり、またある時は異次元からの来訪者と共に時空を越えた世界全てを守る戦いをしたりと、途方もない戦いの歴史を経た戦士だったのです。
が、そんな話を毅が信じる筈もありません。だって彼の父親に対する認識は「宇宙人」「緑色」「だらしない」であり、そんなに凄い人物なら、こんなだらしのない生活をする訳がありませんからね。
以上が二人の説明となります。続いてその他の人物についてですが、こちらは少々長くなりそうなのでまた後ほど説明致しましょう。では今回はこの辺でお別れです。皆様、これからも二人の行く末を見守って。いやどちらかと言うとケイスイがちゃんとまともになる事を見守ってください。それでは、ごきげんよう。
「親父、ちゃんと起きてんのかよ!!」
「んー起きてる!! ちゃあんと起きてるがよ!!」