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第一章『才気』

袁紹軍陣営の若き秀才、郭図。審配とは敬遠の仲である。

(「果たして我らの思惑通りにいくだろうか?周は万事抜かりない、と言っておったが」)

 盧彰は手を組み、祈るような仕草をして、また、審配に視線を戻した。

 審配は声を落とし、呂曠に顔を向けた。

「顔良の敗残兵を文醜に組み込んでは如何か?」

「ふん、相変わらず思慮が浅いね、審配殿は」

 審配がその声の主は、と振り向くと、その先には頭を短く纏めた、細身の男が口元に笑みを浮かべ、座っていた。この男も、盧周や盧彰同様、全く取り乱しておらず、その眼が不自然に光っている。

郭図かくと、何が可笑しい?」

 審配は男に向けて再び、怒鳴り散らした。しかし、郭図は盧彰の方を見据えたまま、微動だにしない。まるで審配がいないかのようである。

「馬鹿なんですかね、審配殿は。文醜殿の軍の動きが鈍重になるのは眼に見えている。『兵は神速を尊ぶ』、まさか知らぬわけではないでしょう?」

(「仲間割れの始まりかな?」)

 盧彰が密かにほくそ笑む中、それに気付かぬ審配は怒りを堪えながら、あくまで冷静を装い、

「では、どうすれば良いのか?当然、素晴らしい代替案をお持ちなのでしょうな、郭図殿?」

 審配の拳は堅く握られていた。

「猫に追われた鼠を使えば良いかと」

「劉備か、曹操に叩きのめされて、客将として置いてやってから、使っていないな……そうだ、まだ切り札が残されていたのだ」

 立ち上がり一人頷く呂曠、郭図は口を引き攣らせ奇妙に笑い、静まり返った一室を見渡し、満足そうに言った。

「僕がいないと君たちは何もできないようだね。無能そのものだ。まずはそこから理解すべきだよ。そうお思いですよね、審配殿?」

 二マリと笑い、審配を一瞥した。

「さて始めましょうか、ね」

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