表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

冬休みの通学路・第一話 あの頃の僕とお姉ちゃん

2025年も残すところあと少し。

内定をもらい就活を終え。

卒論も一段落した俺は。

年末に差しかかり。

大学も休みに入ったので。

実家に帰省していた。

そんな充電期間真っ最中に。

なんとなく。

勉強机の引き出しを開けてみたら。

十年ほど前に遊んでいた携帯ゲーム機を見つけたので。

何気なく電源を入れてみたところ。

普通に起動した。

あの頃と変わらないホーム画面。

懐かしさと一緒に。

季節的なもんなのか。

昔これで遊んでいた頃の。

仲が良かったあの人。

お隣に住んでいた“お姉ちゃん“のことまで。

思い出してきた。

隣に住んでいる中学二年生のお姉ちゃんが好きだ。


今年の4月から小学五年生にもなった僕にとって。


一人っ子の僕にとって。


本当のお姉ちゃんみたいだから。


「行ってきます」


寒いし手袋とマフラーをして。


家の玄関を開ければ……。


「おはよう、ふゆちゃん」


僕の名前は冬矢とうやだから。


冬ちゃん呼びだけど。


子供っぽいからやめてほしいな。


でも、朝学校に行くタイミングはいつも同じだし。


毎朝顔だって合わせるし。


きっといつか呼び方も変えてくれる。


「おはよう、お姉ちゃん」


お父さんやお母さんにするのと違って。


ちょっとだけドキっとする。


「もうすぐ、クリスマスだね、お姉ちゃん」


「そうだね。冬ちゃんはサンタさんに何をお願いした」


「もうお姉ちゃん。サンタさんなんていないよ、でも代わりにお父さんにゲームソフトをお願いしたよ」


「あら、去年までは信じていたのに」


「もう、僕はそこまで子供じゃないよ。ちなみにお姉ちゃんはクリスマスプレゼント何かお願いした?」


「うん、でも秘密」


「ええ、ズルい。ところでお姉ちゃん」


「なに、冬ちゃん」


「今年のクリスマスパーティーは僕んかな、姉ちゃん家かな」


毎年僕か姉ちゃんの家でクリスマスパーティーをしているけど。


去年が姉ちゃんの家だったから。


今年は僕の家かな。


僕はウキウキしていたけど。


なぜか姉ちゃんは困ったように笑っていた。


「ごめんね、お姉ちゃんいけないの。代わりになっちゃんと楽しんでね」


なっちゃんはお姉ちゃんの妹で。


僕より一個年下だ。


私立の小学校に通っているから。


お姉ちゃんのお父さん達が送り迎えしていて。


なっちゃんとはあんまり顔を合わせていない。


正直、お姉ちゃんにいてほしいなあ。


「ねえ、なんでお姉ちゃんは来れないの。毎年来ていたじゃん」


「その日クラスの人達のパーティーに誘われちゃったんだ」


「ちぇっーー。さみしいな」


二人一緒に歩いて十分ちょい。


小学校までの道と中学校への道は。


コンビニのある交差点で分かれている。


一年生から三年生の頃までは一緒だったのに。


僕が四年生になったら。


お姉ちゃんが中学生になっちゃったから。


途中までしか一緒じゃなくて。


残念だ。


僕は横断歩道を渡らずに。


そのまま右に曲がるだけだけど。


お姉ちゃんは真っ直ぐ行かないといけないから。


赤信号の今は止まらないといけない。


「気をつけてね冬ちゃん」


「うん、お姉ちゃんも」


いつもと変わらない。


帰りは一緒じゃないのが残念だけど。


朝だけでも一緒に歩けて満足だ。



ーーーー


クリスマスパーティーの場所は。


僕の家。


今年はお姉ちゃんがいなくて。


さみしいなあと思っていたら。


なっちゃんが僕のとなりに。


切り分けられたケーキを持ってやってきた。


「ねえ、冬矢はお姉ちゃん来なくてさみしいんじゃない」


「別に、そんなことないよ」


なっちゃんに呼び捨てにされるのはなんか嫌だ。


こういうのをなれなれしいって言うのかな。


あんまり会ったことないのに。


仲良しな感じでしゃべりかけてくるのは。


親が仲良いからって。


子供同士もみんな仲が良いってわけじゃないのになあ。


「姉ちゃん、今頃好きな人に告白できたかな」


そう言って。


いたずらっぽく笑うなっちゃんを見てから。


頭が真っ白になって。


プレゼントをもらっても。


なんでか心の底から喜べなかった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

今作元々は短編で予定していたものが。

思いの外長くなってしまい。

短期集中連載形式にしました。

全九話。

一日に三話掲載となります。

年末年始に読者の皆様の。

ささやかな楽しみになることを願っております。

次回の更新は告知通り本日12/30の17:30です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ