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主役になれなかった少年は美少女に恋をする  作者: 桐ヶ谷スバル
第一章 仮初の婚約から始まる同棲生活
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第4話 ルーシーの手料理

仁とルーシーは今日から生活することになるマンションの部屋を確認した後、仁は口を開きルーシーに声をかける。


「実はさ、俺の服とか荷物ヨハンの家に置いているんだけど今から取りに行っていいかな?」


「うん、私はいいわよ。それとお腹空いたでしょうからその間に私食材買ってくるわね」


あれほどお見合いを嫌がっていた仁もすぐに戻ってくるからと釘を刺しマンションを出るとルーシーは冷蔵庫の中身を確認してみるが中には何も入ってないため「そうよね……」と溜息を吐いた。


ルーシーはスマホを取り出し地図でスーパーやコンビニを探し、食材を買うならと最寄りのスーパーに行くことにした。


スーパーからは歩いて2〜3分程度で辿り着ける距離で、交通手段は便利な方だ。


ルーシーは仁の食生活を学校でカップラーメンばかりを食べているのを見てなんとなく予想がついていたのでちゃんとした料理を食べさせたいと思い、米、味噌、豆腐、ワカメなどの日本食に必要な食材を買い揃える。


マンションに戻ってルーシーは早速炊事を開始し、それが終わると味噌汁とサラダ、おひたし、ハムエッグとなんとまぁイギリス生活の長かった金髪碧眼美少女のルーシーは日本の家庭料理をきっちりと作り込んでいたのだ。


「戻ってきたばい」


料理が終わりテーブルに置き終えると同時に仁は帰ってきた。


仁は自身の制服などの衣服類にギター、ノートパソコンなど必要必需品を自身の部屋になる予定の場所に置き、手洗いうがいを済ませ料理の置いてあるテーブル席へと腰をかける。


「ルーシー、これ全部ルーシーが作ったとね?」


仁は驚いた声でルーシーに尋ねる。


「うん、日本食ってあまり作りなれてないけど家にいた頃は料理は毎日作ってたから自信はあるわ」


ルーシーは頬を赤ながらそう言う。


「でも、俺はてっきりコンビニ弁当とかで済ませるとばっかし思ってたけどこうやって米もしっかり調達したりとルーシーはいいお嫁さんになるっちゃろうねぇ〜」


「なっ……バカなこと言ってないで早く食べましょう」


ルーシーは俯きながら食べることを促す。


「それならルーシーに感謝を込めて、いただきます」


仁は手を合わせながら箸を左手で持ち、米の入ってる茶碗を持ち米を箸で掴み口にパクりと入れた。


「美味か〜、うん、味噌汁にハムエッグも美味かばい!それに普段野菜食べんっちゃけど美味か!」


最初はどんなものか思いながらもバクバクと口に入れ味の感想をルーシーに述べる。


ルーシーは普段、料理を家でも作るのだが味の感想をしっかり言ってくれるのはエミリーしかいないため、どこかホッとしていた。


「そうなの、今の両親に引き取られてから日本食は当たり前のように作ってたから不味いはずはないわね。それと仁、私と同棲してる以上はカップラーメンは禁止」


「えぇ〜!たまにはラーメンも食べたかとに〜」


「ラーメンばっかり食べてたら私がいる意味がないでしょ?ていうか寧ろ作らせて!」


仁はラーメンが食べられなくなることに不満に思い口に出すと、ルーシーはムキになって自分の料理を仁にどうしても食べてもらいたいようだ。


「ふ〜ん、そんなに俺に食べて欲しいとたいね?」


「べっ、別に好きで作りたいわけじゃないんだからね!婚約者として作るのは当然じゃない!」


仁とルーシーは食事を終えた後、食器を片付け皿洗いをしていた。


「自分で食べたのはちゃんと洗わなきゃね」


「エミリーくらいなのよね、自分で食べた食器をちゃんと洗ってくれるの……」


「そうね、エミリーちゃんはやっぱりいい子やねぇ。流石ルーシーの妹なだけあるばい」


「そっ、そんなに煽てないでよ!」


ルーシーは顔を赤らめ、仁はそんな照れ屋なルーシーの意外な一面を知り、微笑していた。


お風呂にお湯を入れた後にゆっくりと浴槽に浸かりながらルーシーは考え事をしていた。


「仁、見た目とか色々変わっているけれど本質的な優しさとかはあの頃と何も変わっていないのね……いつもはあんなにぶっきらぼうで喧嘩っ早いのに、仲間思いというかなんというか……」


ルーシーは仁の過去を何か知っているようだ。


「でも、あの様子だと仁はあの頃の私との約束も忘れているんだろうなぁ……仕方ないわよね、あの頃の私はエミリーと同じ髪型にしていたし仁とは違うクラスで時々会って話すくらいだったし……」


仁が小学生の頃した約束と自分のことを忘れているのだろうと思うとルーシーはどこか切なそうな表情をしていた。


「エミリーのことは仁の友達の丈って人が口に出していたみたいだしなんとなく覚えてたって感じみたいだけどそれでも完璧に覚えているわけじゃないのは少し残念だわ……」


ルーシーは浴室から出た後、バスタオルを身体に巻き付け、月のように綺麗な長い金髪をドライヤーで乾かしていた。


ドライヤーの風で靡いた長い金髪はとても魅力的ではありつつも日本人の女性とは違う何かを感じさせていた。


言葉ではうまく表せない金髪碧眼の美少女特有の妖艶さというか幼さが残りつつもどこか大人の女性のような一面が合わさり、日本の十代の女性にはない色気があった。


しかし、実際のルーシーは表情が固く瞳に輝きがないからなのか氷の女王と誤解されたりはするものの、男子から羨望の眼差しで見られているが男子からの告白はしょっちゅう断っているがそれは決して選り好みをしているわけではない。ピュアで純粋な女の子だからこそどう接したらいいのか分からないだけだ。

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