I Am a Rock too .
まるでマンガかドラマの一幕の様だった。
トイレの個室で…
私は自分に関する…身に覚えのない噂話を耳にした。
『ああ見えて愛優美…“ヤリマ”なんだって!』
『ええ~!! 加藤くん、かわいそう!!』
『二人ともナニ言ってんのよ! 愛優美はそういうの得意だから!…加藤くんとだって玲子からの“略奪愛”なんだからね! 一番可哀想なのは玲子よ!いくらあの子が…私達の“リーダーシップ”をとってるからと言っても…自分の恋人を寝取った愛優美をあんなにフォローしてさ! 面倒見がいいのも程があるよ!!』
そんなの皆誤解だ!!
第一 玲子は!!
私が加藤くんと知り合うきっかけを作ってくれて…
…だけど
…しかし
私は胸がざわざわして来た。
思い返せば
付き合い始めの頃…
加藤くんは本当に私の事をよく理解してくれて…私はますますカレに夢中になった…
なのに最近は…
いつの間にかカレのペースにはまっている。
『私、カレ色に染まっているんだ』って幸せに感じていたけれど…
ぼんやりと“違和感”も覚え始めていた…
家が大学から遠いカレは…
最近は私の部屋に半同棲状態で…
私の部屋の雰囲気…? 空気…? 匂い…かな?
が少し変わって来ていた。
その“空気”や“匂い”は私の五感に馴染みのあるものだったから…
気にしないようにしていたのだけど…ひょっとして…私の中の無意識の意志が働いていた??
私、“外の気配”が無くなってから個室を飛び出し、そのまま午後の授業をエスケープして部屋に戻った。
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いつもは掃除を疎かにしている所も丹念に調べてみると…緩くウェーブの掛かった髪が何本か出て来た。
この髪の毛には、私、見覚えがあった。
以前、カレの肩にくっついていたからだ。
その由来を問い質した時にカレの口から出た名前は…玲子で…
玲子を無二の親友と思っていた私は…カレの説明を鵜吞みにしたのだった。
そして捜索の最後に辿り着いたのは…
ベッドのマットレスの隙間に…
件の髪の毛と一緒に入り込んでいたコンドームのパッケージの残骸だった。
その形状と…表面に印刷された『LOVECOSME』の文字が否応も無く私にその存在を知らしめ、私はトイレに駆け込み吐き戻した。
その日の深夜に戻って来たカレに鎌を掛けたら…
カレは玲子との仲をあっさり白状しただけでは無く…
『こんな所で夜を過ごすくらいなら駅のベンチの方がマシだ!!』と逆ギレした。
カレの最後の言葉は…
「お前の言う事なんか誰が信用するもんか! 玲子と違ってお前は信用ゼロのクズ女で通っているからなっ!!」
全ては玲子とカレの間で成された策謀で…私を取り巻く環境は…既に私にはどうすることもできない状態だったのだ…
しかもそれは…
カレが出ていった今この時から
さらに過酷さを増すだろう…
私にはもう…
片想いに胸を痛めていた頃、その想い人たる“センパイ”が好きだった“あの”曲に…
涙を堪えて浸るしかなかった。
そう…
『I Am a Rock 』…too .だ。
こういう目には合いたくない!!(゜Д゜;)
という苦いお話でした…(-_-;)
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