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〜異世界転生警察〜  作者: カマンベール
2/4

その男は勇者

王都にたどり着いたレオンは辺りを見回す。


下に降りると制服に備わっている異世界言語翻訳機能をオンにして民に話しかける。


レオン「随分騒がしいですがなんのお祭りですか?」


民「何ってお前…よそ者か?無事に勇者様が異種属どもを退けてこの大陸を平定したお祭りだよ」


レオン「なるほど…」


明るい音楽と楽しい踊りが溢れる街の大通りにレオンはツカツカと歩いて出て行った。


装飾が凄まじい大きな馬車が目の前で止まる。


従者「無礼者!勇者様のパレードを邪魔する気か!」


レオン「勇者とやらに用があるのですが…」


従者「何!?」


勇者アレス「僕に用?」


レオン「えぇ、貴方と貴方を転生させた神に用があります」


勇者アレス「何!?君は僕が転生した事を知っているのか!?」


レオン「えぇ、端的に言えば貴方の転生は違法です。つまり貴方は犯罪の片棒を担がされたのです。騙されたのならば被害者。対抗するならば共犯者です。どうしますか?」


勇者アレス「ぼ…僕にどうしろっていうんだ?元の世界の体は既に無くなってるはすだ」


レオン「どうするもこうするもありません。他の者達と同じように死んで貰うだけです。」


勇者アレス「そんな!あんまりだ!」


レオン「?…むしろ何故貴方だけが都合よく生きれなくてはならないのです?その考えこそ【あんまり】では?」




メノウ「あー!また勝手にホシとコンタクトを取ってるのだ!」


メノウが空から騒ぎ立てる。


レオン「うるさいのが来ましたね…ではここは手短に…」


レオンは胸ポケットから銃を出すとアレスに向ける。


レオン「まずは貴方の能力を剥奪します」


バシュッ!!アレスに向けて銛の様なモノが放たれる。


勇者アレス「ッ!!」キーーーーーン…!


勇者アレスはさすがの剣捌きで銛を弾き飛ばした。


レオン「ほう、抵抗ですか…では貴方を共犯者と認定します」


勇者「なんとでも認定しろ!僕はこの世界を任されたんだ!」


女達「勇者様無事ですか!?」


後ろの馬車から降りてきた女達がレオンの前に立ちはだかる。


その数は4人。


セクシーな容姿の魔法使い。

清楚な容姿の僧侶。

いかにも勇者を慕っていそうな剣士。

いざという時素直になれなそうな格闘家だ。


レオン「やれやれ…貴方達も邪魔をするなら公務執行妨害で排除しなければなりません」


僧侶「勇者様に手出しはさせません!」


格闘家「いきなり出てきて勇者様を捕まえるだと…!?ふざけんじゃねぇ…!オラァ!!」


格闘家の蹴りを腹で受けてレオンは5メートルほど吹き飛ばされる。


レオン「くくくっ…公務執行妨害成立です。」



パチン…!

倒れながらレオンが指を鳴らすと4人は倒れる。


勇者アレス「な…!?大丈夫か!みんな!」


魔法使い「う…ううん…ここは…?あれ?私…何を…?」


勇者アレス「無事か!魔法使い!」


魔法使い「キャッ…!!!変質者!!」


格闘家「あれ?私こんな所で何を…?」


僧侶「おぉ神よ…」


勇者アレス「なっ…!!どうしたんだお前ら…!」


剣士「え?あんた誰?」


勇者アレス「なに!?あんなに僕の事を好きだと言ってくれていたじゃないか!どうしたんだ剣士!」


剣士「キモッ!なに言ってんの!?あんたなんか好きになる訳ないでしょ!」ドンッ!


アレスは剣士に突き飛ばされ尻餅をつく。


勇者アレス「うわっ!!」




レオン「貴方がこの世界の神に不法に与えられてしまった力を解消させて頂いただけですよ」


勇者アレス「どういう事だ…!」


レオン「貴方生前の記録ではアニメやゲームばかりを好み、異性関係や恋愛関係はおろか交友関係すらほとんど経験されておりませんでしたね…むしろそれで何故転生したという「だけ」で異性が寄ってくると思ったのです?明らかに不自然!明らかに意図的な力だと思わなかったのですか?もしかして自分は運悪くスペックが低いからモテないだけだと思っていたのですか?本来理由なく人が人を好きになる訳はありません。不法な方法で少々力を得ただけの男にどうして何人もの女性が恋に落ちるでしょう?現実逃避はやめて頂きたい。」


勇者アレス「違う!僕たちの絆は長い旅で培われた確かな絆だ!」


レオン「くだらない問答ですねぇ…やれやれ…そこで見ているのでしょう!!この世界の神よ!!」


途端に空が明るくなり女神のような女性が舞い降りる。


勇者アレス「女神様!!こいつは何者なんですか!!?」


女神「い…異世界警察…」


勇者アレス「いせかい…けいさつ?」


女神「わ…私より悪質な異世界転生犯罪はもっとあるはずよ!!なんでよりによって私なの!?先に悪質な方を捕まえなさいよ!!」


女神というには威厳がなさ過ぎる取り乱しようにアレスは呆気に取られていた。


レオン「確かに悪質な異世界転載犯罪はまだまだ沢山あります。が情報が足りません。色々とご存知のようですし…お話は署で聞かせて頂きます。ご同行願えますね?」


女神「クッ…!!!!クソォォォォォォォォォォ!!!!」


女神が巨大な光弾をレオンに向けて放つ。


レオン「ふぅ…女神ともあろう方がそんな汚い言葉を…」


メノウ「ッ!!」バシュッ!!


次の瞬間メノウから放たれた輝く弾丸は巨大な光弾を消し去った。


メノウ「なんで避けないのだ!」


レオン「貴方が無力化銃を構えていたのが見えたので」


メノウ「っっっっっ!!!あっ…!レオン!!後ろ!!」


アレス「よくも!よくも!!よくも…!!!俺から全て奪う気か…!」ブンブン…!!


アレスはありったけの力で勇者の剣を振り回すがレオンは全て軽やかに交わす。


レオン「やれやれ…貴方が手にしたのは不当な方法で手に入れた力です。奪うと何も本来無い場所に存在してしまったモノを元に戻すだけ…ただそれだけです」


勇者の剣を全て交わし即座に後ろに回り込むと首筋に一撃手刀を浴びせる。


アレス「くっ…ぼ…僕は…勇者…だ…」ドサッ…!


倒れたアレスを不思議な小さな瓶に吸い込むと


レオン「仕事は終わりです。帰投しましょう。そっちの女神の力も奪っておきました。そちらは任せましたよ。メノウ」


そう言ってレオンは消えた。


メノウ「あっ待つのだ!レオン!」


慌てて小さな瓶に女神を吸い込むとメノウも光に包まれて消えた。


民「なんだったんだ…?今のは…?」


後に残ったのはお祭りの賑やかさと街の喧騒だけだった。

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