第一話 「光の戦士と力の戦士」
ー英雄とは。
魔王を倒すために光を与えられた最強の戦士。
闇に満ちた世界を光で満たすために
生まれてきた者である。ー
そして俺は本を閉じた。自分は光を与えられしものだと思いこの17年間死ぬ気で訓練してきた。だが、今確信した。俺に光はない。
だって、こんなに光を与えられまくってるヤツを見たことがなかったからだ。
その男は盗賊の一味を一人で倒してた。そんなことよりも、その男は誰も見たことのない魔法を纏い木剣を振り回していたのだ。
「たしかに魔王はこの世界を闇に陥れ希望なんてないのかも知れない。だけど僕たちがここで折れちゃ駄目だ。盗賊なんてやめてみんなで助け合って生きていこう、さあ立って。」
村人からの大歓声に包まれ盗賊と男は和解の握手をした。こういうとこまでマジで本に書いてる
英雄っぽいな。
この世界は20年前突如現れた魔王ザイディアにより日々侵攻されている。人々は今を生きるのに精一杯で他国との戦争も放棄し自分の国を守るために力を固めているが既に魔王の手中にある国も多くなっていた。一国の兵士の家に生まれた俺は幼い頃から剣術や武術に取り掛かり、今は国の兵士として命令により魔王の城の手掛かりを集めに旅をしていた
「ってのに、こんな男に会えるとはな…。」
俺は光の戦士の前に歩み出た。
背は小さい、線も細い、ただ華やかで不思議なオーラをまとっている。
「どうかしましたか?」
その男はそう俺に質問した。
「いや、なんでもない。ただ兵士の俺が行くべきだったのだが退治してくれたのを感謝したくてな。大した腕前だ。名前は?」そう言うと男は照れて後ろ髪をかきながら
「いやーそれほどでもないですよ!僕の名前は
ケインって言います、あなたは?」
「俺はルイズ。じゃあ失礼するよ」
そして俺は村の宿屋に戻った。
この村はまだ魔王に支配されておらず魔物も少ない。兵士の自分としてはもっと魔物が多いところへ行かないと手がかりが掴めないため明日にはもうこの村も出ようと思う。
そんな時街に悲鳴が上がった。
外を見てみると先刻の盗賊団が村に押し寄せた魔物たちに襲われていた。魔物が村を支配しに来たみたいだがこの量は一筋縄では行かないと感じ急いで外に出てみると光の戦士ケインが軽い身のこなしで魔物たちを圧倒していた。
「うぉぉお!ケインさんがんばれ!」と、村人からも大歓声が上がりケインの動きは一層速さを増した。
が、この量の敵に流石に苦戦しているのが見えた。
呼吸の粗さが目立ち、前方の敵に気を取られケインは後ろの敵に気づかなかった。牛の形のした戦士のゴツい斧がケインの頭めがけ振り下ろされる
「キャァァア!」村人から悲鳴が上がる。ケインに致命傷が入ったと思ったからだ。
だが、一国の兵士である俺の前でそんな事はさせない。俺はケインと牛の魔物の間に入り自分の大剣で攻撃を防いだ。
「ありがとうございます!」状況に驚きながらケインは感謝の言葉を叫んだ
「礼なら後にしろ今は前の敵をぶっ倒すぞ。
1,2,…5匹か手っ取り早くやっちまうからあそこの1匹を頼むあれが多分リーダーだ。」
「でも、それじゃルイズさんが…」
心配いらねえよと言いケインを前に送り出した。
「さてどう料理してやろうかな」
ケインを取り囲んだ魔物をこちらに注目させリーダーとの一対一に仕向け大剣を2回ほど振り4匹を片付けた。終わってみれば大したことのない実力だった。
ケインの方も鳥型のリーダーを倒し終えていた。
「終わったな」
ケインの方へ近づくと何か暗い顔をしていたが、すぐ笑顔に戻り俺への感謝の言葉を述べた。
「この村はマーキングされたから多数の兵士を送って保護に努めるので皆さん安心してください」
と言うと村人たちは一先ずホッとした表情を浮かべた。
「では俺はこれで」
と街を出た時だった。
横にいたケインも同じ方向を向いていた。そして
「もしかしてルイズさんもサウゾ王国に行くんですか?」とケインは聞いてきた。街を出て遠く目を向けた方向には大きな城がある。その城を見てた俺の様子でそこに行くことがわかったのだろう。
「ああ、そうだがケイン君もか?」
「はい!サウゾ王国で仲間を探して魔王討伐の旅に出ます。」
「そうか、大変だな。俺も剣が錆びちまったからサウゾ王国に調達しに行かなきゃなんねえ」
「よろしければ道中ご一緒してよろしいですか?」
「かまわねえよ、こっちこそお願いしたいもんだね。」
思えばこの時から俺たち2人の中で求めるものがうまく噛み合っていたのかもしれない。
そして俺達は横に並びサウゾ王国へと歩き出した。




