その理由
「どうして火傷を負うことになったか。知りたいですか?」
カミュ第二王子に問われ、答えを迷う。
(気になるけれど、聞いてもいいのかしら!?)
「サンフォード公爵令嬢は、既に僕の背中に火傷があることを知っています。そしてこの傷について、だれかれ構わず話していませんよね?」
「話していません! あの場に登場することになった、リアス、セーブル、アンバーとも、殿下の傷について話していないです」
そこでカミュ第二王子はくすっと笑う。
「君はそういう人だと思っていました。だから話そうと思います。……正直、この件を知るのは父上など重鎮ばかりで、息が詰まっていたのです。それにここには君と僕しかいない」
(こんなふうに言われると……放ってはおけない。ゲームの力がうんぬんはあるが、困っている人を助けたいのは、もう本能だと思います!)
「抱え込むのはよくないので、吐き出していただいていいです。誰にも話さず、墓場まで持って行きます」
私の言葉に、カミュ第二王子が再び笑顔になる。
「そう言ってくれると思っていました、サンフォード公爵令嬢」
そう言った後、彼の表情が引き締まる。
「この火傷はイストス帝国で負いました」
「!」
「婚約者である第二皇女のデビュタントに、エスコート役として参加し、終わったらすぐ帰国するつもりでした。ですがこの火傷を負うことで、滞在の延期を余儀なくされ、学校も休むことになったのです」
(火傷の治癒具合からそんな予想をしていたけれど、やはりイストス帝国で……)
「もう少し、驚くかと思いました」
「あ……。その包帯を巻く際、火傷の回復具合を見て、なんとなく予想がついてしまって……」
カミュ第二王子は驚きの表情で私を見る。
「君は……君は本当にいろいろなことを知っているのですね」
「それは……お祖父様のおかげです。森の中でも生き残れる術を教えてくださったので」
「公爵令嬢が森の中で生き残るような事態に?」
「それは……」
「殿下に幽閉され、自死を選ばないために、いざとなれば逃亡することも考えたのです。その際、森の中で生きる可能性、それはゼロではないですからね」と言いたくなるが、それは呑み込む。代わりでこう答えることになる。
「森の中でサバイバル……でもまさに先日の雷雨のようなこともありますから。もしあのまま数日、あの場所で過ごすことになったら、私は狩りもすれば、魚を釣り、食べられる草や実を集めたと思います」
これを聞いたカミュ第二王子は「まさか、そんなことにはなりませんよ」と笑うかと思った。
「なるほど。本当に君は頼もしい。君のことが騎士みたいだと評しましたが、あながち間違っていない気がします。それにそんな君とあの場所でサバイバルをするなら……楽しそうですね」
「え」
「君となら窮屈な王宮を抜け出し、自由に生きていける気がします」
「えええっ!」
カミュ第二王子の言葉に仰天してしまい、言葉が出ない。
「聡明な君なら、僕の火傷の原因、それも分かってしまったでしょうか」
エメラルドグリーンの瞳を向けられ、私は何とか口を開く。
「そ、それは……もし火事に巻き込まれたなら、背中だけ火傷を負うとは思えません。勿論、殿下の全身を見たわけではないので、他にも火傷があるかもしれませんが……」
「確認しますか?」
「!?」
カミュ第二王子が服を脱ごうとするので、慌ててその手を掴み「だ、大丈夫です! 上半身は見た限り、前面には火傷はなかったですしっ!」と叫ぶことになる。
彼はまたもクスクス笑い、「分かりました。ズボンを脱ぐわけにはいかないですからね。止めておきましょう」と言うが。
(何と言うか、私の反応を見て楽しんでいるとしか思えないわ……!)
ここは私が慌てれば慌てるほど、カミュ第二王子が喜びそうなので、火傷の原因をズバリ指摘する。
「おそらく、熱湯を背中にかけられたのではないですか!?」
「その通りです。なぜ熱湯をかけられたと思います?」
(それは……イストス帝国で熱湯かけられるなんて、尋常ではない。入浴中でそんなミスはないはずよ)
「……殿下の命を狙ったものではないかと」
「つまり暗殺ということかな?」
とても恐ろしいことだけど、そうだと思うので、こくりと頷く。
「帝国とクロノス王国は皇女と僕が婚約し、友好の関係をアピールしているのに、暗殺が起きたと思うのですか?」
それを問われてしまうと……。
しばし考え「あっ」と思う。
カミュ第二王子を見ると、彼は期待を込めた瞳で私を見ている。
「帝国内には反政府組織もあると聞いています。政府がクロノス王国と強固な関係を築けば、反政府組織を潰す機運も高まるかもしれません。クロノス王国はきちんとした政府としか交渉をしませんから、反政府組織の存在は認めないと。そこで帝国とクロノス王国の関係を悪化させようと、殿下の暗殺を試みて、熱湯をかけたのでは……?」
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驚愕の真相に辿り着く……!?
続きは本日公開します~



























































