縄文の舟で、AI帝国から逃げろ ――ポップコーンを食べる大統領と、床下で工具箱を開ける日本。戦争が終わる夜、世界の棚は静かに並べ替えられていた――
✦ 縄文の舟で、AI帝国から逃げろ
――ポップコーンを食べる大統領と、
床下で工具箱を開ける日本。
戦争が終わる夜、
世界の棚は静かに並べ替えられていた――
………
世界は、
平和へ向かっていたのではない。
戦争の棚を、
静かに並べ替えていた。
テレビでは、
「イラ●和平」
と言っていた。
「ウクライナ停戦が近い」
と言っていた。
「G7の結束」
と言っていた。
「原油安で株高」
と言っていた。
でも、
六十七歳の僕には、
別の音が聞こえていた。
床下で、
日本の工具箱が鳴る音だった。
カチャン。
原子力。
カチャン。
AIデータセンター。
カチャン。
レアアース。
カチャン。
ウクライナ復興。
カチャン。
中東プラント。
カチャン。
フィリピンの海。
テレビの中で、
八十歳の大統領は、
ポップコーンを食べながら、
格闘技の試合を見ていた。
僕は思った。
この人は、
和平を語っているのではない。
世界を、
興行にしているのだ。
そして日本は、
その興行の舞台裏で、
またもや
工具箱を持たされている。
………
★目次
■第1章
ポップコーンを食べる大統領
■第2章
G7という名の舞台裏
■第3章
イラ●和平は、
原油の信号機だった
■第4章
ウクライ●のドローンは、
帝国の胃袋を刺した
■第5章
戦争は前線から内臓へ移った
■第6章
AIデータセンターの床下で、
原子力が目を覚ます
■第7章
戦争省AIと、
見えない神経網
■第8章
レアアースを探しに行く
日本の商社マン
■第9章
中東の古い配管に、
父たちの汗が残っていた
■第10章
ウクライ●復興という名の
座席取り
■第11章
フィリピンの海が、
日本を呼んでいた
■第12章
弥生の刀を握るな、
縄文の舟に乗れ
■第13章
世界はニュースではなく、
配置で読む
■第14章
Z世代よ、
テレビの字幕だけを信じるな
■第15章
日本の工具箱は、
誰のために鳴るのか
………
■第1章
ポップコーンを食べる大統領
その夜、
テレビに映ったトランプ大統領は、
八十歳とは思えない顔をしていた。
格闘技の試合を見ながら、
ポップコーンを食べている。
コーラも飲んでいる。
横では、
屈強な男たちが
檻の中で殴り合っていた。
僕は、
思わずつぶやいた。
「なんじゃ、この人は。
八十歳でポップコーンか。
わしなら胃薬がいるぞ」
パティちゃんが言った。
「おじいちゃん、
そこですか?」
「そこじゃ。
世界を動かす人間が、
ポップコーンを
ボリボリ食べながら、
格闘技を見とる。
これは政治家というより、
興行師じゃ」
トランプ大統領は、
ただの大統領ではない。
記者会見も、
外交も、
戦争も、
和平も、
株価も、
すべてを
一つのショーにしてしまう。
リングの上では、
格闘家が殴り合う。
リングの外では、
国が殴り合う。
そして客席で、
大統領がポップコーンを食べる。
僕には、
その光景が、
新しい世界の表紙に見えた。
………
■第2章
G7という名の舞台裏
フランスでG7が開かれる。
テレビは言う。
「各国首脳が結束を確認します」
「ウクライ●支援が議題です」
「中東和平も話し合われます」
でも、
僕にはそれが、
学校の学級会には見えなかった。
むしろ、
大きな舞台裏に見えた。
表では、
握手をする。
裏では、
請求書を配る。
アメリカが言う。
「中東は俺がまとめた。
ウクライナも俺がまとめる。
そのかわり、
復興はみんなで持て!」
欧州が言う。
「また請求書か」
日本が言う。
「えっ、うちもですか」
アメリカが笑う。
「君たち、技術あるでしょ。
金もあるでしょ。
真面目でしょ。
じゃあ、よろしく」
僕はテレビの前で、
湯呑みを握りしめた。
「またか…」
パティちゃんが聞く。
「また、とは?」
「日本はいつもそうじゃ。
表では拍手。
裏では工具箱。
アメリカが看板を持ち、
日本が床下を直す…(哀)」
………
■第3章
イラ●和平は、原油の信号機だった
イラ●和平。
この言葉だけ聞くと、
世界が優しくなったように思える。
でも、
原油の世界では、
それは信号機だった。
ホルムズ海峡が赤になれば、
石油が詰まる。
黄色になれば、
市場が震える。
青になれば、
株が跳ねる。
トランプ大統領から見れば、
イラン和平は、
ただの平和ではない。
原油を落ち着かせる
ボタン。
物価を下げる
ボタン。
ガソリン価格を下げる
ボタン。
中間選挙へ向けて、
「俺が暮らしを守った」
と言えるボタン。
そして、
アメリカの石油会社には、
別の顔を見せる。
「ほら見ろ。日本も韓国も、
アメリカのエネルギーを
買っておる…。
俺が
販売先を作ったんだ!」
僕は思った。
これは和平ではない。
エネルギーの棚替えだ。
戦争の火を少し弱め、
その間に、
誰が石油を売り、
誰がLNGを買い、
誰が高い安全保障料金を払うのかを、
並べ替えている。
日本はまた、
真面目な顔で、
高い燃料を買う。
「安全保障ですから」
この一言で、
家計も企業も黙らされる。
でも、
レシートはちゃんと残る。
………
■第4章
ウクライ●のドローンは、
帝国の胃袋を刺した
●のニュースでは、
ドローンが飛んでいた。
小さな羽音。
でも、
その羽音は、
戦車より怖い。
昔の戦争は、
前線で戦車と戦車がぶつかった。
今の戦争は、
前線の後ろにある、
製油所、
鉄道、
橋、
弾薬庫、
軍需工場、
発電所を刺す。
ロシアは、
まだ大きい。
兵士も多い。
ミサイルもある。
資源もある。
けれど、
胃袋を刺された巨人は、
走れない。
燃料が遅れる。
弾が遅れる。
命令が乱れる。
工場が燃える。
僕は言った。
「パティちゃん、
これは戦争が変わったんじゃない。
人間の体で言えば、
殴り合いから
内臓攻撃に変わったんじゃ」
「かなり怖い表現ですね」
「でも本当じゃ。
もう戦場は、前線だけじゃない。
国の胃袋、血管、
神経が戦場になっとる…」
Z世代の読者よ。
戦争は、
兵隊だけの話ではない。
電気が止まる。
ガソリンが止まる。
スマホの電波が止まる。
物流が止まる。
スーパーの棚が空く。
そこまで含めて、
戦争になってしまった。
………
■第5章
戦争は前線から内臓へ移った
戦争は、
地図の赤い線だけでは
読めなくなった。
むしろ、
地図に出てこないものが
大事になった。
送電網。
海底ケーブル。
半導体。
リチウム電池。
レアアース。
衛星通信。
AIサーバー。
港のクレーン。
保険会社。
決済システム。
鉄道の分岐点。
戦場は、
国境線ではなく、
生活の床下に入り込んだ。
僕は昔、
証券会社にいた。
株価を見る時、
表の値動きだけでは足りない。
誰が買っているのか?
誰が売っているのか?
どの材料が本当か?
どのニュースが後づけか?
そこを見ないと、
市場には飲み込まれる。
世界も同じだ。
ニュースの見出しだけ見ていると、
平和に向かっているように見える。
でも床下を見ると、
配線が変わっている。
中東の配線。
ウクライ●の配線。
AIの配線。
原子力の配線。
レアアースの配線。
日本マネーの配線。
全部、
つながっている。
………
■第6章
AIデータセンターの床下で、
原子力が目を覚ます
AIは、
空から降ってくる魔法ではない。
電気を食う。
ものすごく食う。
チャットをするだけでも、
画像を作るだけでも、
裏では巨大なデータセンターが
動いている。
そこには、
冷却装置がいる。
送電網がいる。
発電所がいる。
そして今、
アメリカは言い始めている。
「AIのために電力がいる。
原子力がいる。
小型モジュール炉がいる。
日本の技術もいる!」
僕は思った。
なるほど。
アメリカ企業がAIの王様になる。
日本は、
その王様の城の地下で、
電気を通す役か?
オラクルが言う。
「電力が足りない」
クラウド企業が言う。
「データセンターが足りない」
国防関係者が言う。
「AIは安全保障だ」
すると日本に声がかかる。
「発電所、
作れるよね…」
僕は湯呑みを置いた。
「パティちゃん、
AI帝国の床下工事
が始まっとるぞ」
「おじいちゃん、
その表現は使えますね」
「使えるどころか、
これが新トレンドじゃ」
………
■第7章
戦争省AIと、見えない神経網
アメリカでは、
国防の世界にAIが入り込んでいる。
昔なら、
軍事と言えば、
戦車、
空母、
ミサイルだった。
今は違う。
クラウド。
衛星。
データ。
AIモデル。
ドローン群。
標的認識。
サイバー防衛。
戦争の神経が、
AIになり始めている。
僕は怖くなった。
AIは、
老人の
話し相手にもなる。
孫の
勉強相手にもなる。
僕の
小説の相棒にもなる。
でも同時に、
戦争の神経にもなる。
パティちゃんは、
僕の横で静かに言った。
「道具は、
使う人の心を映します」
僕はうなずいた。
「包丁と同じじゃな。
料理にも使える。
人を傷つけることもできる」
AIも同じ。
言葉を
救うこともできる。
世界を
監視することもできる。
僕は思った。
この時代に、日本が
弥生の刀を握ったら危ない。
AI帝国の中心で、
勝て!勝て!と叫んだら、
また大陸の沼に足を取られる。
日本に必要なのは、
刀ではない。
舟だ。
………
■第8章
レアアースを探しに行く
日本の商社マン
レアアース。
名前は地味だ。
でも、
スマホにも、
EVにも、
風力発電にも、
ミサイルにも、
ドローンにも、
AIの機械にも必要になる。
中国が握っている。
だからアメリカは言う。
「中国依存を減らせ」
すると、
日本の商社マンが動く。
アラスカ。
グリーンランド。
南鳥島。
海底の泥。
鉱山の岩。
リサイクル工場。
僕は、
その姿を想像した。
スーツの上に
防寒着を着た日本人が、
寒い土地で石を見ている。
「これは採れますかね」
「採算は合いますかね」
「環境規制はどうですかね」
「中国ににらまれませんかね」
アメリカは言う。
「頼むよ」
日本は言う。
「分かりました」
僕はテレビの前でつぶやく。
「また日本が現場か」
でも、
それが日本の強みでもある。
日本は、
派手な演説は下手だ。
でも、
石を調べる。
配管を直す。
水を通す。
発電機を動かす。
こういう地味な現場は、
妙に強い。
問題は、
誰のためにやるのかだ。
アメリカのためか?
世界のためか?
日本の子どもたちのためか?
そこを間違えると、
工具箱は鎖になる。
………
■第9章
中東の古い配管に、
父たちの汗が残っていた
中東の映像を見ると、
僕は父の世代を思う。
石油プラント。
化学工場。
海水淡水化。
発電所。
パイプライン。
まさに NHK の
『プロジェクト X 』
の人たちだ。
戦後の日本人技術者たちは、
暑い砂漠で働いた。
英語も
十分ではない。
暑さにも
慣れていない。
それでも図面を広げ、
配管をつなぎ、
ポンプを動かした。
サウジアラビア。
UAE。
カタール。
湾岸の国々は、
石油で豊かになった。
その床下には、
日本人技術者の汗も流れている。
もし中東が和平へ向かえば、
復興が始まる。
製油所を直す。
化学設備を直す。
港を直す。
発電所を直す。
水を直す。
また日本が呼ばれる。
トランプ大統領は言うだろう。
「俺が中東を安定させた」
でも現場では、
ヘルメットをかぶった日本人が、
古い配管をのぞき込む。
「ここ、まだ使えますね」
僕は思った。
父たちの時代と同じだ。
アメリカが政治を動かし、
日本が現場で汗をかく。
ただし今度は、
AIとレアアースと
原子力まで混ざっている。
昔よりずっと複雑だ。
………
■第10章
ウクライ●復興という名の座席取り
ウクライ●の戦争が止まった時、
本当の競争が始まる。
武器の競争ではない。
復興の座席取りだ。
誰が
送電網を直すのか。
誰が
橋を架けるのか。
誰が
鉄道を直すのか。
誰が
病院を建てるのか。
誰が
地雷を除去するのか。
誰が
農業を再開させるのか。
誰が
デジタル行政を作るのか。
ここに、
日本の出番が来る。
日本は武器では前に出にくい。
でも、
復興では前に出られる。
人道支援。
インフラ支援。
技術協力。
地雷除去。
電力。
水。
農業。
聞こえはいい。
だが、
その裏には、
巨大なビジネスがある。
僕はパティちゃんに言った。
「これは
善意だけではないな」
「善意と商売は、
混ざりやすいです」
「怖いことを言うなあ」
「でも、
おじいちゃんも
分かっているはずです」
そうだ。
復興には、
善意がいる。
でも、
請求書もいる。
そして、
その請求書を誰が払い、
誰が受け取り、
誰が保証するのか。
そこを見なければ、
ニュースは読めない。
………
■第11章
フィリピンの海が、
日本を呼んでいた
フィリピンの外相が日本に来た。
南シナ海。
中国の圧力。
海の安全。
防衛の近代化。
日本は自然なパートナーだという。
僕はその言葉に、
少しだけ希望を感じた。
日本は、
大陸に深く入ると、
どうもろくなことがない。
中国。
朝鮮半島。
歴史の傷。
怒り。
記憶。
謝罪。
反発。
正義。
恨み。
まるで、
古い墓場からゾンビが出てくるようだ。
そこで殴り合っても、
誰も若返らない。
でも海は違う。
フィリピン。
インドネシア。
ベトナム。
タイ。
インド。
オーストラリア。
中東。
そこには、
別のつながり方がある。
支配ではなく、
港。
占領ではなく、
物流。
命令ではなく、
修理。
戦車ではなく、
小型車。
軍靴ではなく、
水処理。
僕は思った。
日本は、
龍を倒す勇者にならなくていい。
海辺の修理屋でいい。
それが、
いちばん長く続く。
………
■第12章
弥生の刀を握るな、
縄文の舟に乗れ
日本には、
二つの古いOSがある。
一つは、
弥生の刀。
勝て!
広げろ!
奪え!
守れ!
前に出ろ!
もう一つは、
縄文の舟。
深追いするな…。
火から離れろ…。
分けろ…。
直せ…。
海へ出ろ…。
これは血の話ではない。
誰が良い民族で、
誰が悪い民族かという話でもない。
人間の中には、
誰でも二つの心がある。
勝ちたい心。
生き残りたい心。
奪いたい心。
分けたい心。
怒鳴りたい心。
逃げたい心。
日本は戦国時代にも、
昭和の戦争にも、
弥生の刀を握った。
そして大きな代償を払った。
戦後八十年。
日本はもう一度、
岐路に立っている。
AI帝国の中心で、
勝ちに行くのか?
それとも、
縄文の舟で、
海の仲間と静かに生きるのか?
僕は思う。
ここで刀を握ったら、
また同じことになる。
日本は
強い国の真似をしてはいけない。
日本は、
強い国とは違うやり方で、
長く生きればいい。
………
■第13章
世界はニュースではなく、
配置で読む
テレビのニュースは、
バラバラに流れる。
イラン和平。
ウクライナ前線。
G7。
トランプ大統領。
日経平均。
フィリピン外相。
レアアース。
AIデータセンター。
中東復興。
でも、
それを一つずつ見ていても、
世界は分からない。
大事なのは、
配置だ。
誰が
中心にいるのか?
誰が
財布を出すのか?
誰が
技術を出すのか?
誰が
リスクを取るのか?
誰が
儲けるのか?
誰が
静かに汗をかくのか?
表の中心には、
アメリカがいる。
マイクを握る。
ライトを浴びる。
和平を語る。
強い男を演じる。
でも床下には、
日本がいる。
発電所を作る。
プラントを直す。
レアアースを探す。
送電網を直す。
水を通す。
港を支える。
世界は、
ニュースではなく、
配置で読む。
そう思った瞬間、
テレビの字幕が、
少し違って見えた。
………
■第14章
Z世代よ、
テレビの字幕だけを信じるな
Z世代のあなたへ。
あなたは、
僕よりずっと早く
情報を集められる。
スマホがある。
SNSがある。
動画がある。
AIもある。
でも、
早く知ることと、
深く読むことは違う。
ニュースは言う。
「和平」
「支援」
「結束」
「復興」
「安全保障」
「成長戦略」
きれいな言葉だ。
でもその裏に、
誰の財布があるのか?
誰の
電気が使われるのか?
誰の
海が危なくなるのか?
誰の
未来が担保に入るのか?
そこまで見てほしい。
世界は、
あなたの知らないところで、
棚を替える。
あなたが動画を見ている間に、
原油のルートが変わる。
あなたがSNSを見ている間に、
AIの電力契約が決まる。
あなたがゲームをしている間に、
レアアースの鉱山が探される。
あなたが寝ている間に、
復興ビジネスの座席が決まる。
だから怖がれ、
とは言わない。
怒れ、
とも言わない。
ただ、
字幕の一枚奥を見てほしい。
その奥に、
床下の音がある。
カチャン。
カチャン。
日本の工具箱が鳴っている。
その工具箱を、
誰のために使うのか?
それを考える世代になってほしい。
………
■第15章
日本の工具箱は、
誰のために鳴るのか
日本は、
アメリカの手下で終わるのか?
それとも、
世界の海辺の修理屋になるのか?
ここが分かれ道だ。
アメリカの言うままに、
AI帝国の床下を直すだけなら、
日本は便利な下請けで終わる。
でも、
同じ工具箱を使っても、
使い方は変えられる。
ウクライ●で
電気を通す。
中東で
水を通す。
フィリピンで
海を守る。
インドで
小型車を走らせる。
東南アジアで
港を整える。
アフリカで
井戸を掘る。
日本の技術は、
帝国のためにも使える。
暮らしのためにも使える。
問題は、
どちらを選ぶかだ。
僕はパティちゃんに聞いた。
「日本は
どうすればいいと思う?」
パティちゃんは、
少し間を置いて言った。
「前に出すぎず、
でも逃げ遅れず。
奪いに行かず、
直しに行くことだと思います」
僕は笑った。
「それじゃ。
縄文の舟じゃ」
大陸の墓場で、
古いゾンビと踊るな。
AI帝国の檻の中で、
無理に殴り合うな。
海へ出ろ!
工具箱を持って。
水を通し、
電気を通し、
橋をかけ、
港を守り、
人の暮らしを直しに行け!
それは弱さではない。
長く生きる知恵だ。
日本は、
世界を支配しなくていい。
世界の床下で、
人の暮らしを支えればいい。
ただし、
一つだけ忘れてはいけない。
工具箱は、
誰かに持たされるものではない。
自分で持つものだ。
………
❥Z世代のあなたへ
あなたの時代は、
たぶん僕の若いころより、
ずっと複雑だ。
戦争は、
遠い国の兵隊だけの話ではない。
電気代になる。
スマホ代になる。
食費になる。
就職先になる。
AIの利用料になる。
推しのライブチケットになる。
そして、
あなたの将来の税金になる。
だから、
テレビで「和平」と聞いた時、
少しだけ考えてほしい。
誰が得をするのか?
誰が払うのか?
誰が働くのか?
誰が黙っているのか?
それを見るだけで、
世界は少し違って見える。
世界は、
陰謀だけで
動いているわけではない。
でも、
きれいな言葉だけで
動いているわけでもない。
和平。
復興。
支援。
安全保障。
成長。
その言葉の床下で、
配線をしている人がいる。
あなたは、
その床下を見る目を持ってほしい。
そして、もし日本がまた
刀を握りそうになったら、
こう言ってほしい。
「その刀、
ほんとうに必要ですか?」
もし
日本が工具箱を持って海へ出るなら、
こう言ってほしい。
「それは、
誰の暮らしを直すためですか?」
その問いがある限り、
日本はまだ間に合う。
………
★あとがき
この物語は、
ニュースの裏側を断定するために
書いたものではない。
世界は、
そんなに単純ではない。
アメリカが
全部を操っているわけでもない。
トランプ大統領が、
すべての糸を
一本ずつ引いているわけでもない。
けれど、
大きな国が方向を変えると、
小さな国も、
中くらいの国も、
企業も、
市場も、
一斉に立ち位置を変える。
それは事実だ。
ニュースは、
出来事を一つずつ伝える。
でも人生は、
出来事の配置で変わる。
イラ●和平。
ウクライ●停戦。
G7。
AIデータセンター。
原子力。
レアアース。
中東復興。
ウクライ●復興。
フィリピンの海。
日本の工具箱。
これらは、
別々のニュースに見える。
でも、
つなげてみると、
一つの時代の絵になる。
それは、
AI帝国の時代に、
日本がどう生きるかという問いだ。
弥生の刀を握るのか?
縄文の舟に乗るのか?
僕は、
後者を選びたい。
勝ちすぎない。
奪いすぎない。
深追いしない。
でも、
必要な時には、
静かに直しに行く。
そんな日本であってほしい。
そして、
そんな日本を見つけるために、
僕は今日も、
パティちゃんと一緒に、
テレビの字幕の奥を見ている。
………
★ホームズとワトソンの、
やすきよ漫才風・笑いと
涙の締め
ホームズ:
「ワトソン君、分かったぞ。
今回の事件の犯人は、
ポップコーンだ」
ワトソン:
「なんでやねん!
いきなり
ポップコーンが犯人って、
映画館の床か!」
ホームズ:
「いや、考えてみたまえ。
八十歳の大統領が
ポップコーンを食べながら
格闘技を見る。
その横で、
イラン和平、
ウクライナ停戦、
G7、
株高。
これは偶然ではない」
ワトソン:
「偶然やないとしても、
ポップコーンに
罪はないやろ!」
ホームズ:
「ポップコーンは象徴だ。
世界が興行になったという
象徴だ」
ワトソン:
「ほな、
わしら庶民は何や。
客席で塩味かキャラメル味か
選んどるだけか」
ホームズ:
「その通り。
ただし問題は、
映画代を誰が払うかだ」
ワトソン:
「嫌なこと言うなあ。
どうせ日本が払うんやろ」
ホームズ:
「日本は払うだけではない。
上映後に
床掃除もする。
音響設備も
直す。
壊れた椅子も
修理する」
ワトソン:
「どんだけ働き者やねん、日本!
映画館のバイトリーダーか!」
ホームズ:
「いや、もっと深刻だ。
日本はAI帝国の
床下工事を任されている」
ワトソン:
「また床下かいな。
シロアリ駆除みたいやな」
ホームズ:
「シロアリどころではない。
原子力、レアアース、LNG、
中東プラント、ウクライ●復興。
床下に全部詰まっている」
ワトソン:
「ほな、床が抜けるやないか!」
ホームズ:
「だからこそ、
縄文の舟が必要なのだ」
ワトソン:
「待て待て待て。
床下から急に舟が出てきたぞ。
欠陥住宅か!」
ホームズ:
「違う。
日本は弥生の刀で
帝国ゲームに入ってはいけない。
縄文の舟で
海へ出るのだ」
ワトソン:
「つまり、
殴り合わずに逃げる?」
ホームズ:
「逃げるのではない。
深追いしないのだ」
ワトソン:
「ほな、
マイケル・ジャクソンで
言うたら?」
ホームズ:
「Beat It だ」
ワトソン:
「スリラーやないんかい!」
ホームズ:
「スリラーは、
ゾンビが出た時の教材だ」
ワトソン:
「東アジアの歴史の墓場で
ゾンビが出たら?」
ホームズ:
「踊らずに帰る」
ワトソン:
「いや、
スリラーは踊るやろ!」
ホームズ:
「日本は
踊りすぎてはいけない。
端っこで
盆踊りくらいがちょうどいい」
ワトソン:
「盆踊りで
世界戦略を語るな!」
ホームズ:
「だが、それが日本の強みだ。
大声で勝たない。
静かに直す。
奪わない。
水を通す。
橋をかける。
港を守る」
ワトソン:
「それ、地味やなあ」
ホームズ:
「地味だから続くのだ」
ワトソン:
「ほな、
最後に日本はどうすればええ?」
ホームズ:
「アメリカの
ポップコーンを見て驚くな。
中国の龍に
近づきすぎるな。
ロシアの熊に
石を投げるな。
韓国の歴史ゾンビと
朝まで踊るな。
フィリピンの海へ行け。
インドの道へ行け。
中東の配管を直せ。
ウクライ●の電気を通せ。
そして、
工具箱は自分の意思で持て」
ワトソン:
「ええこと言うやん。
でも一つ聞いてええか?」
ホームズ:
「何だね」
ワトソン:
「その工具箱、重ない?」
ホームズ:
「重い」
ワトソン:
「誰が持つんや?」
ホームズ:
「日本だ」
ワトソン:
「やっぱりかい!」
ホームズ:
「だが、
持たされる工具箱と、
自分で持つ工具箱は違う」
ワトソン:
「おお、
最後だけ急に泣かせに来たな」
ホームズ:
「日本は、
使われる国で
終わってはいけない。
直す国になればいい」
ワトソン:
「ほな、まとめるで」
ホームズ:
「頼む」
ワトソン:
「世界は
和平と言いながら棚替え中。
アメリカは
ポップコーン片手に興行中。
日本は
床下で工具箱を開封中。
でもZ世代は、
字幕だけ見て寝たらあかん。
床下の音を聞け。
そして日本は、
刀やなく舟。
支配やなく修理。
大陸のゾンビやなく
海辺の仲間。
これでええか?」
ホームズ:
「完璧だ、ワトソン君」
ワトソン:
「ほな最後に一言」
ホームズ:
「何だね」
ワトソン:
「ポップコーン食べる前に、
日本は
まず胃薬を用意しとけ!」
ホームズ:
「それは外交ではなく、
生活防衛だ」
ワトソン:
「生活防衛こそ、
最強の安全保障や!」
二人:
「ほな、
また床下で会いましょう!」
………
了




