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冬休みの通学路・第七話 やり直しのルート

ZiSタッチがもう十年ぐらい前か……。

もう今年にはギュギュイッチ2が出たな。

はあ、抽選外れたし、まだまだ買えないし。

てか、コート着ていないと寒いな、やっぱ。

とりあえず近所のコンビニでも行って。

ホットのミルクティーでも買うか。

つっても、高校生の頃。

あの人と一緒に歩いた通学路とは逆方向に。

直近の店舗ができたから。

あっちのコンビニは使わなくなったなあ。

それこそ俺の高校までの道のりも。

中学までと進行方向が逆になったし。

そうだよ。

小中までの。

あの通学路だった道。

全然通らなくなったな。

鮒底市って、僕の住んでいる琴里市から離れている場所だし。


自転車だと一時間近くかかるし。


そもそもなんで。


お姉ちゃんは自分の家から通わないの。


言葉にできない「なんで」のせいで。


僕が口をパクパク開けたり閉めたりしていると。


お姉ちゃんの方から声をかけてきてくれた。


「冬ちゃん、すごくなんでって顔しているね」


「うん。ていうか、おじさん達は許してくれたの」


「もう一度やり直したいの。小学生の頃からの付き合いの友達からも学校で偶然すれ違っても私露骨に無視されちゃっているし」


「そんな、お姉ちゃんはなにも悪くないのに」


「友達も失っちゃったし、私の人生一度壊れちゃったから、お姉ちゃんリセットしなきゃいけないの」


「でもでも、お姉ちゃんと同じ高校に行く人がいるかもしれないよ」


「放課後、担任の先生がウチの中学の子達と被らない学校教えてくれたの。こっそりとね」


ちょっとだけ舌を出して「内緒だよ」って。


イタズラっぽく言うお姉ちゃんは。


お父さん達で言うところのふきんしんって。


ものかもしれないけど。


すごくかわいかった。


「だからね、今日はこれで会うのが最後かもしれないから冬ちゃんの家に来たの」


「おじさんやなっちゃん達は?」


「初詣だよ。だから、冬ちゃんに会いたいってわがまま言ってみたら許してもらった」


お姉ちゃんは「言ってみるもんだね」とニコニコとしていた。


「なので私、今日は冬ちゃんの家に私泊ります」


「ええええええええええ!!!!」


驚いて僕が大きな声を上げた同じタイミングで。


ゴーン、ゴーンっと。


除夜の鐘が鳴り出して。


あたふたした僕を無理矢理ストップさせたみたいだった。


こうなってくると。


もう完全にペースはお姉ちゃんのもの。


「明けましておめでとう、冬ちゃん」


「明けまして、おめでとう、お姉、ちゃん」


「あっ、寝る場所なら心配しないで、冬ちゃんのお父さんから一晩リビング貸してもらうから」


「いやいや、そういう問題じゃなくて」


「もう、私と一緒に新年を迎えられるっていうのに。もうちょっと喜んでよ」


この時だけは。


お姉ちゃんは本当に僕のお姉ちゃんみたいだった。


その後、リビングのソファでお姉ちゃんは。


二十分くらいテレビを見ていたけど。


疲れていたのか。


僕よりも先に眠っちゃった。


お父さんは「暖房も付けっぱなしだし。傍に母さんもいるから」と言ってから。


「早く冬矢も寝なさい」


僕は自分の部屋までお父さんに連れて行かれた。


「はあっーー」


お父さんに「おやすみなさい」と言って。


部屋のドアを閉めると。


なぜだかよくわかんないため息が出た。


ただ、一個だけ分かるのは。


布団に入ったら僕はすぐにねむるだろうなって、ことくらい。



ーーーー


「明けましておめでとう、冬矢」


「明けましておめでとう」


「明けましておめでとう、冬ちゃん」


リビングでお父さんとお母さんお姉ちゃんから新年の挨拶をもらった。


三人ともリビングのこたつで。


お雑煮を食べていた。


僕も食べたいな。


じゃなくて、僕も返さなくちゃ。


「明けましておめでとうございます」


挨拶を返すとお母さんは。


僕の前にお雑煮を持って来てくれた。


おいしそう、早く食べたい。


「いただきます」


甘いあんこのお汁とお餅は。


僕にお正月感をすごく与えてくれた。


後はお年玉だけだなぁと思っていたら。


お姉ちゃんが僕に声をかけてきた。


「もう少ししたら私家に帰らなきゃいけないけど冬ちゃんついて来てくれない」


お餅をのどに詰まらせないために。


すぐに返事ができなかったけど。


お姉ちゃんが「ゆっくりでいいよ」と言ってくれたから。


お餅を噛んで噛んで。


かけらの一つ一つを小さくして飲み込んでから。


口元にあずきがついたままで。


「うん、いいよ」


僕なりのとびっきりの笑顔で。


お姉ちゃんにオッケーを出した。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

まずは明けましておめでとうございます。

今年もどうかよろしくお願いします。

さて、前回の後書きでお伝えしました冬矢の

つながりのある過去作の人物とは。

青い夏の欠片を巡って(以下略)の主人公の来人になります。

詳しくは次の後書きで説明します。

それでは次の更新は本日1/1の17:30になります。

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