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(一)-3

 宗ちゃんは「ふーん」と言いながら、空を見上げて左右に首を振った。すると彼はすぐに下を向き、むせるようにツバを吐き出した。

「どうしたの?」

「灰が口の中に入った!」

 そう言って、何度も何度もツバを吐き出した。

「大丈夫?」

 私がそういうと、私の口の中にも灰が入ってきた!

 そして灰が舌の上にへばりいた。すごく苦かった。私も宗ちゃんと同じようにツバを吐いて灰を出そうとした。でも舌にへばりついてしまったまま、灰はなかなか出ていってくれなかった。ツバを出して吐いていくうちに、口の中はますます苦さが広がっていった。

 私たちは二人でしばらくその場でツバを吐き続けた。


(続く)

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