命は神の玩具なのか?
ブーッブーッ…!ブーッブーッ…!
けたたましいブザーが鳴り響く。
レオン「またですか…今月何回目なんでしょうね…」
メノウ「泣き言言ってないで働くのだ!」
ここは異世界転生警察署。
昨今創造主達の間で流行っている異世界転生犯罪を取り締まる機関だ。
怠そうに頭をかいているのはレオン・アダムス。
身長184センチでスラッとした体型。
メガネの奥には鋭い目つき。例えるなら狼の眼光だ。
口調こそ礼儀正しいがこの仕事をあまり好きではなさそうだ。
となりにいる頭二つ分ぐらい小さい少女はメノウ。
栗色の長い髪に白い肌。
口元から見える八重歯が特徴的な可憐な少女である。
メノウ「さぁ早く準備してブリーフィングルームに行くのだ」
メノウが小型の画面を見ながら今回の任務を読み上げる。
メノウ「今回も最近同様の典型的な異世界転生犯罪。世界調和を乱す不法転生罪なのだ…しかもチート級能力を与えてるおまけ付きなのだ」
レオン「はぁ…自分の世界に飽きたからって他の世界の命を自分の都合で潰し、自世界に転生させるとは…所詮創造主に取って世界や命など娯楽に過ぎないようですね…力を得た未熟者程厄介なモノは無い…」
メノウ「それを防ぐ為に僕らがいるのだ!レオンもベテラン警務官なら頑張るのだ!」
レオン「あまり乗り気はしませんが…」
そういいながら異世界転生警察の制服の上着を着つつ作戦司令室に入る。
天体の模型のようなモノがいくつもモニターされている部屋は薄暗いが画面の明かりに寄って光源には困っていないようだった。
青白い光に映し出された奥に座る誠実そうな男が2人に気付き声をかけてきた。
ロイ「4分の遅刻です。警報発令から10分以内には出撃準備を。事態が一刻を争う事もあるのです。今後は気をつけて下さい?」
レオン「一刻を争う事態なら直接連絡が入るでしょう?」
ロイ「そういう事ではありません」
メノウ「まぁまぁ…2人とも任務が先なのだ」
ロイ「そうでしたね。お二人ともこちらをご覧下さい」
ロイは2人を促すと赤く光るモニターを拡大する。
モニターの下部には【他種族世界ミルネーラ】と書いてある。
ロイ「今回はこちらに出向いて貰います。ホシは勇者を名乗り他種族を殲滅しています。」
レオン「了解」
レオンはそこまで聞きさっさと出撃用装置に乗ってしまう。
ロイ「お待ちなさい!まだ相手の能力も分かっていないのですよ!」
レオン「余計な情報は判断を鈍らせます。自分の目で確かめるとしますよ」
ヴゥゥゥゥゥン…!!!!
機械が唸ると一瞬でレオンは光に包まれ消えた。
メノウ「ぼ…ぼくも行くのだ!」
メノウは慌てて出撃装置に乗り込むとピシッとロイに向かって敬礼し、光に包まれ消えた。
先についたレオンは荒野に立っていた。
レオン「オペレーター。座標を…」
ピピ…となるとレオンの目の前にこの世界の見取り図が送られてくる。
生物が群集してる箇所はここか…王都にマークを付ける。
メノウ「レオン!先に行くななのだ!君は僕の先輩なんだから!」
レオン「おぉ、これはこれは後輩どの。随分ごゆっくりした到着で」
メノウ「レーオーンーーー!!」
レオン「フッ」
レオンは少し笑うと制服に装備された重力装置を使って空に浮いた。
レオン「さてとさっさと片付けて帰りましょう。夕食までには片付けないと」
バシュッ…!!
とんでもない速度で王都を目指した。