うまくいかない!
「お茶会」作戦の大失敗を受け、私はもうヒロインであるマーガレットに土下座の勢いで謝罪する。そしてその後ゲームの展開を思い出し、悪役令嬢アドリアナが行った数々のヒロインへの嫌がらせを、カミュ第二王子が目撃者になる形で再現したのだけど……。
「スープがかかったのは不運であり、被害者と言われたら、そうなると思います。ですが一方を責めることはできないと思いました。僕はその瞬間を見てましたが、サンフォード公爵令嬢の振り返りざまに、運悪くザックライン男爵令嬢がいた。わざとぶつかったわけでもなく、これは事故ですよね。直後にサンフォード公爵令嬢が思わず『どんくさいのだから!』と言ってしまったこと。そこは言い過ぎかもしれません。でもザックライン男爵令嬢がとても怖い顔をしたので、防衛本能でつい口走った言葉にも思えるので、そこはお互いに許し合えたらいいのではないでしょうか」
カミュ第二王子がこんなふうにとりなすので、嫌がらせが嫌がらせにならない。しかもマーガレットのカミュ第二王子との距離は、全く縮まらないのだ。
(これはどういうことなの!? この世界はヒロインのために存在し、彼女の幸せを願っているのではないの!?)
そう驚愕することになる。
でもじわじわと理解してしまう。
(やはりヒロインと攻略対象の距離が縮まり、好感度が上がるには邪魔が必要で、それは些末な嫌がらせレベルでは足りないんだわ。まず大前提として、カミュ第二王子に婚約者がいる。そこが重要なのでは!?)
さらに考え、一つの結論に至る。
(ということはつまり、悪役令嬢アドリアナが、カミュ第二王子と婚約しない限り、話が先に進まないということ……? マーガレットはいつまで経っても、その想いが実らないの……!?)
まさにそんなことを考えていた時のことだった。
「イストス帝国との国境沿いで、小競り合いが勃発したらしい。……このまま戦争なんかに突入しないといいけど」
登校する馬車の中で、そんな話を始めたのは、セーブルだ。
「小競り合い……村人同士の喧嘩か何か?」
ジャスパーが問うと、セーブルは「違うらしい」と応じ、こう続ける。
「どうやら反政府組織が、現政権と皇族たちの弱体化を狙い、わざとクロノス王国と戦になるように小競り合いを起こしたようだ」
「そうなると、セーブルの父ちゃん、出征か?」
「いや、それはないと思う。父上が所属する騎士団は、首都の防衛が専門だから。むしろ……」
そう言うとセーブルがリアスを見る。
「そうだね。もし戦争となったら、僕の父上が所属するクリムゾン・ファングス騎士団やブルワーク騎士団が動くことになるだろうね」
リアスの父親は戦争の英雄だった。確かに出向くなら、リアスの言う通りだろう。
(でも長らく平和な状態が続いていたわ。父親の出征には、リアスだって不安しかないのでは……? というか私だって心配。前世で戦争がなかったわけではないけど、自分が生まれ育った国で戦争が起きていたわけではなかった。どこか遠い場所での出来事と感じていたのは、傍観者心理が働いた結果よね。でも今は違う。戦争が身近に感じられる……)
「ちょっとした争いは、どこの国でも起きていること。戦争にまで発展しない可能性もあるし。あまりそれを気に病んでも仕方ないよ」
ジャスパー、セーブル、アンバー、みんな真剣な表情になっていた。三人はこの世界でモブであるが、両親はそれぞれ名が通った人物であり、国政には敏感だった。ゆえに戦争ともなれば、いろいろ考えてしまう。そして自分たちの仲間であるリアスの父親が戦場に出向くともなれば、心配になって当然。その心配を払拭するように、リアスが明るく振る舞うのを見た私は……。
(やっぱりリアスは芯が強いのね。時々乙女になるけど、その根っこは騎士だと思う。お父様の血を引いているのだわ)
そんな会話をしていると、学院に到着した。
お読みいただき、ありがとうございます~
乙女ゲームならではの設定がぁぁぁぁぁ!
もう1話公開します☆彡



























































