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冬休みの通学路・第三話 あの時合わせた目線

あの人の身に何も起きていなければ。

俺が中学生になってからも。

お隣さんとは家族ぐるみの付き合いが続いていたかな。

いいや、もしものことなんて考えるのはやめておこう。

今となっては。

もうどうしようもないことだし。


おおみそかの夜。


とつぜん家にコート姿のお姉ちゃんがやってきた。


あまりにも急なのもあって。


お姉ちゃんを心配してお父さんとお母さんが。


玄関まで走って行った。


「どうしたんだい」


「なにかあったの」


玄関でお父さんとお母さんがお姉ちゃんと。


なにかしゃべっているけど。


気まずそうなのはなんとなく分かったから。


なにより。


クリスマスパーティで。


実はお姉ちゃんに好きな人がいたことを。


知ってしまったこともあってか。


僕は今のお姉ちゃんの顔を見たくなかったから。


すぐに自分の部屋にこもってゲームをした。


だって、お姉ちゃんも僕と話すことなんてないだろうし。


それからしばらくの時間。


僕はゲームをしていた。


ソフトはクリスマスプレゼントで買ってもらった物。


ZiSズィーエスタッチは携帯ゲーム機だし。


リビングの大きなテレビにつなげなくても。


布団の中でも。


ゲーム機の中にあるライトのおかげで。


暗い場所でも遊べるからとても便利だ。


ゲームをしていれば。


嫌なことも面倒くさいことも忘れられるから。


すごく楽しい。


そうだよ。


お姉ちゃんはお父さんとお母さんに任せればいい。


そんな風に思っちゃったからなのか。


コンコンっーー。


「ねえ、冬ちゃんお部屋に入ってもいい」


「お姉ちゃん」


ドアをノックして。


お姉ちゃんが僕の部屋にやってきた。


突然すぎる。


でも、断るわけにはいかないし。


「いいよ」


「ありがとう」


お姉ちゃんがドアを開けて僕の部屋に入ってきた。


玄関で着ていたコートは脱いでいて。


きっとお姉ちゃんが自分の家で。


過ごしている時の服装だろうな。


さすがに僕も布団の中に入りっぱなしってわけにもいかないから。


布団から出て、立ち上がって。


Zisタッチを片手にパジャマ姿のまま。


お姉ちゃんと向き合った。


「ごめんね、夜遅くに」


見るからにお姉ちゃんは元気がなかった。


顔もうつむいていて。


声も学校に行く時みたいな感じじゃなくて。


落ち込んでいる感じがした。


「どうしたの、元気ないみたいだけど」


「ちょっと色々あってね」


嫌なことがあった。


僕でもそれくらいは分かるくらいに。


お姉ちゃんはだんまりしたまま。


ドアを開けたまま。


その場に座り込んでしまった。


声、かけても。


ムダだろうな。


とてもゲームなんてできるムードじゃないし。


僕はZi Sタッチを二つ折りにして畳んで布団の上に置くと。


お姉ちゃんと距離を置きたくて。


勉強机のイスに腰掛けると。


そのままうつ伏せた。


とても卑怯なことをしている。


そんな気がしているのに。


僕はお姉ちゃんと話すのが。


なぜか怖くてたまらなかった。


だから、お姉ちゃんの方から声をかけられて。


僕はドキっとした。


「もう十時過ぎちゃった。あと少しで年越しだね」


「うん」


声をかけてきたのは合図かな。


きっとお姉ちゃんは僕となにか話がしたいんだろう。


でも、何を?


ただ、机の上で顔をうずくめたままじゃいけない。


椅子から降りて僕はかがんで。


座り込んでいるお姉ちゃんの。


目の前にまで近寄ると。


お姉ちゃんと目を合わせた。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

初日分は以上になります。

さて、今作の登場人物の本名は設定しており。

主人公の冬矢は。

雪村冬矢ゆきむらとうやとなります。

なお、お姉ちゃんやなっちゃんに関しては。

今作の読後感に影響すると思い。

最終話の後書きにてお伝えします。

では、次回の更新は明日12/31の17:00になります。

明日はハーミット・リスタートも更新されますので。

そちらもぜひご覧いただけたら。

嬉しい限りです。

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